カーボンニュートラルに対応した電力プランに関する調査を実施(2022年)
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2021年度のCO2フリー型電力プランの市場規模は15万件

~2022年度は顧客の多様化などにより市場規模は45万件を見込む~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のCO2フリー型電力プランの市場を調査し、市場動向や主要プレイヤーの動向、将来展望について明らかにした。

CO2フリー型電力プラン市場規模推移・予測

矢野経済研究所
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1.市場概況

本調査におけるCO2フリー型電力プランとは、電力小売事業者などが再生可能エネルギーや非化石証書などを活用して、CO2排出量がゼロもしくは実質ゼロの電力を顧客に供給する電力プランを指す。

日本国内における2021年度のCO2フリー型電力プランの市場規模(年間契約件数ベース)を15万件と推計する。CO2フリー型電力プランを採用する動きは、外資系企業や国際的な気候変動イニシアティブ(例:RE100)に賛同する国内企業などカーボンニュートラルの取り組みを推進する大手企業で先行している。2021年度は、電気自動車補助金の支給要件に再生可能エネルギー100%の電気の使用が盛り込まれたことも、CO2フリー型電力プランの新規契約を後押しする要因となった。

Scope3(事業者の活動に関連する他社の温室効果ガスの排出)の対策に乗り出している企業では、取引先に対して使用エネルギーの低炭素化・脱炭素化を求める動きがみられる。そのため、サプライチェーン上の要請を受けた中小企業など、企業規模や業種を問わずCO2フリー型電力プランを採用する例が出てきている。

2.注目トピック

一般家庭向けCO2フリー型電力プラン

一般家庭向けCO2フリー型電力プランは、電気自動車補助金の支給要件に再生可能エネルギー100%の電気の使用が盛り込まれたことや、ポイント還元に代表される経済的なメリットを付与したプランを展開する新規参入事業者の登場などにより徐々に市場が形成されてきている。

経済的なメリットを付与した一般家庭向けCO2フリー型電力プランを展開する新規参入事業者は、カーボンニュートラルを前提とした社会への変化に適応する新たな成長市場としてエネルギー事業を位置付けている点が特徴である。

今後、このような社会への変化を見据えて事業戦略を構築する電力小売事業者が増え、経済的なメリットなど「環境価値プラスα」の付加価値を付与した一般家庭向けCO2フリー型電力プランのラインアップが充実してくれば、CO2フリー型電力プランの市場規模を押し上げる要因となり得る。

3.将来展望

日本国内における2022年度のCO2フリー型電力プランの市場規模(年間契約件数ベース)を45万件と見込む。法人向けや一般家庭向け以外にも、マンション共用部向けや工事現場向けなどのプランが登場してきており、多様な顧客の需要の掘り起こしに寄与すると考えられる。さらに、ゼロカーボンシティを表明する自治体が増えており、公共施設におけるCO2フリー型電力プランの需要が拡大すると見込む。2023年度以降も、主要な新電力事業者の施策が発展し、政策(法規制、補助金利用など)が大きく変わらなければ、市場規模が拡大するものと予測する。

ただし、2022年度内に原燃料価格の高騰が収まらず、電力小売事業者が再生可能エネルギーや非化石証書などの確保に係る投資を抑制したり、供給能力の問題などを理由に新規顧客の開拓を制限したりした場合、市場規模の見込み値は下振れする恐れがある。

調査要綱

1.調査期間: 2022年4月~6月
2.調査対象: 電力小売事業や電力テック事業などを展開している企業
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンラインを含む)、電話・e-mailによる取材、ならびに文献調査併用
<CO2フリー型電力プランとは>
本調査におけるCO2フリー型電力プランとは、電力小売事業者が再生可能エネルギーや非化石証書などを活用して、CO2排出量がゼロもしくは実質ゼロの電力を顧客に供給する電力プランを指す。
<市場に含まれる商品・サービス>
特別高圧向けCO2フリー型電力プラン、高圧向けCO2フリー型電力プラン、低圧向けCO2フリー型電力プラン

出典資料について

資料名2022年版 カーボンニュートラルに向けた新電力事業者の戦略と将来展望
発刊日2022年06月30日
体裁A4 250ページ
価格(税込)198,000円 (本体価格 180,000円)

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