食品産業新聞社
(画像=食品産業新聞社)

味の素冷凍食品は11月28日、2022年度上期業績報告会を冷食専門紙向けに開いた。

当上期売上高は537億円で前年比6%増、事業利益は35億円で前年比1億円減少した。家庭用は伸び悩んだが、業務用やCVS(コンビニエンスストア)向け、海外が売上げを伸ばした。利益面では原燃料高や円安の影響を受けて減益となったものの、海外の貢献で減益幅は抑えることができた。寺本博之社長は「家庭用の伸び悩みは、値上げをしなかった主力のギョーザ品の数量が伸びなかったことに尽きる」と述べ、戦略の軌道修正を図るとした。

事業部門別の売上高は、家庭用が2%減、業務用が5%増、キーアカウント(KA、収入上主要な取引先)が6%増、海外が54%増――となった。KAはCVS向けなどの事業部門、海外はタイ3社、中国3社、欧州(ポーランド)1社が対象。なお親会社である味の素が発表した決算では全社共通費が計上されているが、ここでは事業活動からの実質的な売上げと利益を提示している。

国内は合計1%程度の微増収、利益は大幅に落ち込んだ。2月から2回値上げを実施したが、コスト上昇に追いつかなかった。

家庭用は主力のギョーザは全体でマーケット並み(4%増)、シュウマイとハンバーグはそれぞれ1桁後半の伸びと堅調だった。一方で戦略領域と位置付ける米飯、鶏肉は売上げを落としたことから、家庭用全体では減収となった。値上げによる買い控えの影響はそれほどなかったと見る。一方で値上げを見送ってきた主力の「ギョーザ」単品は微減となった。

寺本社長は「餃子はフルライン戦略の中で新製品は堅調に進捗し、餃子トータルでは市場並みに伸ばせたが、主力品が伸びなかった。人々の価値観が多様化していることに対して、我々が1つの製品で数量を伸ばし続けられるという計画を組んだところに誤りがあった」と分析した。

先ごろ発表した2023年2月の家庭用の値上げ(業務用は3月)では主力のギョーザも対象にした。寺本社長は「価格の問題ではなかった。数量を伸ばして生産性を上げることで価格を踏ん張り市場を伸ばすという方針を今回、軌道修正して値上げの対象としたのはそのためだ。多様化した価値観に対して、我々はしっかり、今の市場にないものを出していくことが我々の使命と思っている」と述べた。

またアレルゲン対応製品について取り上げ、「ターゲットは狭いので、売り場で回転が上がらない場合もあると思うが、一方でとてもありがたいというファンレターをたくさんもらっている。売り場効率だけにとらわれず、多様化するニーズに対して製品を出していき、それを届ける術をつくっていくというのが、新たな戦略になっていくかと思う。(環境対応を含め)『誰よりも先にやろう』を合言葉にいろいろなチャンレンジをしていきたい」と述べた。

業務用は事業構造強化を継続しているが、コロナ影響から市場が回復していることに加えて、主力のスイーツ類が2桁増と伸長した。コロナ前の19年比では8掛け強の状況だが、アイテム数をコロナ前の3分の2程度に絞り込んでいる中で、順調な伸びと見る。

KAは特にCVSやメディカルが伸長した。構造強化を継続しながらも増収となった。

海外は中国から北米・欧州へ輸出しているチャーメンが引き続き拡大している。また昨年はタイ工場でコロナ影響による稼働停止があった反動影響もあった。当期、海外売上高は全体の15%ほどを占めた。利益も大幅に伸長して、国内の苦戦をカバーした。

〈冷食日報2022年11月29日付〉