(本記事は、越 段氏の著書『一日一つ、教養が身につく 世界のことわざ100』=総合法令出版、2023年4月11日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
ーー他人を思いやれる人は、自分を伸ばす人である
情けは人のためならず。
日本のことわざ
教訓
この言葉については「人に対して情けをかけることは親切のように思えるが、実は人をだめにしてしまうことになるから、控えるべきだ」と解されていることがあるようだ。
しかし、もともとは日本の中世からあることわざの一つで、人に情けや温情をかけることは、巡り巡って自分のためにもなるという意味である。私はこの解釈のほうが正しいと思えてならない。
最近は、自己責任の原則が浸透しているためなのか、よくわからない。
いわゆる利他行為が究極の成功原則だともいわれていて、他人からの見返りを期待して善意を押しつけるのはこれに反すると思われるわけだ。
見返りなどを期待することなく、目立つこともなく、あくまでも人のためになることをする人は、世の中が放っておかないというのが正しい道筋である。