(本記事は、渋谷 昌三氏の著書『合本版 ワルい&ズルい心理学』=日本文芸社、2023年3月15日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
会話の中に名前を入れるだけで、相手はあっさり心を開く
名前を呼ぶと心理的距離が縮まる
初めての取引先との出会い。名刺交換が終わり、いよいよ交渉のスタート。緊張しつつも、今後のビジネスの展開を考えるとなるべく早く親密度を高めておきたいもの。よくあるシチュエーションではありますが、このように初対面から相手に印象を残し、手早く人間関係を築きたいときに役立つテクニックが、会話のなかにさりげなく相手の名前を入れることです。
たとえば、会話を交わすうちに交渉相手がグルメな人だとわかったとします。そんなときは、「おいしいお店を教えてください」とたずねるより、「○○さん、おいしいお店を教えてください」と聞いたほうが、より相手の印象に残ります。相手の名前を呼ぶことで、より心理的距離を縮めることができ、親近感を抱かせる効果があるからです。
気をつけたいのが、短い時間で何度も名前を呼ぶのは逆効果になるということ。ある実験では、初対面の男女に15分間話をしてもらい、男性に会話のなかで相手の名前を6回以上呼ばせたところ、実験後、女性からは「ウソっぽいし、なれなれしい」という否定的な評価が得られました。程度の問題ですが、名前を呼ぶのは大体5分間で1回くらいにとどめておくのがよいでしょう。