2020年度の国内M2M市場は前年度比1.4%増の2,130億円
~人手不足や遠隔/リモート志向の追い風はあったが、コロナ禍の逆風で環境は厳しかった~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内外のM2M市場を調査し、市場規模、セグメント別の動向、参入企業動向、注目技術動向、将来展望を明らかにした。
国内M2M市場規模推移・予測
1.市場概況
本調査では、人が介在せずに、主に携帯電話 / PHS通信規格に準じた通信モジュールを内蔵した機器・デバイス間で情報のやり取りをするM2M(Machine to Machine:機器間通信)を対象とし、ネットワークを用いたシステム構築やプラットフォームの利用などの動向を調べている。
2020年度の国内M2M市場規模(事業者売上高ベース)は2,130億円で、前年度比1.4%増と微増推移であった。同年度では通年を通してコロナ禍の逆風があり、人手不足や遠隔/リモート志向の高まりといった追い風はあったものの、厳しいビジネス環境であった。
2021年度においても、依然としてコロナ禍における新規受注の低迷や、LTE対応通信モジュール需要の一巡もあって、前年対比2.8%増に止まる2,190億円を見込む。
2.注目トピック
製造/工場向けIoT型遠隔監視システム
製造/工場では、既にIoT型遠隔監視が普及しているエネルギー設備などのファシリティに加えて、‘大型・高額な生産機器・設備’での普及も始まっている。また工場の新設時、及び既存設備の更新時などには、次世代仕様(IoT機能)を組み込んだ機器・設備を導入する動きも顕在化している。 さらにここ数年は、製造業でのビジネスモデルの変革(従来型の機器販売/モノ売りだけではなく、サービス販売/コト売りタイプのビジネスモデル)が起こりつつあり、そこにIoT型遠隔監視システムを組み込む流れもある。
時間軸で見ると、2025年頃までは売上規模3,000億円以上の大手メーカーが主導する。そして2025年以降では、売上規模500~3,000億円の中堅・準大手メーカーへの浸透が見込まれる。大手メーカーでの成功を前提として、 2030年以降にはほぼ全ての製造機器・設備のIoT化が実現すると予測し、その結果中堅・中小メーカーを含めたほぼ全ての製造業で、IoT型遠隔監視システムの活用が可能になると考える。
3.将来展望
2022年度以降では、withコロナが定着してM2M志向も戻ってくることや、5G対応モジュールの登場による新たな需要喚起(5G型M2Mソリューションの登場)も期待される。さらに大手通信キャリアが法人向けIoT/M2M志向を強めていることや、総務省がMVNOへの参入促進による競争環境と新たなサービス創出を狙っていることも奏功要因になってくる。そのため2025年度に向けてのM2Mマーケットは、伸長率的にはやや鈍化するものの、基本的には拡大基調が継続すると考える。
また、モバイルアプリはキャッシュレス決済に加え、ショッピングや飲食(事前)注文、タクシー配車、ゲームなど様々な機能を持つミニアプリを搭載したスーパーアプリ化を進めており、アプリ利用者が使用機会を増やすことで、コード決済金額の更なる拡大につながるものと考える。
3.将来展望
今後、コロナ禍で抑制された消費活動の活発化や国が推進するキャッシュレス比率の上昇などを背景として、クレジットカードの利用が増加するとともに、コード決済をはじめとする様々なプリペイド決済も更なる拡大を遂げる見通しである。2025年度のキャッシュレス決済市場は約153兆円まで拡大すると予測する。
調査要綱
1.調査期間: 2021年11月~2022年3月 2.調査対象: 通信キャリア / MVNO、ITベンダー、SIer(システムインテグレーター)、プラットフォームベンダーなど 3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・メールによるヒアリング調査併用 |
<M2M市場とは> M2M(Machine to Machine:機器間通信)とは、人が介在せずに、主に携帯電話 / PHS通信規格に準じた通信モジュールを内蔵した機器・デバイス間で情報のやり取りをする仕組みを指す。 また本調査におけるM2M市場規模とは、M2Mを実現するためのネットワーク(ネットワーク機器、通信モジュール、センサー/デバイス)、プラットフォーム(クラウド)、システム(アプリケーション、ミドルウェアなど)等を対象として、各事業者の売上高ベースで算出した。 <IoT市場とは> IoT(Internet of Things)は、既存のM2M通信領域に加えて、家電製品や家具、パソコン、 スマートフォン、タブレット端末、人(SNSなどの情報)、畜産・ペット、運輸・物流、防犯・セキュリティ、見守りサービスなど、ネットワーク接続環境下にある全てのモノやコトを対象とする。そのためマーケット構造として、IoTは本調査におけるM2Mを包括する上位概念に位置する。 |
<市場に含まれる商品・サービス> ネットワーク・回線利用料/通信費、通信モジュール、センサー/デバイス、プラットフォーム/クラウド利用料、システム/アプリケーション開発費、パッケージ/ミドルウェア料、運用管理費など |
出典資料について
資料名 | 2022 IoT/M2Mマーケット ~保全/現場作業支援/スマートメータソリューションなどで実装が進むIoTビジネスの展望~ |
発刊日 | 2022年03月29日 |
体裁 | A4 267ページ |
価格(税込) | 198,000円 (本体価格 180,000円) |
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