首都高や阪神高速には、いずれも湾岸線という路線が存在します。湾岸線は文字通り海岸沿いを通る路線のため、基本的に他路線よりもカーブや起伏が少なめで走行しやすくなっています。愛知県名古屋市を中心とする中京圏にも伊勢湾岸自動車道(以下 伊勢湾岸道)という湾岸線が存在します。伊勢湾岸道は、首都高や阪神高速などの都市高速と違い、全国の高速道路のほとんどを管理・維持しているNEXCOが管轄する路線です。
愛知県豊田市の「豊田東JCT」〜三重県四日市市の「四日市JCT」までの総距離56.4kmと短めの路線ですが、新東名高速道路(以下 新東名)・新名神高速道路(以下 新名神)をつなぐ路線でもあることから、首都圏〜中京圏〜関西圏を結ぶ新たな主要ルートとして、重要な根幹となっている路線です。私も伊勢湾岸道にはかなりお世話になっていて、走行するたびにワクワクしているのと、私の知人にもお気に入りの路線に伊勢湾岸道を挙げる者がいるなど、人気の高い路線でもあります。
みなさんにもぜひ伊勢湾岸道を走行していただきたいという想いをこめまして、伊勢湾岸道の走行ポイントや特徴について、いろいろお話しさせていただきます。
目次
全線ほぼ片側3車線通行で快適走行
伊勢湾岸道は、全線のほとんどが片側3車線でなかには片側4車線のところもあるなど、比較的走行しやすい道路形状となっています。車線が多いため、多少交通量が多くても快適な走行ができます。さらに、真ん中の車線は他路線よりも25センチほど広く設計されていることもあり、側方からの圧迫感が少ないのも、快適な走行につながっています。
海岸線の埋立地域を通ることから、水上を通る部分も多く、全体的に橋が多い道路形状となっていおり、なかには連続で橋が連なっている部分もあります。このあたりは、首都高や阪神高速の湾岸線と近い構造です。制限速度は全線で基本的に時速100kmに設定されていますが、大型貨物車やけん引車などは時速80kmに制限されているため、トラックやけん引車などに配慮した運転が求められます。
海岸線を通っていることもあり、カーブや起伏はほとんどありません。そのため、速度をつい出しすぎてしまいがちなため、こまめにスピードメーターを確認しながら、走行するのがオススメです。
オーシャンビューから工業地帯・レジャー施設まで、色とりどりな景色
伊勢湾岸道は快適で高規格な道路形状以外にも、走行の際にみられる周辺の景色にも特徴があり、それが魅力にもなっています。すばらしい景色をみながらの走行は、ほんとに気持ちのいいものです。
まず、海岸線を通っていることから一面海の景色が広がっております。主に、伊勢湾岸道の「東海IC」〜「湾岸桑名IC」の南側部分でオーシャンビューを眺めることができます。さらに、東海IC〜「飛島IC」には「名港トリトン」と呼ばれる3つの斜張橋がかかっており、こちらの橋と周辺の景色が絶景で、伊勢湾岸道の名物にもなっています。
他にも、中京の工業地帯の景色や「名港中央IC」近郊の「レゴランド」や「湾岸長島IC」近郊の「ナガシマリゾート」などのレジャー施設もみることができ、ほんとに色とりどりな景色を眺めることができます。
そんななか、起点の豊田東JCTや終点の四日市JCT近くでは山々の景色がみられたり、経由地である「飛島IC」近郊は、日本一裕福な村と言われている愛知県飛島村の風景など、のんびりした風景もみられる部分もあり、わずか50km強の路線のなかに、さまざまな要素が凝縮されています。
日本第3位の来場者数を誇るパーキングエリア「刈谷PA」
伊勢湾岸道のシンボルとして愛知県刈谷市に所在地を置く「刈谷PA」があります。一見、どこにでもある高速道路のパーキングエリアかと思いきや、実は刈谷PAは年間来場者数が「東京ディズニーリゾート」、「ユニバーサルスタジオジャパン」に次ぐ国内第3位を記録しています。というのも、刈谷PAは高速道路の休憩施設と地域のコミュニティ施設が合わさった、ハイウェイオアシスになっており、伊勢湾岸道は交通量の多さと施設の充実度により、大変人気のあるパーキングエリアになっているのです。
施設は、フードコートやショッピングコーナー、コンビニなど通常の高速道路のサービスエリアやパーキングエリアと同様のものに加えて、お子様が楽しめる遊園地や観覧車などが設置されています。その他、温泉施設や豪華なトイレ施設、生鮮食品販売コーナーなど大人の方も満足できる施設が整っており、まさにみなさんが利用しやすいパーキングエリアとなっています。
上下線集約型で、駐車場の区切りはありますが施設は上下線同様の施設を利用することになります。伊勢湾岸道走行の際は、ぜひ刈谷PAの利用もしてみてください。
悪天候の際は特に走行注意
快適で便利な伊勢湾岸道ですが、気をつけなくてはならないポイントもあります。それが、悪天候の際の走行です。伊勢湾岸道では、特に天候を気にしながら走行することが求められます。
伊勢湾岸道は海岸線を通っており橋も多いことから、まず風の影響を強くうけます。ひとたび強風が吹くと、車がふらふらしてきますのでハンドルをしっかりおさえて、車を安定させる必要があります。また、雨の際は路面が滑りやすくなります。特に、橋と橋のつなぎ目などは通常の路面よりも滑りやすい構造になっているため、路面状況を確認しながらの走行が大事です。
あまりにも雨風がひどい場合は、伊勢湾岸道が通行止めになる可能性もあります。やむなく悪天候のなかを走行する際は、こまめに交通情報を確認しながら、近郊の名神高速道路や都市高速である名古屋高速などへの迂回も検討するようにしましょう。
これからもますます需要増に期待がかかる伊勢湾岸道
伊勢湾岸道は走行しやすく景色もすばらしい、まさに高規格な高速道路です。通常の高速道路のイメージとは少し違う雰囲気もあるため、はじめて利用する際は、感動を覚えるかもしれません。さらに、先ほども少し紹介しましたが新東名や新名神と合わせて、首都圏〜中京圏〜関西圏の新たな主要ルートにもなっているため、年々利用する方が増えております。
どうしても、通過するための路線という印象が強めではありますが、経由地周辺も魅力なスポットが多めなため、伊勢湾岸道沿道のスポットを目的地にするのもオススメです。また、先ほど紹介した名物名港トリトンを外側から眺めてみるのもオススメで、「名古屋港水族館」周辺からは、すがすがしい海と空と名港トリトンの景色が眺められるため、こちらもおすすめです。
ぜひ、みなさんならではの伊勢湾岸道の魅力をみつけて、どんどん利用して走行してみてください。
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