テーブルマーク・吉岡清史社長
(画像=テーブルマーク・吉岡清史社長)

〈社内連携強化、自社ECやフードテックと協業も〉
テーブルマークは12月20日、都内で年末記者会見を開いた。

新型コロナの影響で過去2年はオンライン開催だったが、3年ぶりの対面開催を、親会社日本たばこ産業の本社(東京都港区)プレゼンテーションスペースを使用して初めて行った。

吉岡清史社長と斎田直樹専務執行役員をはじめ現執行役員と次期執行役員が列席した。吉岡社長は来期(2023年12月期)のスローガンとして今期同様に「技術に立脚した顧客価値を創出し、市場創造に挑戦し続ける」を掲げ、新たに〈1〉高収益な事業体制への転換と〈2〉高付加価値商品の提供に向けた取り組みの加速――の2つを重点施策に据えるとした。社内バリューチェーンの連携を高めるため組織変更を行う。また高付加価値商品や新たな事業モデルの展開を図る方針だ。

今期は「技術に立脚した顧客価値を創出し、市場創造に挑戦し続ける」というスローガンを掲げた。その中で〈1〉品群戦略の着実な実行〈2〉技術力の向上〈3〉物流体制の整備――の3点を重点施策として取り組んできた。

品群戦略として、品群ごとの商品投入、販促施策を展開したが、今期のトピックスは家庭用ベーカリーへの再挑戦。今年度は3品上市したが、来期以降も積極的に展開していくとした。技術力の向上については、2022年5月に食品総合研究所を立ち上げた。テーブルマークとグループ企業の富士食品工業との2社の研究開発部門を一体化し、さまざまな研究開発に取り組んでいるという。

物流体制の整備について。2017年から5年かけて今期完了した工場再編と併せて、保管拠点の整備など物流効率化にも取り組んできた。直近ではグループのフードレックの関東常温センターを移転した。「来期以降も2024年問題への対応、準備を加速していく」とした。

来期も引き続き「技術に立脚した顧客価値を創出し、市場創造に挑戦し続ける」を掲げるが、重点施策は〈1〉高収益な事業体制への転換と〈2〉高付加価値商品の提供に向けた取り組みの加速――の2つとした。

高収益事業体制について。今後も原材料、エネルギーのコスト上昇は続くと見込んでいるとしたうえで「これまで工場再編をはじめ生産効率の向上を図ってきたが、さらに原材料、エネルギーのロスを抑える取り組みを愚直に続けていく。また製造・販売・物流・開発――といった社内のバリューチェーン間の連携を密にすることで、商品の上市から製造・販売・輸配送に至るまで円滑化・効率化を図る」とした。

そのために2023年1月に組織変更を行う。「商品開発部」と「調達部」を戦略本部内に配置する。これまで商品統括部として独立部署だったが、配置を変えることで品群別の戦略、商品の企画・開発・プロモーションを、同じ戦略本部のマーケティング戦略部とともに一元管理することで、スピード感をもって事業成長につなげたいとした。

「ロジスティクス統括部」も従来独立部署だったが、営業本部内に配置する。販売動向に応じた需給管理を行う。また物流コストを踏まえた販売戦略の立案実行につなげたいとした。「海外事業推進部」について。4年前から戦略本部下に海外事業推進部をおいて取り組みを進めてきたが、営業先に国内だけでなく海外市場とも親和性がある場合が少なくないことから、営業本部内に配置する。

高付加価値商品への取り組みについて、吉岡社長は「昨今、健康志向の高まり、アレルギーや主義・信条による食の制約への対応に食品メーカーが動き出している。多様化するニーズを踏まえて高付加価値商品や新たな事業モデルの展開を図る」と話した。

その1つが今年7月プレオープンしたECサイト「食+(ショクタス)」だ。現在プラントベースのデザート2品を含む30数品を販売している。来年1月末にグランドオープンを予定しており、その時は60品を超えるラインアップをそろえる予定だ。ベーカリー・デザートだけでなく麺や米飯も品揃えとして検討している。アメリカのフードテックベンチャーYo-KaiExpress社の自動調理販売機へ、専用商品の開発も行う。2023年1月にうどんメニュー3品が発売される。「ベンダーの即食市場に協業していく。まだ全国に5台稼働しているだけだが、米国のベンチャー企業なのでスピード感のある事業展開をしている」とした。

〈冷食日報2022年12月22日付〉