企業の顧問業務をはじめ幅広い案件に対応しながら、
テレビのコメンテーターとしても活躍している、
弁護士の森 詩絵里氏(インテグラル法律事務所)。
仕事もプライベートも充実させた働き方を実現し、
女性士業のキャリアを切り拓いている森氏に、弁護士になったきっかけや、
メディアを通したブランディングなどについて伺いました。
Q1. 森先生が弁護士を目指したきっかけを教えてください。
母が資格を持ちフリーランスで自由に仕事をしていたので、
私も同じように資格を強みとして、フリーランスで自由に
働ける仕事をしたいと思っていました。
人生でやりたいことが多く、
仕事以外の時間もバランスよくとれる働き方をしたいと思っていて、
資格があれば独立しやすいのではないかと思ったのです。
大学が法学部だったので、目につく資格といえば弁護士資格。
しかも、ドラマなどで見る女性弁護士って、何だかカッコイイ。
そんな風に思って、司法試験の受験を決意しました。
2013年に司法試験に合格し、大学卒業後は東京都虎ノ門にある、
創業約50年の法律事務所に勤務。
ここで、個人・法人の幅広い業務に触れて弁護士としての基礎を固め、
その後、海外の案件にも携われる外資系の法律事務所に転職しました。
そして、2018年に独立し、東京都半蔵門にある
インテグラル法律事務所にパートナーとして参画しました。
現在、弁護士としてお客様一人ひとりに向き合う時間と、
仕事以外で興味のあることに取り組む時間もしっかり確保することができています。
Q2. 森先生がサポートしているクライアントの特徴を教えてください。
私の仕事は、企業の顧問業務が中心で、
現在、顧問先約20社のほか、スポット案件を常時10件弱ほど抱えています。
顧問先企業の業種は、飲食、貿易、IT、病院、人材派遣、レジャー、美容などさまざま。
大学卒業後すぐに勤務した法律事務所は、個人から企業まで、
幅広い業種や規模の顧問先に対応していたので、その経験を活かして仕事をしています。
また、外資系の法律事務所に務めていた経験があることから、
英文契約書などの英語の案件も扱っています。
外資系法律事務所では、大企業のクライアントが多く、
特に航空会社のファイナンス業務に携わったことが印象に残っています。
こうした経験をもとに、英文契約書などのサポートが行えることも、私の強みです。
Q3. 現在、テレビ番組のコメンテーターなどでも活躍されています。
メディア露出に力を入れている背景を教えてください。
テレビの出演は、集客のためではなく、自己ブランディングのために行っています。
友人が知人などに私のことを紹介する際に、話のタネになればという目的です。
「こういった番組に出ている弁護士さんだよ」
という話ができると、私のイメージがわかりやすく伝わるかなと思っています。
集客を目的としていないことには、理由があります。
テレビやラジオは不特定多数に向けたメディアですから、
どんなお客様からどのような案件が来るのか、予想ができません。
また、私一人で多くの案件を抱えることは困難です。
そのため、ホームページやSNSには、
「電話相談、メール相談は受け付けておりません」
などと記載することによって、相談件数を調整しています。
Q4. テレビに出演することになったのは、
どのようなきっかけだったのでしょうか?
最初にテレビ出演のお声かけをいただいたのは、
外資系事務所に勤務していたときでした。
知人経由でお話をいただいたのです。
しかし、当時は独立前だったため、
私が弁護士事務所の名前を背負って発言することはリスクにもなると考え、
出演を控えていました。
その後、独立して仕事をすると決めたタイミングでオファーをいただき、出演を決意。
これから独立して、自分という看板を一人で背負っていくうえで、
良い自己ブランディングになるのでは、と考えました。
同時に、継続的にメディア出演できるようになれば嬉しいと思い、
芸能事務所に所属することを決めました。
芸能事務所には、専門家枠があり、
士業など有識者を求めている事務所もあります。
私自身、今後も芸能事務所の力を借りながら、
出演の幅を広げていきたいと考えています。
Q5. メディア出演する際に心がけていることはありますか?
まずは、「明るく親しみやすい」という私のキャラクターが
しっかり伝わるように意識しています。
同時に、弁護士としての品格を落とさない言動をすることも心がけています。
テレビは、面白いキャラクターの人にフォーカスがいきますので、
突き抜けたキャラクターで注目を集めるのも、一つの手だと思います。
しかし、面白さで目立ちすぎてしまうと、顧問先から持たれるイメージが変わったり、
炎上したりといったリスクもあります。
そのため、明るさを持ちながらも、真面目な士業らしい品格を保つことを意識しています。
Q6. 森先生は、SNSも積極的に活用されていますが、
どのような発信をしていますか。
SNSは、TikTokとInstagramを使っています。
フォロワーは、TikTokが約3万人、Instagramが約1.2万人です。
TikTokは、「弁護士のタメになる話」というテーマで、
法律や裁判、視聴者が気になる疑問点など、
弁護士だからこそ伝えられる情報を発信。
企画は主に私が行い、撮影・編集などは外部に委託をしていました。
現在は、なかなか忙しくて投稿ができていないのですが、
2020年末から2021年末ごろまで、約1年間投稿を続けていました。
Instagramは、プライベートの投稿をする際に使っています。
アカウントのプロフィール文に、
「こちらでは弁護士業の投稿はしません」と明記しており、
弁護士としてではなく1人の女性として投稿していることが分かるようにしています。
Instagramは、アプリが始まった初期の頃から投稿していたのですが、
テレビ出演を通じてフォロワーが増えていきました。
楽しみながら投稿しています。
Q7. SNSでフォロワーを増やすコツや、運用のポイントを教えてください。
私がTikTokの投稿を始めた当時、
弁護士でTikTokを活用している人は数えるほどしかいませんでした。
視聴者が聞きたいことはどんなことなのだろうと考えたり、
内容が伝わりやすいようにテロップをシンプルな文字で入れる、
投稿動画の一覧を見たときに統一性を持たせるなどの工夫をしたことで、
フォロワーが増えていったのではないかと思います。
TikTokを更新するなかで、特に初期は、
視聴者からあまりいいコメントがもらえない時期もありました。
けれど、めげずに続けていけば、良いコメントも増えていきますし、
フォロワーも増えていくのではないかと思います。
Instagramは、プライベートな投稿が中心ですが、
見た人に元気になってもらえるようなアカウントにしたいと考えています。
ですので、色味は明るい色で統一するなど、私の世界観が伝わるよう心掛けています。
Instagramを通じて、仕事も趣味も、自由に人生を楽しむ私の生き方を知ってもらって、
これから仕事や生き方を決める若い女性の、
一つの参考になれば良いなと思って投稿しています。
Q8. 今後の展望について教えてください。
今後の展望ですが、もっと顧問先を増やすことが目標であるのと、
企業の社外役員にもなりたいと考えています。
一つひとつの仕事に全力で取り組むことで、
お客様にもっと頼って頂けるようになりたいですし、
また、自分の勉強にもしていきたいです。
案件の件数を調整し、限られた一人ひとりのお客様にしっかりと向き合うからこそ、
信頼にもつながるのではないかと思っています。
その結果として、お客様から更なるお客様を紹介していただけたら嬉しいです。
メディア出演についても、継続していきたいと考えています。
今は、1ヵ月に一度くらいの頻度でテレビ出演の機会を頂いている状況ですが、
もっと増やしていけたらと思います。
Q9. 森先生の座右の銘を教えてください。
「人生は一度きり」。
いろいろなことにチャレンジして、後悔のないように生きたいと思っています。
同時に、「人生は思い出づくり」。
さまざまな経験をして、感動したり楽しかったり、
感じたことを学びとして、魂に刻んでいきたいと考えています。
なので、仕事もプライベートも全力。
無駄なことなんてないと思います。
- プロフィール
早稲田大学法学部卒業後、馬場・澤田法律事務所、
K&L Gates外国法共同事業法律事務所の勤務を経て、2018年に独立。
現在、インテグラル法律事務所のパートナーとして参画し、
個人・企業を問わず幅広い顧客をサポート。
コメンテーターとしてテレビにも出演している。