矢野経済研究所
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2022年度のUPS市場規模は868億円の見込

~3kVA以下帯(極小容量帯)と100kVA以上帯(大容量帯)が牽引し、市場は回復から拡大へ~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のUPS市場を調査し、容量帯別の市場動向や、主要参入企業動向、将来展望を明らかにした。

UPS市場規模推移と予測

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1.市場概況

UPS市場は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で設備更新や新規の設備投資が先延ばしされた影響もあり、2020年度は需要が低迷した。2021年度以降は行動制限の緩和や在宅勤務によるITトラフィック量増加、医療機器向け需要の拡大もあり、市場は回復傾向にある。一方で、半導体不足などサプライチェーンの混乱による納期遅延や、2022年度からは原材料費やエネルギーコスト、輸送コストなどの上昇で一部では製品価格の値上げも行われている。

2022年度のUPS市場規模(メーカー出荷金額べース)は前年度比110.8%の868億円を見込む。 容量帯別に市場をみると、3kVA以下帯(極小容量帯)のUPSはPCやサーバーなどIT向けに加え、FA機器や医療機器など産業機器向け需要が好調な見込みである。また100kVA以上帯(大容量帯)も、データセンター新設・増設需要やUPS一台当たりの大容量化のニーズも顕在化し、拡大を見込む。

2.注目トピック

容量帯別の市場参入企業動向

3kVA以下帯では、IT向けのUPS市場は日系メーカーと外資系メーカーの二強が続く構造は変わらない。今後の社会情勢にもよるが、総じて半導体不足等を要因とする製品不足は解消されていくと期待できるが、再値上げも含め製品価格は上昇する傾向にある。
100kVA以上帯は、重電総合メーカー数社と外資系メーカー(代理店)が中心となる構造で、データセンター向けのUPSが当面のターゲットであることに変わりはない。データセンター向けの新規案件で企業間競合は激化するものの、製品本体での性能にメーカー差は出しにくく、設置工事からメンテナンスまでトータルでのユーザーメリット提案が競合のポイントとなる。

3.将来展望

UPS市場は2025年度まではどの容量帯でも一定の需要を維持し、それに加えて100kVA以上帯の需要が好調さを維持し牽引することで、2025年度のUPS市場規模は931億円まで拡大すると予測する。100kVA未満の3区分の容量帯では交換需要はあるものの、新たに期待できそうな新規需要の芽は見えない見通しである。

調査要綱

1.調査期間: 2020年10月~2023年1月
2.調査対象: UPSを生産販売する、もしくは販売元として国内市場に参入している企業等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話ヒアリング、ならびに文献調査併用
<UPS市場とは>
UPS(Uninterruptible Power Supply:無停電電源装置)とは、突然の停電や入力電源異常発生時に、機器やデータを保護することを目的に負荷機器に対して一定時間電力を供給し続ける装置である。
本調査におけるUPS市場は、メーカーの国内出荷分を対象とし、輸出分(海外販売分)を含まない。UPS単体のみとし、周辺部品や据付工事、メンテナンス等の費用を除いている。また、UPSの容量帯を3kVA以下、4~9kVA、10~99kVA、100kVA以上の4区分に分類し、調査分析した。
<市場に含まれる商品・サービス>
UPS本体(設置工事やメンテナンスは含まない)

出典資料について

資料名2023 UPS市場の現状と将来性
発刊日2023年01月27日
体裁A4 126ページ
価格(税込)165,000円 (本体価格 150,000円)

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