三育フーズ「ダニエルラボ」ヴィーガンハム
(画像=三育フーズ「ダニエルラボ」ヴィーガンハム)

三育フーズは6月、ヴィーガン対応の新ブランド「ダニエルラボ」の第1弾商品として、「ヴィーガンハム」を自社ECサイトで新発売した。8月には第2弾の代替肉の風味を調整する調味料「ニックポック」も発売しており、現在は第3弾として、ハンバーグの開発を進めているという。

同社は「卵乳菜食」を提唱し、食品添加物を極力使わず、植物性たん白食品の製造販売を長年行ってきた。植物性たん白のハムとして、ロングセラーの「大豆のハム」や「大豆ローフ」をラインアップしているが、いずれも卵白を使っていた。「原材料を工夫し、卵白を使わなくても歯応えのある商品が開発できた」(平尾正弘社長)ことから、新ブランドの「ダニエルラボ」を立ち上げるに至った。

三育フーズは、キリスト教会のセブンスデー・アドベンチスト教団を母体としている。「ダニエルラボ」のブランド名は、旧約聖書の一書ダニエル書に登場するダニエルのエピソードに由来するという。同書の中でダニエルは、バビロンの宮廷で食事として提供された王の食べる肉や王の飲む酒を拒み、野菜と水を日々の食物として選び、勉学に励んだことで他の誰よりも賢い者になったという話が記されている。ヴィーガンを貫いたダニエルの食事を研究して製品を作り出すことを目的としたブランドだという。

〈燻製醤油「ニックポック」は大豆臭をマスキング、酵母エキスなしでも肉っぽく〉
「ニックポック」は有機しょうゆ加工品で、乾燥大豆ミートを水戻しする際の大豆臭をマスキングする効果がある。乾燥大豆ミート25gを水戻しして、5gを揉み込む形で使用する。同社の商品の取り扱いが多い自然食品店などでは、酵母エキスを使っていない商品の要望が寄せられていた。代用できる原料を探す中で、千葉県木更津市のしょうゆメーカー、リオの燻製醤油にたどり着く。

三育フーズ「ダニエルラボ」ニックポック
(画像=三育フーズ「ダニエルラボ」ニックポック)

「酵母エキスやブイヨンなどを使わずに、燻製の香りの機能でほんのり肉のような味を感じる。添加物なしで肉っぽくなるということで、『ニックポック』という商品名だ」と説明する。大豆たん白を用いた代替肉の大豆臭を消す選択肢として、提案していくとしている。

三育フーズは公式ユーチューブチャンネルでレシピ動画を公開しているが、「ニックポック」のパンフレットにも、同社の乾燥大豆ミート「大豆たんぱくうす切り」を使った「大豆ミートのねぎタン風」のレシピを掲載している。なお、リオは同社の商品開発アドバイザーにもなっている。

三育フーズ 乾燥大豆ミート「大豆たんぱくうす切り」
(画像=三育フーズ 乾燥大豆ミート「大豆たんぱくうす切り」)

「ダニエルラボ」ブランドサイトも立ち上げた。従来の三育フーズブランドは問屋を通してスーパーや自然食品店で販売しているが、「ダニエルラボ」については、「ヴィーガン商品に興味がある人へ直に販売できるルートをつくっていく必要がある」とし、自社ECサイトやヴィーガン商品専門のネットスーパー「ブイクックスーパー」などの直販ルートで販売している。

三育フーズは、植物たん白食品の自社工場を持っており、まずは小ロットで販売し、大きな反響があれば量産化につなげることが可能だ。「直販なのでフィードバックがもらえる。受け入れられるものを増産していく」と説明する。

なお同社は「ヴィーガンハム」をはじめ、大豆のソーセージ「リンケッツ」やレトルトの「大豆ミートで作りました」シリーズといった自社商品の製造者表示を、「セブンスデー・アドベンチスト教団食品事業部三育フーズ」に改めた。

〈大豆油糧日報2022年10月25日付〉