矢野経済研究所
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2023年度の国内医療ICT市場規模は2021年度比1.28倍の211億4,000万円を予測

~電子問診システム、診療所向けクラウド型電子カルテは特に高い成長率~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の医療ICT市場を調査し、主要セグメント別の市場動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

国内医療ICT市場規模推移・予測

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1.市場概況

本調査における国内医療ICT市場のうち、クラウド型電子カルテやクラウド型医療用画像管理システム(PACS)は、院内にサーバー等の設置が不要であり導入コスト削減やシステム維持に関わる負担軽減に効果的であることから、特に小規模病院における電子カルテ・PACS導入率向上に貢献している。一方で病院ごとの個別仕様へのカスタマイズ対応が困難になる等のデメリットから、大規模病院には比較的不向きなため導入はあまり進んでいない。PACSの外部保存サービスについては、災害時のデータ消失のリスク軽減などの観点から、大規模病院においても導入がみられる。

主に診療所に導入されているオンライン診療システム、診療予約システム、電子問診(Web問診/タブレット問診)システムについては、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた3密(密閉空間、密集場所、密接場面)回避へのニーズや新規開業の診療所における導入率の向上などを背景に、市場拡大がみられる。

以上のような状況のなか、2021年度の国内医療ICT市場規模(事業者売上高ベース)は165億7,800万円と推計した。同年度をセグメント別でみると、市場構成比の大きいセグメントは診療予約システム、クラウド型医療用画像管理システム(PACS)/外部保存サービス、診療所向けクラウド型電子カルテの順である。

2.注目トピック

新型コロナウイルス感染症の影響によりオンライン診療システムの導入が拡大

新型コロナウイルス感染症の影響を受け、2020年に入ってからオンライン診療への注目度が一気に高まり、オンライン診療システムを提供する新規参入企業が急増した。政府による時限的な規制緩和や参入企業各社による無償提供などが相まって、オンライン診療システムの契約施設数は2020年4月~7月頃にかけて急増し、その後も契約施設数の拡大は続いている。

そのような中、2020年度の市場規模は前年度比1.81倍に拡大している。しかしながら、契約施設数の伸びは2021年度には落ち着きを見せており、また医療機関向けには無償提供とする企業も多いことなどから、2021年度の市場規模は前年度比で減少となっている。

3.将来展望

2023年度の国内医療ICT市場規模(事業者売上高ベース)は、2021年度比1.28倍の211億4,000万円になると予測する。同年度比で特に成長率が高いのは、電子問診システム、診療所向けクラウド型電子カルテである。

電子問診システムは2018年度頃より参入企業が増加するなど本格的な市場形成が進んでいることから、高い成長率が続いている。診療所向けクラウド型電子カルテについては、新規開業の診療所において初期費用を抑えられるクラウド型が選択される割合が増加していること、クラウド型製品を積極的に展開する事業者(ベンダー)が増加していることが、高い成長率の主な要因である。

調査要綱

1.調査期間: 2022年4月~6月
2.調査対象: 国内メーカー及びサービス事業者、医療施設等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・e-mail等によるヒアリング調査および文献調査併用
<医療ICT市場とは>
本調査における医療ICT市場とは、クラウド型電子カルテ(病院向けおよび診療所向け)、クラウド型医療用画像管理システム(PACS)/外部保存サービス(病院向け)、オンライン診療システム、診療予約システム、電子問診(Web問診/タブレット問診)システムを対象とし、事業者売上高ベースで国内市場規模を算出している。

なお、クラウド型医療用画像管理システム(PACS)は院内サーバーを設置しないタイプの製品を指し、「外部保存サービス」は院内サーバーを設置し、かつ全データまたは5年以上前などの長期データをクラウドサーバーに保存するタイプの製品を指す。
<市場に含まれる商品・サービス>
クラウド型電子カルテ、クラウドPACS/外部保存サービス、オンライン診療システム、診療予約システム、電子問診(Web問診/タブレット問診)システム

出典資料について

資料名2022年版 次世代医療ICT市場の現状と展望
発刊日2022年06月29日
体裁A4 249ページ
価格(税込)165,000円 (本体価格 150,000円)

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