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相続というものは予め遺言などで遺産の後日管理についてはある程度の下準備は出来るものの、死期については当然ながら予期することは出来ません。
今回は相続に使用する委任状についての解説になりますが、実は委任状にまつわるトラブルというのは少なくはないのが現実です。

信頼のおける身内が代理でやってくれるのだから安心だ、うちの家族に限って揉めるようなトラブルが起きるはずがない、と思って起こるケースが多いのです。
そんな点をふまえながら、相続時に使用する委任状についての書き方のポイント、注意点などをご説明していきます。

1. 委任状の性質

委任状とは、「ある人に対してある事柄を委任したことを記載した文書」です。

実際には、委任関係を示すよりは、その人に代理権を与えたことを他人に証明するために用いられています。

代理人に何らかの行為を任せる任意代理の場合、本人は、代理人を選任し、その代理人に何らかの行為をおこなう権限を委任することになります。

この際、代理人に対して付与する権限とその範囲を決定して、委任契約書で明確に規定する必要があります。(民法99条)

2. 注意が必要な委任状とは

代理権の範囲を明確に規定していないと、代理行為が代理権の範囲かどうかを巡って、代理人との間でトラブルが発生する可能性があります。

この点について、代理権の範囲をまったく定めない(=すべて任せてしまう)ことを、いわゆる「白紙委任」いいます。そして、白紙委任をおこなう際に代理人に交付する委任状が「白紙委任状」です。

この白紙委任状を交付してしまった場合、すべてのことについて代理人に任せてしまうことになりますから、代理人にどんなことをされてしまっても、文句が言えなくなります。 このことから、白紙委任状に署名捺印する際には細心の注意が必要と言えるでしょう。

3. 委任状の書き方

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どのような場面でどのような委任が必要かによって書式の内容は当然に変化します。 相続時における委任状を使うケースで主に多いものは下記のようなものになります。

1.役所で相続書類を取得する場合

各行政機関によって差異はありますが、
(1)請求者(委任者)の住所、氏名、印
(2)代理人の住所氏名
(3)請求する証明書の種類と必要通数や委任する内容など(具体的に)
(4)委任状作成日

を記載し作成するのが多いです。各行政機関により専用の書式や書面がある場合がありますので確認されることをお勧めします。

2.金融機関への委任状の場合

各金融機関によって取り扱いが異なります。大概は金融機関で専用の用紙がある場合が多いですので、問い合わせを行い指示に従って委任状の作成を行います。

3.不動産の相続登記で委任する場合

司法書士を代理人として介する際には、司法書士事務所で使用している委任状に従って作成することになります。自作する場合の要項は下記になります。

(1)日付
(2)委任者・相続人の氏名住所
(3)委任内容
(私は、下記の者を代理人と定め、後記の登記申請に関する権限および本件登記申請に係る登記識別情報の受領に関する権限を委任する。)と記載。
(4)受任者・代理人の氏名住所
(5)登記の目的
(6)原因
(7)相続人
(8)持分の記載
(9)不動産の表示

4.遺産分割調停委任する場合

該当の管轄裁判所にて問い合わせをおこない、指示に沿った委任状を作成するのが無難かと思います。

(※注意 あくまでも参考として閲読頂き、実際の委任状作成にあたり細かな点で注意が必要となって来る場合があります。そのような際には専門家へのご相談をお勧めします。)

4. 委任状についてのポイント

要点をまとめると下記のような点に注意することが委任状作成についてのポイントと言えます。

・ 相手が信頼のおける親族であっても白紙委任状は避ける。
・ ケースに相応しい委任状を作成し使用する。
・ 迷ったり疑問が残るようであれば専門家に相談する。

5. 最後に

現代人は時間に追われ、様々な場面において迅速かつ楽に済む方法をとりがちです。相続に関しても例外ではなく、ただでさえ面倒臭い話し合いや必要書類の準備などで他人任せにしてしまう方も多いでしょう。しかし、相続に関しては相続人間のトラブルが絶えない問題のひとつです。親族間で余計なトラブルを生まないためにも、心に余裕を持ちながら真摯に対応出来ると良いと思います。

(提供:相続サポートセンター