2021年度は前年度からある程度売上を回復する調剤薬局チェーン経営企業が多くなる見込
~今後、中堅チェーン同士の合併などの動きが見られ、業界再編が加速化する見通し~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の調剤薬局市場を調査し、現況、参入企業動向、将来展望を明らかにした。
1.市場概況
2020年度の調剤薬局チェーン経営企業は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受け、売上高の伸び悩みあるいは前年度を下回った企業が多く見受けられた。コロナ禍での受診控えやそれによる処方箋枚数減少などが売上を直撃し、苦戦を強いられた形となった。
2021年度はコロナ禍の影響から一定程度脱却することや、技術料の取得など調剤報酬の改善、M&Aを含む新規店舗の増加および前期に出店した店舗の寄与などにより、2020年度からある程度売上を回復する企業が多くなる見通しである。
しかし、未だ終息の見えないコロナ禍で今後の規制動向含め先行きが読めない部分が多く、2022年度に向けたWithコロナを前提にした体制作りなど、各社模索している状況である。
2.注目トピック
変革できない薬局は淘汰の可能性が高まる
近年の調剤報酬改定でも鮮明となったが、今後の調剤報酬改定は「患者のための薬局ビジョン」の実現に向けた政策が反映されることになる。
かかりつけ薬剤師・薬局機能を強化できない調剤薬局チェーン経営企業は、調剤点数が確保できず経営が厳しくなるものと見られる。そうした企業は調剤報酬の一回や二回の改定には対応できるが、改定が回数を重ねることで徐々に打撃を受ける。
また、門前薬局(敷地外だが病院のすぐ近くにある調剤薬局)の評価見直しが進められており、大型門前薬局とくに立地依存型の門前薬局は苦戦を強いられることになる。加えて、敷地内薬局(病院の敷地内にある調剤薬局)が解禁されたことで、敷地内薬局以外の調剤薬局にも処方箋は流れるが、病院前に林立する門前薬局の中には撤退を余儀なくされる薬局も出現すると思われる。
3.将来展望
国内の調剤薬局市場では、薬剤師不足と後継者問題に加えて事業継続への不安感を背景に、中堅チェーン経営企業や中小薬局の売却や合併がさらに増加する見込みである。
今後、2022年度の調剤報酬改定の影響も懸念されており、近年は中堅チェーン同士の合併などが多く見られ、業界再編が進んでいくことが考えられる。経営の安定化と事業規模拡大に向けて、大手の調剤薬局チェーン経営企業はシェアの拡大に注力しており、再びM&Aが活発となり本格化する見込みである。
調査要綱
1.調査期間: 2021年11月~2022年2月 2.調査対象: 調剤薬局経営企業および製薬企業、医薬品卸、レセプトコンピュータベンダー 3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話による調査、ならびに文献調査併用 |
<調剤薬局とは> 本調査における調剤薬局とは、地方厚生局長等に届け出た保険薬局(保険調剤が可能な薬局)で、医療機関から発行された処方箋に基づき医薬品を交付する薬局を指す。 調剤業務を主体とする調剤専門薬局の他、物販を主体とする薬局・ドラッグストアでも調剤業務を実施している店舗が含まれる。 |
<市場に含まれる商品・サービス> 調剤薬局経営企業、調剤薬局チェーン経営企業 |
出典資料について
資料名 | 2021~2022年版 調剤薬局の実態と展望 |
発刊日 | 2022年02月28日 |
体裁 | A4 224ページ |
価格(税込) | 132,000円 (本体価格 120,000円) |
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