2022年3月1日〜15日にかけて、クリスティーズのオンラインオークション「Laugh now but one day we’ll be in charge: Banksy and 21st Century Editions」が開催。オークション名にもなっている《Laugh Now》を始めとするバンクシー20点を中心に、現代アートのエディション作品が出品された。本記事では落札価格の高かったTOP5の作品とANDART取り扱いアーティストの落札結果を紹介。£1=151.67円で計算、落札価格は手数料込みで表記。

5)バンクシー《Choose your Weapon (Cool Grey)》
落札価格:約1,529万円(£100,800)

《Choose your Weapon (Cool Grey)》 (2010)
(画像=《Choose your Weapon (Cool Grey)》 (2010) )

出典:https://www.artprice.com/

タイトルは「武器を選べ」という意味。フードとバンダナで顔を隠した男はバンクシー自身とされ、“武器”として犬を連れている。この犬は、ストリートアートの先駆者キース・ヘリングが描いた「吠える犬」のモチーフを模したもの。暴力ではなくストリートアートによって社会を変えようとする意思が感じられる。同じくアートを大衆に開こうとしていたヘリングの志を受け継いでいるとも言われる。(予想落札価格:約1,517万〜2,275万円 / £100,000〜150,000)

4)バンクシー《Christ with Shopping》
落札価格:約2,293万円(£151,200)

《Christ with Shopping》 (2004)
(画像=《Christ with Shopping》 (2004) )

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《Chirist with Shopping(買い物袋を持つキリスト)》に描かれているのは、磔刑に遭うキリストが、買い物袋の重さによる痛みに耐えている場面。もともとはキリスト生誕を祝う神聖な行事だったクリスマスが、現代では消費文化を象徴する日となっていることを皮肉っているのだろうか。2004年に84部限定で出版されて以来、コミッションワーク以外では制作されていないため、希少な作品となっている。(予想落札価格:約1,213万〜1,820万円 / £8,000〜12,000)

3)バンクシー《Banksquiat (Grey)》
落札価格:約2,484万円(£163,800)

《Banksquiat (Grey)》 (2019)
(画像=《Banksquiat (Grey)》 (2019) )

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夭折のアーティスト、ジャン=ミシェル・バスキアへのオマージュ作品。観覧車のゴンドラが、バスキアのトレードマークである王冠のモチーフになっている。もととなった壁画は、2017年、ロンドンで20年ぶりとなるバスキアの展覧会直前、会場近くのトンネルに突然現れた。本作と同エディションの作品は、2019年にバンクシーが期間限定で開いた公式オンラインショップ「Gross Domestic Product」で販売され、そのわずか1年後にオークションに出品された際、230倍以上の価格になったことでも話題を呼んだ。(予想落札価格:約1,213万〜1,820万円 / £80,000〜120,000)

2)バンクシー《Choose your Weapon (Gold)》
落札価格:約3,631万円 (£239,400)

《Choose your Weapon》 (Gold) (2010)
(画像=《Choose your Weapon》 (Gold) (2010) )

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《Choose your Weapon》には19色のカラーバリエーションがあるが、ゴールドとシルバーは少数のコレクター向けに「VIPエディション」として制作された貴重な色。それぞれ25部ずつ制作されており、ゴールドがオークションに出品されたのは今回が初めて。シルバーは2018年にロビン・ウィリアムズ夫妻のコレクションからサザビーズ(ニューヨーク)に出品され、約783万円($68,750、当時のレートで計算)で落札された。(予想落札価格:約3,334〜4,550万円 / £200,000~300,000)

1)バンクシー《Girl with Balloon》
落札価格:約5,733万円 (£378,000)

《Girl with Balloon》(2004)
(画像=《Girl with Balloon》(2004) )

出典:https://www.artprice.com/

バンクシーを代表する「風船と少女」をモチーフとした作品が1位にランクイン。本作は150部のサイン入りスクリーンプリントで、600部のサインなしエディションよりも全体的に高値で取り引きされている。2018年の「シュレッダー事件」でも有名だが、すでに2017年には、平和を願う象徴として「イギリス人が好きな芸術作品」1位にも輝いた人気作品。(予想落札価格:約4,550万〜7,584万円 / £300,000~500,000)

【ANDART取り扱い作品落札情報】
バンクシー《Napalm》
落札価格:約752万円 (£69,390)

Napal《Napalm》《Napalm》(2004) (2004) m-1024x733.jpeg
(画像=《Napalm》(2004) )

出典:https://www.artprice.com/

反戦、反資本主義の強いメッセージが込められたバンクシーの代表作。ベトナム戦争で撮影された報道写真に写る少女が、アメリカの資本主義を象徴するキャラクターに手を引かれている。タイトルは、ベトナム戦争で投下された「ナパーム弾」から取られており、ここに描かれた少女も爆弾によってやけどを負った。本作はサインのない500エディションのスクリーンプリント。(予想落札価格:約543万〜760万円 / £50,000~70,000)

ANDARTでは、《Napalm》のさらに貴重なサイン入りエディション(150部限定)を取り扱っている。

ダミアン・ハースト《Honour (H9-6), from the series: The Virtues》
落札価格:約287万円 (£18,900)

《Honour (H9-6), from the series: The Virtues》(2021)
(画像=《Honour (H9-6), from the series: The Virtues》(2021))

出典:https://www.artprice.com/

「武士道の八徳」をタイトルにした《The Virtues(美徳)》のうち、「名誉」にあたるのが本作。桜のシリーズは、国立新美術館で開催している日本初の大規模個展「ダミアン・ハースト 桜」を視野に入れて制作された。イギリスの出版社「HENI」から出版されたプリントである本作は、他のファインアーティストに先駆けてNFTに参入したハーストらしく、発売時にビットコインとイーサリアムを受け入れたことでも話題となった。(予想落札価格:約106万〜152万円 / £7,000~10,000)

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文:ANDART編集部