M&Aコラム
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黎明期を迎えた日本のサーチファンドに新しい人財を求む―。サーチファンド・ジャパンはM&Aを活用して経営者を目指すサーチャー(経営者候補)の募集に向けた説明会を2022年7月26日、日本M&Aセンター東京本社で開催しました。平日夜にも関わらず経営者志望の数十人が出席し、サーチファンドの仕組みやサーチファンド・ジャパンの特徴について耳を傾けました。当日はマスコミの撮影もあり、広がりつつあるサーチファンドへの期待を感じさせる説明会となりました。

サーチファンドとは、優秀な経営者候補(サーチャー)が主導して、ファンドの資金支援などを受けながら魅力的な中小企業を事業承継して自ら経営に携わる活動です。「ファンド」という名前こそ付きますが、あくまで主役は経営者候補の個人。人材最優先で投資家の存在は裏方が基本となります。1980年代にアメリカで仕組みが考案され、現在では人材ファーストの新しい事業承継の形として世界中で注目度が高まっています。

第一人者と国内有数の企業群が支援

日本政策投資銀行(DBJ)とキャリアインキュベーション、日本M&Aセンターなどが出資するサーチファンド・ジャパンは2020年に設立。トップの伊藤公健代表取締役は2014年に日本で初めてサーチファンドによる事業承継に取り組んだ第一人者で、日本にサーチファンドを広めようと事業展開しています。
2022年には専任サーチャーによる初の事業承継も実現し、現在までに約10人がサーチャーとして活動しています。この度、事業拡大を見据えてサーチャー募集を再開することとなりました。

新しい事業承継として注目されるサーチファンド

説明会では、伊藤公健代表取締役がマイクを握り「サーチファンドはアメリカではすでに30年以上の歴史があり、毎年数十人のサーチャーが新規の活動を始めています」と説明します。サーチファンドの仕組み自体が新しい事業承継かつ経営者キャリアへの道となり、中小企業の可能性を広げる社会的な意義も語ります。発祥国のアメリカでは、サーチファンドを活用した企業投資の内部収益率も高く、「投資面でも優れた制度で魅力的です」と付け加えます。

新しいビジネスモデルを生み出す起業家とサーチャーを比較して、「ゼロイチタイプではない優秀な人材がアントレプレナーシップを発揮できることがサーチファンドの特徴」と紹介し、サーチャーに求められる人材像について、「外様社長として中小企業のトップとなるため、100%歓迎されないこともあるでしょう。その中でも従業員の信頼を勝ち取って、組織を引っ張っていくことが必要になります」と、リーダーとして誠実さとコミュニケーション能力を持ち合わせる重要性を強調し、参加者から寄せられた多くの質問にも答えました。

サーチファンド・ジャパンでは8月25日にも、日本M&Aセンターと連携して事業内容について説明するセミナーを開催します。伊藤代表取締役は「少しでもサーチファンドに興味がある方はセミナーにお越しいただき、多くの方にサーチファンドを知っていただきたい」と話しました。

プロフィール

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伊藤 公健(いとう・きみたけ)
サーチファンド・ジャパン 代表取締役
マッキンゼー、ベインキャピタルを経て日本初のサーチファンド活動を開始。
株式会社ヨギー他、中小企業への投資、アドバイザー等多数。2020年に株式会社サーチファンド・ジャパンを設立し、代表へ就任。
東京大学工学系研究科(建築)修了。
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