【コンサルティング分野の中途採用】グローバルではレイオフが加速化するも、国内はDX需要で採用強化

THRILL

クリスチャンセン 洋助 代表取締役

【PROFILE】米国シアトル出身。同志社大学商学部を卒業。住友電気工業株式会社において生産管理、営業企画や海外営業などの幅広い業務に携わる傍ら、同社の国内外の採用活動に従事。インテリジェンス(現パーソルキャリア)へ転職後は同社のグローバル部門立ち上げに参画。持ち前の語学力を活かし、グローバル人材やエグゼクティブ層などの幅広い人材の転職支援を、5年間で250人以上行う。支援実績、顧客満足度、売上ともに全部門トップの成績を3年連続達成。採用の在り方を変革したい、そして個人のキャリアや企業経営にもっとインパクトを与えたいという想いからTHRILLを創業。「グローバルなキャリア形成」や「スタートアップのための戦略的採用」「グローバル経営における人材戦略」などをテーマとしたセミナーも多数実施。

日本におけるDX需要は、拡大の一途を辿っています。働き方改革が提唱され始めた2015年頃「日本にリモートワークは根付かない」という意見は少なくありませんでした。それが今や、遠隔・非対面・非接触・データ活用は、ありとあらゆる社会活動で必要不可欠となっています。

とはいえ諸外国と比べれば、日本のDXは理想とは程遠いのが現状です。それはつまり、企業の変革の担い手であるコンサルティング業界における採用戦線の厳しさが、今後も継続することを意味しています。

これまで経営戦略や事業改革を担ってきたコンサル業界は、提案の実行性を高めるためデジタルやIT実装工程にまで責任範囲を拡張しています。一方で、実装を担ってきたSI企業は一気通貫で顧客支援を行うべく、その役割を戦略提案に拡張しています。結果的に、両者の事業領域は重複し、本業界においては採用競合が倍増した格好となっています。

グローバルに目を向けると業界はレイオフが加速化しています。国内でも警戒感を示す声が上がっていますが、欧米と同じ道を歩むとは考えにくいでしょう。なぜなら、日本の労働人口の減少は世界で類をみない程深刻だからです。生産性向上は文字通り日本の産業界の生命線で、DX化はその一丁目一番地である以上、引き続き各社とも採用強化の方向で進むと思われます。

一方で、若手層の採用は少し鈍化している動きもあり、代わりに新卒採用に力を入れて若手優秀層を確保することで、「採る」より「育てる」にシフトしています。若手が充足されつつある今、マネジメント層などの中堅層の欠如が深刻となりつつあるため、競争力ある年収や役職、キャリアパスの提示が必要不可欠となっています。

このような激動かつ熾烈な状況下にある業界の採用担当は、自社情報だけでなく、同業他社の最新の事業内容やその展望に至るまで幅広いインプットが求められます。それ故、自社を正しく啓発できるエージェントと関係を強化しながら、戦略性のある採用業務の推進がますます重要となっています。