ゼロからわかる知らないと損する行動経済学
(画像=AndreyPopov/stock.adobe.com)

(本記事は、ポーポー・ポロダクションの著書『ゼロからわかる知らないと損する行動経済学』=日本文芸社、2022年3月9日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

熟知性の法則ポートフォリオ理論
私たちは身近な企業に投資したくなる

◉ リスクを最小にする考え

多種多様な分散投資で収益を最大にして、リスクを最小にしようという「ポートフォリオ理論(現代ポートフォリオ理論)」というものがあります。ここでいうリスクとは、危険という意味ではなく、将来大きく利益が上がったり、下がったりする振れ幅の大きさのことです。

投資先がひとつであると、よいときは大きな利益を期待できますが、悪くなると大きな損害を出してしまう可能性があり、分散することで安定した利益を得ることを期待するものです。

◉ 身近なものを信頼する

私たちが株式投資を考える場合、自分がよく知る企業や地元にある企業に投資をしようとする傾向があります。たとえば、投資信託では海外よりも国内のものに目が行きます。

人には「熟知性の法則(原則)」というものがあり、相手を知れば知るほど好意をもちやすい傾向があります。

人は好意をもつとそれを「信用がある」と置き換えてしまい、過大に評価して投資する対象として考えてしまうのです。

逆に知らない、親しくないことを「信用がない」と考える傾向があり、「知らないものは悪いもの」と考える人が増えます。

知らないものを詳しく調べてから評価するのではなく、単純に悪いものという思い込みをもつ傾向は年々高まっています。

貯金ができない人と節約ができない人の“思考”とは

現在バイアス
「貯金ができない」本当の理由

◉ 貯金できない人

厳しい経済状況を背景に、余裕のない世帯が多くあります。2020年金融広報中央委員会の家計の金融行動に関する世論調査によると単身世帯で36.2%、2人以上の世帯では16.1%が運用目的の預貯金ゼロと回答しています。

また、経済状況とは別に性格的に貯金ができないという人も多くいます。貯金ができない人は、生活して残ったお金を貯金に回そうと考える人が多いのですが、貯金ができる人は貯金するお金を最初に確保して、残りのお金で生活をしようと計画をする傾向があります。

未来よりも今をつい大事に考えて貯金ができない、そんな人は「現在バイアス」が強く働いている人かもしれません。「現在バイアス」は将来よりも目先の利益に高い価値を感じてしまう、思考の偏りです。

◉現在バイアスを測定する

「今だったらみなさんに1万円を差し上げます。しかし、1年待っていただけると上乗せして差し上げるとします。いくら上乗せしたら、1年待ちたいと思いますか」

3万円と答えた人は、1年後にもらえる1万円は今日では2500円の価値しかありません。1万5000円と答えた人は4000円の価値と考えます。ポーポーでは32名にこの質問をしたところ平均19781円になりました。最も多かった上乗せ金額は1万円でした。

貯金ができない人と節約ができない人の“思考”とは

現状維持バイアス
知るとお金が増える心理効果

◉節約を遠ざけてしまう心理効果がある

お金を増やすには、収入を増やすと同時に、支出を減らす方法がありますが、この節約がうまく機能しないことがわかっています。

たとえば、みなさんはよく行くレストランで、いつも同じものを注文していませんか?

新しいメニューに挑戦してみたいと思うものの、いざ注文するといつも同じものを注文してしまいます。他にも節約したいとは思っていても、頻繁にプロバイダーの契約を見直したり、スマホのプランを積極的に確認しないのではないでしょうか。

人は商品やプランが変わることで、より自分にメリットがあることを感じていたとしても、積極的に「変化」を選ばない傾向があるのです。これを「現状維持バイアス」といいます。お金を増やすためにはこのバイアスの存在を知って、積極的に変化を選ぶことが求められています。

◉バイアスを機能させようとするメーカー

もし人がこのバイアスを破って、どんどん安いプランに乗り換えられると企業は大きな利益を出せません。そこで企業側もバイアスを働かせる工夫をしています。

新商品は単純に以前のプランと比較して、「安い」と比較できない複雑な提案をしてくることがあります。これはより、変えるのは面倒だと思わせ、現状維持バイアスが働くようにと考える企業側の施策なのです。

貯金ができない人と節約ができない人の“思考”とは
ゼロからわかる知らないと損する行動経済学
ポーポー・ポロダクション
「人の心を動かすようなおもしろくて楽しい良質なものを作ろう」をポリシーに、遊び心を込めた企画を考え、映画・ゲーム・アミューズメント・ファッション・スポーツなど多様な業種と関わりを持ちながら、書籍などを手がけている。心理学・色彩心理学・行動経済学を研究、様々な学問を横断的に活用し、商品開発や企業のコンサルティングなども行なう。著書に、『「色彩と心理」のおもしろ雑学』(大和書房)、『マンガでわかる色のおもしろ心理学』『マンガでわかる人間関係の心理学』(以上SBクリエイティブ)、『色と性格の心理学』『決定版色彩心理図鑑』(以上日本文芸社)などがある。

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