(本記事は、渋谷 昌三氏の著書『合本版 ワルい&ズルい心理学』=日本文芸社、2023年3月15日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
YESといわせるために、使い分けたい㊙︎テクニック
物事には良い面と悪い面がある
「交渉をまとめたいとき」「商品をセールスしたいとき」には相手を説得する必要があります。そのための具体的なプロセスを説得的コミュニケーションと呼びます。
説得には様々な方法があり、相手や内容により使い分けが必要です。そこで重要なのは物事にはプラス面とマイナス面があるということです。
たとえば、新商品のパンをスーパーで店頭販売するとします。このとき、「ソフトで口当たりがよい」とプラスの面だけをアピールして売り込むことを一面提示といいます。それに加え、他に比べて「値段が少し高くて、脂肪分も多い」とマイナスの部分も同時に伝えることを両面提示といいます。どちらを採用するかは、相手をよく見て決めるとよいでしょう。
薬局を例にとると、たいていの購入者は薬に関する知識は少ないので一面提示が向いています。ただ、知的水準が高い人や物事を自分で決めたがる人に対しては両面提示のほうがうまくいきます。
また、一面提示の場合、よい点しか伝えないため、後々クレームのつくおそれがあります。いいことばかりいって説得できたと思ったら、急に意見を変えて拒絶されるブーメラン効果に見舞われることもあります。