2021年度の理美容向け業務用化粧品市場は、前年度比106.4%の1,478億円
~コロナ禍による理美容室の来店客数の減少が影響も、店販品を中心とするヘアケアカテゴリーが大きく伸長~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、国内の理美容向け業務用化粧品市場を調査し、市場規模、都道府県別やカテゴリー別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。
理美容向け業務用化粧品市場規模推移・予測
1.市場概況
2021年度の理美容向け業務用化粧品市場規模は、メーカー出荷金額ベースで前年度比106.4%の1,478億円となった。理美容向け業務用化粧品市場は前年度から続く新型コロナウイルス感染拡大による影響も、2020年4~5月の大幅な来店客数の落ち込みほどのインパクトは薄く、小売店舗の営業行為に対する制約も限定的であるなど、サロンへの客数回復が緩やかに進んでいる。
また、コロナ禍の旅行やレジャー、ファッション等への支出が憚られるも、根源的な美容ニーズが毛髪への関心を促したことで、身近な非日常体験としての理美容サロンへの支出金額の上昇にもつながったとみられる。コロナ禍を契機に店販ECのチャネル網構築が一層進んだことで、例年以上に店販品の販売が活性化した。
2.注目トピック
ホームケア商材のEC・販促アプリ等、物販ビジネス領域を強化する取組みが加速
理美容業界も他の小売業と同様にオンライン販売を有力な物販ビジネスモデルとして取組みを進めてきた。今般のコロナ禍を契機に、店頭以外の顧客接点や販売の機会創出として、非対面・非接触型の販売チャネルとして、メーカーやディーラーによるECシステムの開設や導入が相次いでいる。
理美容化粧品メーカーは自社製品を導入するサロンの利用客を対象に、また、大手美容ディーラーは個々の取引先サロンが使用する化粧品メーカー毎にホームケア用品のオンラインシステムを構築、これらシステムを利用するサロンも増加している。
3.将来展望
2020年度の市場は新型コロナウイルス感染拡大で理美容サロンの来店客数が大幅に減少、店頭施術売上の減少に加えて店販品の提案機会も減少するなど、大きく落ち込んだ。2021年度は感染対策が進み、ECシステムによる店販品購入環境も整備されたことでとりわけ物販が拡大した。
2022年度以降も来店客数の改善が進む一方で、マスク着用習慣が身に付き、平時も感染リスクを考慮するなど極力不要不急の外出や密を避けるといった一定の生活様式の形成も想定すると、コロナ禍前と同等レベルで来店客数が回復することは難しい見込みである。さらに、少子化による美容人口の減少という構造的問題も重なり、市場は減少トレンドで推移していくとみられる。
調査要綱
1.調査期間: 2022年1月~3月 2.調査対象: 理美容化粧品メーカー、理美容化粧品商社・ディーラーその他、理美容関連協会・団体、理美容関連企業 3.調査方法: 当社専門研究員の直接面談(オンライン含む)、電話・e-mailによるヒアリング調査、ならびに文献調査併用 |
<理美容向け業務用化粧品市場とは> 本調査における理美容向け業務用化粧品市場とは、国内理容所(理容室)と美容所(美容室)で主に毛髪に関する施術に供するために必要な業務用化粧品全般、及びサロン利用客を対象に販売するサロン専売のホームケア化粧品の市場をさし、原則として宿泊施設・エステティックサロン等で使用されている業務用化粧品は含まない。 |
<市場に含まれる商品・サービス> 理美容業界向けの、ヘアカラー剤、パーマネントウェーブ剤、ヘアケア剤、スタイリング剤、その他付随する美容関連化粧品 |
出典資料について
資料名 | 2022年版 理美容化粧品マーケティング総鑑 |
発刊日 | 2022年03月28日 |
体裁 | A4 282ページ |
価格(税込) | 132,000円 (本体価格 120,000円) |
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