「アンナミラーズ」は8月5日、公式サイトに「順番待ちシステムの導入と入店の案内について」の文書を掲載した。
「アンナミラーズ」は1973年に日本1号店をオープン。国内最後の1店舗である高輪店は、国土交通省による品川駅西口基盤整備事業に伴う移転要請を受け、2022年8月31日で閉店することが決定している。
アンナミラーズの日本展開は、井村屋製菓株式会社(現・井村屋グループ株式会社)初代社長の井村二郎氏が、特色あるアメリカンパイに出会い、サンフランシスコにあったアンナミラーズ社と提携したのが始まりだ。
練りパイと言われる食感のあるパイ生地や濃厚なカスタードクリームを使うなど当時日本にない数々のパイやコーヒーのおかわり無料サービス、アメリカと同じユニフォームなどアンナミラーズが提供したホスピタリティ(おもてなし)の数々は、高度経済成長期にあった生活スタイルに合致し、多くのファンの支持を獲得。一時は国内25店舗を数えたが、生活スタイルの変化などもあり、事業規模を縮小。高輪店が最後の1店舗となっている。
閉店決定の発表があった6月中旬以降、「アンナミラーズ」高輪店には利用客が殺到し、パイの売り切れも連日発生する状況になった。「アンナミラーズ」では席の予約・商品の取り置き・予約受付の一時停止、購入個数の制限、パイの販売を毎日10時からと18時からの1日2回とし、売り切れ次第終了するなどの措置をとった。
「アンナミラーズ」によると、今回新規導入した「順番待ちシステム」は、利用客の熱中症回避、新型コロナウイルスの感染拡大防止、入口付近の混雑緩和の観点から導入したもの。開店時刻の約30分前をめどに店頭に発券機を設置する。呼び出し状況はQRコードからスマートフォンで確認でき、利用客は順番が来るまで店を離れて待つことが可能だ(呼び出し後20分でキャンセル扱いとなる)。
「アンナミラーズ」では「8月31日の閉店まで、皆様のご来店を心よりお待ちしております」としており、高輪店はお盆期間中も9時から22時までの通常営業(最終入店時間は21時)。提供メニューは9時から11時までの「ブレックファストメニュー」、11時から20時までのグランドメニューと、10時から21時までのパイメニューを用意している。ただし、現在は利用客が増加しているため、一部食事メニューやパイの品種が少ない場合がある。また、パイについては全品完売の場合もある。
なお、井村屋では今後、「アンナミラーズ」について高輪店同様の集客力が得られる立地候補を検討しているが、現在のところ新規出店は未定。ただし、「アンナミラーズ」の一部商品は、アンナミラーズ公式オンラインショップや井村屋ウェブショップなどでのEC販売を継続。また、さまざまな展開を進めていく予定だという。