2012年に冷凍食品の販売を開始したリンガーハット。コロナ禍を契機に冷凍食品の売上を大きく伸ばした。

近年では冷凍自販機を活用し、無人販売店を設置するなど新しい取り組みにも意欲を見せる。まずは5年以内に売上50億円を目指し、将来的には会社の第三の柱となれるよう、事業を育てている。冷凍食品を手掛けているグループ会社、リンガーフーズの浅尾経一社長に聞いた。

冷凍食品を手掛けるリンガーフーズの浅尾経一社長
(画像=冷凍食品を手掛けるリンガーフーズの浅尾経一社長)

――冷凍食品販売の手ごたえは。

冷凍食品の販売は2012年に開始し、10年が経つ。外販を開始したきっかけは、九州での店舗出店が頭打ちになり、工場の稼働率をより上げるために開始した。コロナ禍の需要の高まりによって大きく伸長しており、今では新たな売上の一つとなっている。今は量販店だけでなく、冷凍自販機での販売もスタートしており、想定以上の結果となっている。これまでに55カ所(8月末時点)に設置した。

商品は、セントラルキッチンの強みを活かし、麺とスープなど、店舗と同じ味を再現している。人気商品は「ちゃんぽん」や「皿うどん」で、店舗で人気の商品が上位に入っている。店舗の味がリニューアルなどで変わることもあるので、冷凍食品でもその味に近づけられるよう、定期的に改良を行っている。

一部の方からは「店舗よりも味が劣るのでは」とのイメージを持たれているが、高いリピート率から店舗と同等の味を提供できているために支持されたのだと感じる。

売上的にはEC(オンライン通販)が大きく、2019年以降2、3倍になった。ダイレクトメールやチラシといった販促の実施で、着実に広げられたと感じる。量販店の場合、割引対象外の商品にしていたため当初はなかなか販路が広がらなかった。しかし、EDLP(EveryDay Low Price/一貫した低価格戦略)の浸透で広がり始めたと感じる。2019年比では2倍になった。ただ、2022年は外食や旅行需要の回復などで以前と比べて不安定な推移を見せる。

――利益的には順調か。

原材料や油、小麦の高騰で下がり基調にある。工場や社内の努力では限界に来ていて、単価の変更は年明けには予定している。

――現在注力している取り組みは。

外食需要が2019年の水準には戻らないかもしれないため、別の形で利用される方を増やしていかなければならない。そこで無人販売店を現在2店舗している。8月から開始したが、まだ認知度は低いと感じているので、SNSやメディア露出の拡大を進め、店舗の近くに住む方により知ってもらえればと思う。販路拡大のために量販店へのアプローチも強めたいが、今は対面で説明することが難しい。まずは自販機や直売所などで訴求したい。ECサイトは自社や楽天市場で販売しており順調だ。Amazonはまだあまり取り組んでいないので広げる余地はある。

――今後の取り組みは。

ポスティングなどの反応は良かったので、これを積極的にやる。また、新商品の投入も進めたい。今の商品は約20品で、中には自販機限定の商品もある。今年発売した「ちゃポリタン」と「鶏白湯」は、両方とも店舗の期間限定品として販売していて、それを復刻した商品だ。どちらも好評を得られた。年末から年明けにかけては新商品も予定している。

冷凍食品 リンガーハットの「ちゃポリタン」(2食セット)
(画像=冷凍食品 リンガーハットの「ちゃポリタン」(2食セット))
冷凍食品 リンガーハットの「鶏白湯の濃厚ちゃんぽん」(2食セット)
(画像=冷凍食品 リンガーハットの「鶏白湯の濃厚ちゃんぽん」(2食セット))

冷凍食品は順調に伸びており、今後は会社の中で第三の大きな柱となれるよう取り組んでいく。ECや量販店にこだわらず販路を拡大し、5年で売上50億を達成し、将来的には100億円規模まで伸ばしたい。ECや量販店に加え、冷凍自販機での販売により、目標達成につなげていく。

〈冷食日報2022年10月26日付〉