〈輸入品の高止まりでホルスに引き合いもスソ中心〉
例年2月は不需要期で相場も低迷する時期ではあるが、ことし2月の牛肉需給は堅調な輸出や、各種補助事業の影響で枝肉相場は一定程度下支えされた。それでも1月中旬から新型コロナウイルス感染症が急拡大し、まん延防止等重点措置が全国各地で発令・延長されるなど、末端需要は外食やホテル、ブライダル関係などを中心に回復に至らなかった。このため、枝肉相場は月初から中旬にかけて下げ基調となった。
ただ、下旬からは3月上旬のまん防解除への期待感もあり上向いた。和牛去勢A4(東京市場)は、月初に2,300円台でスタートし、2週目には2,100円台まで下落を見せたが、3~4週目には上向き、一時2,400円台を付けた。それでも月間平均では2,284円となった。3月は当初は首都圏でのまん防が6日に解除される予定だったが、首都圏や関西など18都道府県では21日までの延長となった。例年であれば花見や卒業式などの会食需要が見込まれるが、長引くコロナ禍では末端消費拡大の期待は薄い。
それでも、3月6日には13県でまん防が解除され、若干の外食需要回復も期待したいところだ。枝肉相場は首都圏でのまん防解除も見据えて、ジリ上げ展開に期待したい。輸入牛肉の高止まり・入船遅れの影響で、ホルスはスソ物を中心に堅調な需要が見られるが、ロイン系への引き合いは弱く、パーツ間格差が広がり、枝肉相場を押し上げるほどではないようだ。
交雑種はコスト面から、輸入牛肉の代替需要は難しいが、今後さらに輸入量が減少となればスソ物を中心に多少の引き合いも期待される。首都圏でのまん防が解除となれば、ホルスや交雑種のロイン系需要回復が期待される。
〈供給見通し〉
農畜産業振興機構の牛肉需給予測では、3月の出荷頭数は前年同月比0.8%減の8.8万頭で、このうち和牛が3.9万頭・同2.5%減、交雑種2.1万頭・同8.9%増、乳用種2.7万頭・同7.3%減を見込んでいる。輸入牛肉はチルドが1.8万t・同22.5%減と予測している。
2月は豪州・米国ともに、現地価格の高止まりなどにより減少したが、3月はさらに昨対減と予測している。フローズンは2.3万t・同1.1%減と予測している。米国からの輸入量が現地価格の高止まりなどにより減少することで昨対減を見込んでいる。
〈需要見通し〉
3月は例年であれば、彼岸前後から花見や歓送迎会需要などで末端消費回復が期待されるが、コロナ禍では消費回復への期待は弱い。今後は首都圏などでのまん防解除時期が注目されるが、再び延長となると、ゴールデンウイークにも影響を及ぼしてしまう。
需要が回復しない現状では、コロナ禍で迎える年度末でもあり、各社在庫を極力抱えたくないマインドが働くものと見られる。一方でまん防が解除となった地方を中心に需要回復を期待したいが、解除即時回復とはなっておらず、緩やかに需要が回復するかに注目したい。
〈価格見通し〉
3月は例年後半から需要が強まるが、出荷動向や輸入品の高値・入船遅れ、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う、まん防延長などを勘案すると、和牛や交雑種は価格を押し上げるほどの勢いはなく、ホルスに関しては引き合い増加傾向にあるものの、高級部位のヒレやロインの販売は苦戦しているため、価格は据え置くものと見られる。
このため月間平均相場は、前月平均相場から大きな変動はなくもちあうものとみられ、和去A5で2,550円前後、同A4が2,300円前後、同A3が2,050円前後、交雑去勢B3が1,450円前後、B2は1,300円前後、乳去B2が1,000~1,050円程度と予想される。
〈畜産日報2022年3月8日付〉