Googleは、YouTubeにおける信頼できる医療/健康情報の取り組みに関するメディアラウンドテーブルを7月21日に開催した。今回のメディアラウンドテーブルでは、昨年3月から日本で提供している「医療/健康情報セクション」と「医療/健康情報パネル」の概要について説明すると共に、同セクションに表示する動画コンテンツの情報源を、これまでの「認定医療機関および政府機関」だけでなく「免許/資格を保持するヘルスケア専門職」にも拡大することを発表した。また、今年4月に実施した、摂食障害に関するコンテンツの方針の見直しについても説明した。
「YouTubeでは、様々な情報を得るために世界中のユーザーが動画を視聴しており、月間ログインユーザー数は数十億人、毎日の視聴時間は数十億時間に達している。その中で、昨年の日本における健康関連動画の視聴回数は40億回を超えており、YouTubeを利用する多くの人々がインターネットを通じて、信頼できる医療/健康情報を求めているのが現状である」と、YouTubeヘルスディレクターのガース・グラハム氏が挨拶。「こうしたニーズに応えるべく、YouTubeヘルスは、『人々が健康的な生活を送れるように、知識、帰属意識、そしてインスピレーションを通じて、彼らが情報に基づいた決定を下せるように支援する』ことをミッションとしている。そして、『動画を通じて、医療従事者や公衆衛生機関が人々を教育し、より健康的な生活を送るよう動機付ける方法を変革する』ことをビジョンに掲げ、信頼できる医療/健康に関する情報源に対する取り組みに力を注いでいる」と、YouTubeは医療/健康情報を届ける媒体としても重要な役割を担っているのだと強調した。
「信頼性の高い医療/健康情報を提供するための具体的な取り組みとしては、YouTubeから全米医学アカデミー(NAM)に、医療/健康関連動画に関する情報源の信頼性について定義してもらうよう依頼。全米医学アカデミーでは、2021年に、すべてのプラットフォームで信頼できる健康情報のコンテンツの指針となる原則を策定した。さらに、これをグローバルで展開するために、WHO(世界保健機関)とも協力し、世界中の学際的な専門家による会議を招集して、全米医学アカデミーの原則と定義を確認および認証した」と、第三者機関による原則を適用し、信頼できる情報源を特定していると力説する。「日本では、京都大学大学院医学研究科 医学/医科学専攻 医療情報学分野および、社会健康医学系専攻健康情報学分野が、全米医学アカデミーの原則と定義を確認しており、昨年3月から日本においても『医療/健康情報セクション』と『医療/健康情報パネル』の機能を展開している。『医療/健康情報セクション』機能では、信頼できる情報源が提供する動画を集めて表示する。また、それらの動画の下部に、信頼できる情報源であることを示す『医療/健康情報パネル』を表示する」と、医療/健康情報に関する新機能について紹介した。
「さらに今回、『医療/健康情報セクション』で表示される動画コンテンツの情報源を拡大する。今までは、認定された医療機関と政府機関のみに限定していたが、免許/資格を保持するヘルスケア専門職にも対象範囲を広げ、昨年10月から米国で先行スタートした。これによって、基準を満たした免許/資格を保持する医師や看護師、公認心理師が、『医療/健康情報セクション』の機能を利用することが可能になる。日本では、今年中に提供開始できるよう準備を進めている」と、医療分野の優れた知見に触れ、健康管理に必要な幅広い情報にアクセスする機会を提供するべく、「医療/健康情報セクション」の情報源を拡大することを発表した。
「対象範囲の拡大にあたっては、全米医学アカデミーとWHO、CMSS(専門医学会協議会)と協業し、個人や組織を含む信頼できる健康情報源の定義について、健康情報に関する共同原則を発表している。例えば、『日本で医師、看護師、公認心理師の免許/資格を取得している』、『健康に関する情報の提供に重点を置いている』、『有効なコミュニティガイドラインの違反警告を受けていない』、『特定の種類の営利目的のヘルスケアブランド、製薬会社、健康保険会社、医療機器メーカーが運営するチャンネルではない』ことなどを資格基準としている」と、第三者機関の専門家と継続的に協力しながら、対象範囲を広げていく考えを示した。
「また、YouTubeでは今年4月、『摂食障害』に関するコンテンツの方針の見直しも実施した。YouTubeの『情報パネル』には、『精神的危機に関する情報パネル』があるが、摂食障害についても、検索結果に同情報パネルを表示するようにした。同情報パネルでは、日本の摂食障害全国支援センターや、米国の全米摂食障害協会(NEDA)、インドのVandrevala Foundationなど、表示する国に合わせて各国のメンタルヘルス支援組織からのリソースと情報を提供する」と、摂食障害に関する動画のコンテンツ方針を見直したことにも言及。「摂食障害に関する誤った動画を削除すると共に、摂食障害からの回復を目的とするものであっても異常な食行動に関するコンテンツについては、年齢制限を設け、18歳未満は視聴できないようにする。若年層は、動画の内容に影響されやすく、逆に摂食障害を起こしてしまうリスクもある」と、摂食障害のトリガーとなる情報から若い世代を保護する取り組みにも力を注いでいると述べていた。