障がい者雇用支援サービスの市場規模は拡大基調で推移、2021年度の市場規模は前年度比7.9%増の6,931億円
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の障がい者雇用支援サービス市場について調査を実施し、分野別の市場動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。
障がい者雇用支援サービス市場(4分野計)推移・予測
1.市場概況
2021年度の障がい者雇用支援サービス市場規模(「就労移行支援・就労定着支援」「就労継続支援A型・B型」「人材紹介・採用代行サービス」「農園・サテライトオフィス型雇用支援サービス」4分野計)は、事業者売上高ベースで前年度比7.9%増の6,931億円となった。当該市場は、障がい者数の増加※や障害者雇用促進法に基づく法定雇用率などを背景に各種支援サービスの需要は高まりをみせており、2021年度は調査対象4分野ともに市場は拡大した。
2021年度の分野別市場規模は、「就労移行支援・就労定着支援」が862億円(前年度比4.0%増)、「就労継続支援A型・B型」が5,946億円(同8.2%増)、「人材紹介・採用代行サービス」が26億円(同13.0%増)、「農園・サテライトオフィス型雇用支援サービス」が97億円(同24.4%増)であった。当該市場は「就労継続支援A型・B型」が占める割合が高いものの、「農園・サテライトオフィス型雇用支援サービス」が調査対象4分野の中では最も高い伸び率で推移しており、規模を急速に拡大させている。
2.注目トピック
就労形態、障がい種別の多様化に対応した支援が求められている
コロナ禍を発端とするテレワークや在宅勤務などの就労形態の多様化、精神・発達障がいのある人の増加※などによる障がい種別の多様化は当該サービスの市場構造に変化をもたらしており、これらに対応した支援も求められている。現状では精神・発達障がいの特性に配慮したサービスの拡充が推し進められているほか、就労移行支援ではIT系人材の不足やテレワーク対応の一環としてIT系スキルを訓練するプログラムを投入する動きなどがみられる。
3.将来展望
2022年度の障がい者雇用支援サービス市場規模は前年度比8.2%増の7,500億円を予測する。障がい者雇用支援サービスは、多くの企業が段階的に引き上げられる障がい者の法定雇用率に対応ができていないことや、障がい者の数は増加傾向※にあることから、当該サービスの需要は引き続き高まりを示していくものと考える。
一方、障がい者雇用は法定雇用率の達成に注目が集まる傾向はあるが、障がい者の安定就業と戦力化ひいては障がい者雇用の広がりを求めていくためには、障がい者を受け入れる企業側も障がい者雇用に関するノウハウを習得していくことが必要となる。 この対応として、多くのサービス提供事業者は顧客企業の理解を深めるためにセミナー実施などの啓蒙活動を展開するほか、一部のサービス提供事業者では自社で培ったノウハウを顧客企業へ伝授する取り組みなどを推し進めている。こうした顧客企業内での障がい者雇用に関するノウハウを習得、蓄積するための支援がますます重要視されていくものと考える。
※データ出所:厚生労働省公表資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/18/backdata/01-01-01-02.html
調査要綱
1.調査期間: 2022年4月~6月 2.調査対象: 障がい者雇用支援サービス提供事業者 3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・メールによ るヒアリング調査、ならびに文献調査併用 |
<障がい者雇用支援サービスとは> 本調査における障がい者雇用支援サービスとは、障がい者(当事者)の職業生活の自立に資する就労系福祉サービス、および障がい者雇用において法人が抱える課題解決に資するサービスを対象とした。 具体的には当事者向けの「就労移行支援・就労定着支援」「就労継続支援A型・B型」、法人向けの「人材紹介・採用代行サービス」「農園・サテライトオフィス型雇用支援サービス」の4分野を対象としており、市場規模は事業者売上高ベースで算出した。 |
<市場に含まれる商品・サービス> 就労移行支援・就労定着支援、就労継続支援A型・B型、人材紹介・採用代行サービス、農園・サテライトオフィス型雇用支援サービス |
出典資料について
資料名 | 2022 注目の人材関連ビジネスレポート <障がい者雇用支援サービス編> |
発刊日 | 2022年06月28日 |
体裁 | A4 116ページ |
価格(税込) | 165,000円 (本体価格 150,000円) |
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