JA全農は6月21日、2022年7~9月期の配合飼料供給価格を、とうもろこしのシカゴ定期や大豆粕価格の値上がり、外国為替の円安推移から、前期(22年4~6月期)に対し、全国全畜種総平均t当たり1万1,400円値上げすると発表した。連続の大幅な値上げとなった。
※シカゴ相場は、アメリカのシカゴにあるシカゴ商品取引所や商業取引所などで形成される相場。穀物、油脂、畜産物などの国際的な指標価格となっている。
とうもろこしのシカゴ定期は、ロシアのウクライナ侵攻により3月は1ブッシェル当たり750セント前後まで急騰した。米国での作付遅延もあり、4月下旬には820セント前後まで上昇。その後は米国での作付が順調に進んだことで下落し、現在は770セント前後となっている。
今後は北米・南米の天候に左右されるが、需給は世界的に引き締まった状態が続くため、相場は堅調推移が見込まれる。大豆粕のシカゴ定期は、3月には1t当たり500ドル前後だったが、米国でのバイオディーゼル向け大豆油需要の高まりから、副産物である大豆粕の発生量が増加し、需給が緩和し下落、現在は470ドル前後にある。
一方で日本国内の大豆粕価格は、シカゴ定期が下落しているものの、主要輸入相手国の中国での新型コロナ感染再拡大により、大豆搾油量が減少。中国産の調達が困難となったことで、南米産などへの切り替えで輸送費が増加、円安の影響などから大幅な値上げが見込まれる。
米国ガルフ・日本間のパナマックス型海上運賃は、2月上旬に1t当たり60ドルまで下落したが、ロシアのウクライナ侵攻に伴う原油高騰、石炭輸送需要の増加などから船腹需給が引き締まったことで上昇し、現在は80ドル台となっている。今後は原油相場が高止まりしていること、南米産穀物輸出の本格化などから、海上運賃は堅調に推移するものと見込まれる。
外国為替は3月前半には115円台で推移していたが、米国でインフレ率が高い水準で継続し、利上げの実施により日米金利差が拡大しているため円安に進み、現在は130円台となっている。今後は日米の金利差が引続き拡大する可能性が高いが、金融引き締めにより米国経済の景気悪化も懸念されるため、相場は一進一退での推移が見込まれる。
〈畜産日報2022年6月23日付〉