(本記事は、渋谷 昌三氏の著書『合本版 ワルい&ズルい心理学』=日本文芸社、2023年3月15日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
ゴマすりを駆使する相手にはゴマすりで凌駕(りょうが)する
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- ゴマすり上手への対抗策
相手の好意を得るための処世術
「ナイスショットです!」とゴルフ場で、たいして飛距離が出ていないショットに対してほめ言葉を投げかける人がいます。たいてい上司や得意先のお客さんなど、自分にとって上位の相手にゴマをすって、気に入られようとする処世術でしょう。実際、このように決まった相手から好意を得るための行動を心理学では迎合行動※と呼びます。
ゴマすりには4つのタイプがあります。まずは冒頭の例のようにお世辞をいって相手をいい気分にさせる賛辞。自分の番で、ある程度いいショットを打っても「私なんてダメですよ。先ほどの部長のショットに比べれば」と自分にダメ出しして相手をもちあげる卑下(ひげ)。「いいパットだっただろ」という上司の言葉に対し「あの難しいラインをよく読めましたね」と相手の意見を認める同調。のどが渇くころを見はからって移動中に冷たい飲みものを「どうぞ」と差しだす親切。
ゴマすりは、社会をうまくわたっていくためのコミュニケーションテクニックです。上手に使いこなすことで自分の出世や意中の相手の気をひくことなどにも活用できるものです。
お世辞にはお世辞でやり返す
人は誰しもほめられれば悪い気がしません。しかし、あきらかに見え透いたお世辞には、苛立(いらだ)ちすらおぼえることがあるものです。そんな相手にはお世辞で返すのがいいでしょう。
「いいサングラスですね」ときたら「君のはレイバン? カッコいいね」。失敗パットに「いいパットでしたね」ときたら「君のさっきのショット、プロ並だったな」などと相手に対してあなたへのお世辞は有効でないことを気づかせてあげるのです。
最後にゴマすりで出世しようとする人への対抗手段もお教えします。冒頭の飛距離の出ていないときに「ナイスショットです」とゴマする横で、「いや、○○さんのいいときはこんなものじゃないですよね」と相手のヨイショを無効化しつつ、自分はその人についてより知っているふうにアピールして印象アップにつなげるのです。イザというときのゴマすりのためにも、普段からこまめな情報収集を心がけることをおすすめします。
迎合行動
特定の他者からの好意を得るための行動や言動を指し、社会的コミュニケーション方法のひとつ。「取り入り」とも呼ばれる。