食品産業新聞社
(画像=食品産業新聞社)

日清食品ホールディングス(株)(安藤宏基社長)は10月17日、日清食品グループが保有する「ビフィズス菌N61株」が、「加齢に伴って低下する認知機能を維持する」ことを「臨床試験で明らかにした」と発表した。

日清食品グループの「グローバルイノベーション研究センター」は乳酸菌の健康効果に関する研究を進めている。今回の発表によると、乳児由来の乳酸菌「ビフィドバクテリウム・ロンガムN61(ビフィズス菌N61株)」について、セロトニン分泌促進能力が高いことを発見したという。

ビフィズス菌N61株は、出生後の早い時期から高齢になるまでヒトの腸内で優勢的に棲息している。セロトニンは全身に広く分布する神経伝達物質の一つで、その多くは腸で作られる。別名“幸せホルモン”とも呼ばれ、脳内のさまざまな働きに関連があることが知られている。

今回の臨床試験は「加齢に伴う記憶力の低下を自覚している健康な中高年」60人を対象に実施。30人(N61摂取群)に「ビフィズス菌N61株を含むタブレット」、一方の30人(プラセボ摂取群)に「ビフィズス菌N61株を含まないタブレット」を12週間、1日1回摂取させた。摂取前と12週間の摂取後、コンピュータ上で認知機能をテストできるパッケージ「Cognitraxbasic package」の結果をもとに、総合記憶力スコアが平均以上の被験者について解析。その結果、N61摂取群(17人)はプラセボ摂取群(17人)に比べて、視覚記憶に関する項目で有意なスコアを示したという。この成果に関する論文は、医薬原著論文投稿誌「薬理と治療(2019年第47巻第10号、1677-1688)」に掲載された。

日清食品ホールディングスは「“脳腸相関”(腸内細菌を含めた腸と脳が機能的に関連すること)による健康への影響に着目し、ビフィズス菌摂取による認知機能維持を目指した研究を続けていく」としている。

〈米麦日報2022年10月20日付〉