《Shot Sage Blue Marilyn》(1964)
(画像=《Shot Sage Blue Marilyn》(1964))

2022年5月9日、クリスティーズオークション「The Collection of Thomas and Doris Ammann Evening Sale」がニューヨークで開催。トーマス・アマンファインアートの共同設立者であり、兄妹でもあるトーマスとドリスのコレクションから、20世紀を代表するアーティストの傑作36点が紹介された。本オークションより、落札価格TOP5の作品とANDART取り扱いアーティストの落札情報をお届け。1USD=130.42円(5月9日時価)で計算、落札価格は手数料込み。

5)アンディ・ウォーホル《Flowers》
落札価格:約20億6,683万円($15,847,500)

《Flowers》(1964)
(画像=《Flowers》(1964))

出典:https://www.artprice.com/

アメリカを代表するポップアーティスト、アンディ・ウォーホル(1928-1987)の代表的モチーフである「花」をアクリル絵の具とシルクスクリーンで描いた作品。本作は、1964年にウォーホルがレオ・カステリ・ギャラリーで開催した展覧会「The Flowers」で展示された3点のうちの1点。全ての作品が完売し、成功をおさめたこの展覧会は、アメリカのポップアートシーンの全盛期を表す歴史的なものとされている。(予想落札価格:約19億5,630万円〜26億840万円/$15,000,000 – 20,000,000)

ANDARTでは「菊」をモチーフにしたフラワーシリーズのひとつ《KIKU (F&S II.308)》を取り扱い中。

4)サイ・トゥオンブリー《Venere Sopra Gaeta》
落札価格:約22億1,616万円($16,992,500)

《Venere Sopra Gaeta》(1988)
(画像=《Venere Sopra Gaeta》(1988))

出典:https://www.artprice.com/

今回のTOP5には、アメリカ出身の画家・彫刻家のサイ・トゥオンブリー(1928-2011)が2作品ランクイン。本作はドイツのルネサンス期の画家アルブレヒト・デューラーの《ネメシス(偉大なる幸運)》(1501-1502)を題材に、南イタリアにあるガエータで描かれた作品。1980年代に入ると、それまでの黒板に落書きのようなループを描いた作品から、本作のように叙情的で柔らかく自然のイメージが表れ始め、トゥオンブリーにとって重要な転換期とされている。(予想落札価格:約13億420万円〜約19億5,630万円/$10,000,000 – 15,000,000)

3)ロバート・ライマン《Untitled》
落札価格:約26億2,682万円($20,141,250)

《Untitled》(1961)
(画像=《Untitled》(1961))

出典:https://www.artprice.com/

ロバート・ライマン(1930-2019)はアメリカのミニマリズムの画家。ライマンは正式な美術教育を受けておらず、1953年から1960年まで警備員として働いていた美術館で絵画を研究する。本作が描かれた頃、本格的に絵画制作に取り組み始め、以来半世紀以上にわたって、ほとんど白一色で正方形の支持体に描かれた作品のみを制作。本作はライマンのキャリア初期を表す重要な作品である。(予想落札価格:約19億5,630万円〜26億840万円/$15,000,000 – 20,000,000)

2)サイ・トゥオンブリー《Untitled》
落札価格:約27億3,882万円($21,000,000)

《Untitled》(1955)
(画像=《Untitled》(1955))

出典:https://www.artprice.com/

1955年に制作された本作は、トゥオンブリーの芸術家としての到達点を示すキャリア初期の優れた作品。線と形、絵画と素描が難解な文字で結ばれていて、トゥオンブリーらしさが溢れる。トゥオンブリーがイタリアに移住する2年前にニューヨークで制作され、1956年にステーブル・ギャラリーで開催した2度目の個展で発表された貴重なキャンバス作品群のひとつ。(予想落札価格:約13億420万円〜約19億5,630万円/$10,000,000 – 15,000,000)

1)アンディ・ウォーホル《Shot Sage Blue Marilyn》
落札価格:約254億3,712万円($195,040,000)

《Shot Sage Blue Marilyn》(1964)
(画像=《Shot Sage Blue Marilyn》(1964))

出典:https://news.artnet.com/

ウォーホルの代表作であり、シンボルでもあるマリリン・モンローのポートレート。アクリル絵の具とシルクスクリーンで描かれた本作は、色の異なるマリリン・モンローを描いた5枚のうちのひとつ。当初の予想落札価格であった2億ドルを下回ったものの、ウォーホルのオークション最高落札価格を更新。また、20世紀の作品史上、そしてアメリカ美術作品においても最高額を記録した。(予想落札価格:約261億円/$200,000,000)

ANDARTでは、セレブリティのポートレートシリーズのひとつである「エリザベス・テイラー」のプリント作品《Liz》を取り扱い中。

【ANDART取り扱いアーティスト落札情報】
ジャン=ミシェル・バスキア 《His Glue Sniffing Valet》
落札価格:約9億8,645万円($7,260,000)

《His Glue Sniffing Valet》(1984)
(画像=《His Glue Sniffing Valet》(1984))

出典:https://www.artprice.com/

ウォーホルとも親交があったジャン=ミシェル・バスキアによる高さ2mを超える作品。車椅子に乗った人物と紙袋から息を吸い込む顔のないシルエットが背後に描かれている。この作品について、バスキアにしては珍しく、絵の誕生の具体的なエピソードが語られている。

ある朝、バスキアが家のドアを開けたら、車椅子に乗った男とその後ろで糊を嗅いでいる男がいて、金をせびってきたそう。バスキアが金を渡すと、車椅子の男が感謝の気持ちを示そうとバスキアを近くに引き寄せたが、男が汚かったため、バスキアは断ってしまった。後でそのことを悪く思ったバスキアは、「絵の具で彼と向き合わなければならなかった・・・これは純粋にドキュメンタリーである数少ない絵の一つです」と語っている。(予想落札価格:約7億8,252万円〜10億4,336万円/$6,000,000 – 8,000,000)

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文:ANDART編集部