やまみ・山名徹社長
(画像=やまみ・山名徹社長)

――上期(2022年7月~12月)の業績見通しは

売り上げは値上げもあり順調だ。利益面においても、現在エネルギー費が最も高い状況のため、苦戦がありつつも順調だ。10億円規模のメーカーも廃業し、その受注が来ているという側面もある。

ただ、当社も人手不足の問題を抱えていることから、効率化をさらに進めるほか、賃金のベースアップを図るなど、引き続き拡大に向けて準備を進めている。

現在、原材料がコスト高だが、外国産大豆から北海道産大豆に替える、にがりを甘みの出るものに替えるといった風に、よりコストをかけた上で値上げしている。消費者に価値を認めてもらわないとシュリンクしてしまう。他社の製品に替わって当社の商品をバイヤーに提案することもある。トータルで見たら店にとってプラスになるようにしている。

――エリアごとの動向と戦略について

関東市場の売上については毎年1.4倍から1.5倍伸長している。神奈川県の大手スーパーマーケットや、1000店規模のところで新たな商品の配荷が進んでいる。

ただ、エネルギー費や原材料の高騰もあり、富士山麓工場(静岡県駿東郡)の単月黒字はまだ達成していない。関東ではまだ新参者のため、値上げの交渉も浸透していないという事情もある。物流効率を改善し、2023年度中には単月黒字が出せるようにしたい。

エネルギー費や原材料費が高いのは相場であり永遠ではない。高騰が落ち着いたとき、当たり前に利益が出るようにしていこうと思う。儲けることは悪いといった風潮もあるが、株主配当や従業員の待遇、社会保障などに還元することができる。商品価値を認めてもらって儲けて、会社を良くしていきたい。本社エリアである中・四国市場の売上は1.2倍ほど伸びている。本社工場に隣接する広島ガスの冷熱を利用するなどの取り組みで効率改善し、利益を保っている。

〈「やらないことを決めている」を強みに、できることをとことん磨く〉
――好調だった商品は

150g×3個タイプの豆腐が、金額ベースで前年比260%増伸びた。値上げを実施したが、他社も値上げしているため、割安感があったのではないだろうか。

焼豆腐も伸びた。焼豆腐は作るのに手間がかかるのでやりたがらない会社も多いが、当社は全自動化したので比較的労力なく作ることができる。こちらも金額ベースで前年比150%以上伸びた。牛丼チェーンなどでも採用されている。

――今後発売する新商品は

7月頃に、8個タイプの豆腐の発売を予定している。市場のニーズに合った商品を拡充していきたい。

3月頃には、売れ筋の「禅豆腐 北海道産とよまさり絹ごし豆腐6個」の派生品にあたる90g×4個タイプと、夏向きに口当たりが良いとろっとした豆腐を80g×4個で発売する予定だ。

――今後の意気込みを

年間約400社ペースで廃業していく中で、商品を供給できる体制を整えながら、当社にしかできないことを増やしていきたい。

当社の強みは「やらないことを決めている」ことだと思う。湯葉やごま豆腐など不得意なことはやらない。生産能力の高い工場を有し、大量納入で良いものを届けられるのが当社の価値だと思うので、できることをとことん磨いていきたい。

〈大豆油糧日報2023年2月15日付〉