2021年のスポーツ用品国内出荷金額は前年比110.7%の1兆5,504億7,000万円の見込
~2ケタ成長の見込みながら、コロナ禍前の2019年出荷実績には届かず~
株式会社 矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のスポーツ用品市場を調査し、製品セグメント別の市場動向や参入企業の動向、将来展望を明らかにした。
スポーツ用品分野別国内出荷市場規模推移
1.市場概況
2021年のスポーツ用品国内市場規模(国内出荷額ベース)は、前年比110.7%の1兆5,504億7,000万円を見込む。2020年の市場は同89.8%と新型コロナウイルス感染拡大によって、各種スポーツイベントが中止や延期に追い込まれたことから大幅減となったが、2021年はその反動増で2ケタのプラス成長となる見通しである。一部で活動制限はあるものの、各スポーツイベントや学校部活動の再開によってスポーツ用品の需要が喚起された。また、感染リスクが低いとされるゴルフやアウトドア、釣り、サイクルスポーツといったアクティビティに注目が集まり、エントリー層の増加によってこれらスポーツ用品が市場の成長を牽引する役割を担った。
ただ、これらのカテゴリー(分野)を除く、多くのスポーツ用品がコロナ禍前の2019年の出荷実績には届いておらず、本格的な市場回復には至っていない。また、東南アジアをはじめとする主要生産国におけるロックダウンの影響もあり、スポーツ用品はサプライチェーンが寸断される事態に陥っている。サプライチェーンの正常化には時間を要す見通しで、今後の市場回復にブレーキがかかることも予測する。
2.注目トピック
総延べ床面積3,721坪 東京・新宿に国内最大規模のスポーツ用品売場誕生
2022年7月に創業50年を迎えるスポーツ用品大手リテーラー(小売事業者)のアルペンが、4月1日に東京・新宿に旗艦店「Alpen TOKYO」をオープンした。地下2階から地上8階までの全10フロア構成で、総延べ床面積は3,721坪の国内最大規模となるスポーツ用品売場が誕生した。
出店場所は新宿駅東口から徒歩1分の場所で、主要幹線道路となる新宿通り、靖国通りが交差するところに立地し、売場は「スポーツデポフラッグシップストア新宿店」、「アルペンアウトドアーズフラッグシップストア新宿店」、「ゴルフ5フラッグシップストア新宿店」で構成される。いずれのショップも、他のアルペングループ店舗に入っていないブランドまで取り揃えるほか、新たなサービスも導入して特徴を打ち出すという。
今後の焦点は、新宿、渋谷、池袋に立地するゼビオグループをはじめ、他のスポーツ用品リテーラーが増床やリニューアル、新規出店といった対抗措置を仕掛けるかどうかだろう。大手スポーツ用品リテーラーが、大型店の新規出店を追随する可能性もあり、新宿を中心とする都心エリアで競争が激化することも考えられる。将来的には、東京・神田小川町を超えるスポーツ用品店街が都心エリアに生まれる可能性もある。
3.将来展望
スポーツ用品市場は少しずつ消費回復への明るさを取り戻しており、2022年のスポーツ用品国内市場規模は、前年比104.7%の1兆6,226億7,000万円と2年連続でプラス成長を予測する。今後の下振れ要因となるリスクを挙げると、新型コロナウイルス感染の再拡大、サプライチェーン正常化の遅れ、原材料価格の高騰により一部スポーツ用品メーカーが製品値上げを検討していることである。
調査要綱
1.調査期間: 2022年1~3月 2.調査対象: スポーツ関連企業・メーカー・卸売業・輸入商社・小売業等 3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに郵送アンケート調査併用 |
<スポーツ用品市場とは> 本調査におけるスポーツ用品市場とは、ゴルフ、スキー・スノーボード、釣り、アスレチックウエア、アウトドア、スポーツシューズ、テニス、スイム、野球・ソフトボール、サイクルスポーツ、バドミントン、武道、卓球、サッカー・フットサル、バスケットボール、バレーボール、ラグビーの主要17分野の関連用品を対象とし、メーカー出荷金額(国内出荷額)ベースで市場規模を算出した。 そのうち、アスレチックウエアは「トレーニングウエア」「ライフスタイルウエア(カジュアルウエア)」「フィットネスウエア」「陸上競技・ランニングウエア」を、スポーツシューズは「ランニングシューズ」「ウォーキングシューズ」「多目的シューズ(カジュアルスニーカーを含む)」「キッズシューズ」「トレーニングシューズ(フィットネスシューズを含む)」「スポーツサンダル」を対象とした。 |
<市場に含まれる商品・サービス> ゴルフ用品、スキー・スノーボード用品、釣用品、アスレチックウエア、アウトドア用品、スポーツシューズ、テニス用品、スイム用品、野球・ソフトボール用品、サイクルスポーツ用品、バドミントン用品、武道用品、卓球用品、サッカー・フットサル用品、バスケットボール用品、バレーボール用品、ラグビー用品 |
出典資料について
資料名 | 2022年版 スポーツ産業白書 |
発刊日 | 2022年03月29日 |
体裁 | A4 586ページ |
価格(税込) | 170,500円 (本体価格 155,000円) |
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