6割超の企業が「正社員不足」と回答していることが、東京商工リサーチの2023年企業の「人手不足」に関するアンケート調査で明らかとなった。

正社員不足の企業が6割超、非正規社員は飲食店、宿泊業の8割超で不足

自社の正社員の充実度合いを聞くと、「非常に不足している」の11.4%(510社)、「やや不足している」の55.0%(2448社)を合わせ、「正社員不足」と回答した企業は全体の66.5%を占めた。

【正社員の状況】
非常に不足している 11.4%
やや不足している  55.0%
充足している    28.5%
やや過剰である   4.5%
非常に過剰である  0.2%

規模別にみると、大企業ほど顕著で、73.2%(418社)が「正社員不足」と回答した。一方、中小企業では「非常に不足している」11.2%(434社)、「やや不足している」54.3%(2106社)を合わせて65.5%で、7.7ポイントの差があった。

規模別の違いについて東京商工リサーチでは「中小企業は大企業に比べ、業種によっては業況、受注の回復に時間を要する一面もあり、人員の不足感を訴える企業は、大企業よりも少ない傾向にあった」と分析する。

非正規社員の充足度合いを聞くと、全企業では「充足している」が約6割(57.5%)で、正社員と比べて不足感は薄い。

一方、不足感のある業種では上位に飲食店、宿泊、サービス、道路旅客運送など、コロナ禍の行動制限解除以降に採用意向が高まった業種に偏った。

【非正規社員の状況】
非常に不足している 5.7%
やや不足している  32.5%
充足している    57.5%
やや過剰である   3.8%
非常に過剰である  0.2%

【業種別 非正規社員不足の割合 トップ5】
1位 飲食店     85.0%
2位 宿泊業     81.8%
3位 その他の生活関連サービス業 73.0%
4位 道路旅客運送業 70.0%
5位 飲食料品小売業 64.0%

東京商工リサーチでは「業種による非正規社員の不足感は二極化している。今後、インバウンド需要が本格化すると、この傾向はさらに強まりそうだ」と予測している。

調査は、2023年4月3日~11日、企業を対象にインターネットでアンケート調査を実施し、4445社の有効回答を集計、分析した。