中国軍による台湾侵攻は北京五輪後!? 侵攻が日本に与える3つの影響
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すでに2022年が始まって早3ヶ月。もうすぐ今年度も終わりにさしかかり、新たな門出を迎える人も多いかもしれない。

THE OWNERでは今年度にヒットした記事を振り返る特集を企画。今年度話題を呼んだ「中国」の動向について振り返る記事をピックアップした。

今日世界では台湾有事への警戒感が強まっている。最悪の場合には中国による台湾統一が実行に移されることを意味する。今の中国は何を考えているのか、過去の記事をピックアップしながら見ていこう。

1.中国軍による台湾侵攻は北京五輪後!? 侵攻が日本に与える3つの影響

(2022/02/05 配信)

世界では米中対立が深まり、それによって企業の海外活動も影響を受けている。バイデン政権の対中政策により、企業の人権デューデリジェンスの重要性が高まり、ファーストリテイリングやカゴメなど日本企業が輸入差し止めや調達先の変更などを余儀なくされたのはその典型例といえる。

そのような中、今日世界では台湾有事への警戒感が強まっている。台湾有事とは、文字通り台湾を取り巻く軍事的緊張が高まり、最悪の場合には中国による台湾統一が実行に移されることを意味する。日本の隣に位置することから、日本国内でも懸念の声が各地から聞こえてくる。

では実際問題、台湾有事が発生する可能性はどれほどあるのか。そのような場合に、日本はどのような影響を受ける恐れがあるのだろうか。地政学リスクの専門家として、筆者なりの見解をここでは述べてみたい。

国防機関や専門家から相次ぐ台湾有事発言

2022年になってから、国防機関や専門家などから台湾有事について具体的な言及が相次いでいる。

たとえば、トランプ政権で国家安全保障担当の大統領補佐官を務めたマクマスター氏は2021年10月、米シンクタンク「ハドソン研究所」での講演で、「中国軍による台湾侵攻の恐れについて、2022年2月の北京冬季五輪終了後に危険な時期に入るだろう」と懸念を示した。

台湾国防部の邱国正部長も2021年10月、台湾の国会にあたる立法院の会合の席で、「2025年には中国が台湾を全面的に侵略することが可能になる」として、中国への警戒感と台湾の軍備を強化する必要性を訴えた。

さらに、米インド太平洋軍のデービッドソン司令官は2021年3月、上院軍事委員会の公聴会で、「今後6年以内に中国が台湾に進攻する可能性があり、インド太平洋地域で米中の軍事力が拮抗・逆転し、中国にとって有利な安全保障環境が予想より早く到来する恐れがある」と指摘した。

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2.中国テンセントが10年で初の減益 理由は中国政府の「ゲーム禁止令」

(2021/12/31 配信)

好調だった第2四半期から一転、中国のネットサービス大手、テンセント(騰訊控股)の第3四半期の非IFRS純利益が10年来初の減益となった。中国当局による大手テック企業締め付けの背景から同社の将来性に疑問を唱える声もあるが、失速はあくまで一過性のもので、市場では概ね「2022年に見通しが明るくなる」との期待感が膨らんでいる。

非IFRS 純利益が10年来初の減益

同社の決算報告書によると、第3四半期(7~9月期)売上高は前年同期比13%増の1,424億元(約2兆5,325億円)、国際会計基準(IFRS)の営業利益は前年比21%増の531億元(約9,443億7,026万円)、営業利益率は前年比2ポイント増の37%に増加した。株主に帰属する純利益(以下、純利益)は3%増の395億1,000万元(約7,024億8,534万円)を記録するなど、堅調な伸びを示した。

しかし、投資収益や無形資産の売却などを控除・調節した非IFRSの純利益となると、話は別だ。コア収益を反映する非IFRSは本来の収益力を測定する指針とされており、ここでの純利益は前年同期比2%減の317億5,100万元(約5,646億6,283万円)と、過去10年間で初めて減益となった。13%増を記録した前四半期と比べると、その差は歴然としている。純利益率は前年から4ポイント減の23%だった。

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3.ソニー中国が1800万円の罰金刑 日本人が知らない中国で『絶対タブーの6日間』とは?

(2021/11/20 配信)

ソニー中国法人が大失態を犯し、中国当局から100万元の罰金刑を科された。中国のビジネス界ではタブーとされる「特別な日(7月7日)」に、新商品を発売するとの広告をネットに掲載したことが発端だ。

深刻な問題が起きてから、「現地の常識をしらなかった」ではすまされない。事前に「敏感な日」を把握しておくことは、中国で事業を運営する上で極めて重要な要素である。

ソニー中国「罰金約1800万円」の理由

ソニー中国は、同社の広告をみた消費者から批判が殺到したことを受け、7月1日に広告を削除したうえで、新商品の一眼レフカメラの発売日が「不適切な選択」であったことを謝罪した。しかし、謝罪後も「7月7日がどのような意味をもつかしらないとは、信じられない」など、批判が相次いでいるという。「日本はやはり過去の戦争を反省していない」と、反日感情を露わにする声もある。

一方、中国当局は「国家の尊厳を損なう広告」に当たるとし、同社に対して100万元(約1,783万円)の罰金刑を言い渡した。

ソニー中国の誤算は、中国のビジネスのタブーを軽視していたことだ。

日本では7月7日というと七夕だが、中国では盧溝橋事件が起きた歴史的に重要な日である。このような「敏感な日」にイベントなどを設定すると、消費者や関係者の反感を買うだけではなく、今回のように当局が介入する騒動に発展しかねない。そうでなくても、中国側の出席者が参加を辞退したり、従業員からボイコットが起きたりと、予期せぬ事態を招く恐れもある。

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4.中国恒大集団、いよいよデフォルトか?3度目の利払い遅延で世界恐慌の再来も

(2021/10/17 配信)

中国の大手不動産開発業者「恒大集団」が、3,000億ドルを超える巨額の負債を抱えて破たんする恐れが高まっている。現実となれば中国最大級の規模での経営破綻となり、リーマンショックのような現象が世界中に波及する可能性も捨てきれない。

デフォルト(債務不履行)へのカウントダウンが開始した今、市場には緊迫した空気が張り詰めている。

フォーチュン500企業、恒大集団とは?

1996年に設立し、広東省深圳市に本拠を置く恒大集団は、中国の急速な経済の波に乗って飛躍的な成長を遂げた企業のひとつである。2009年には香港で上場し、現在までに280以上の都市で800を超える不動産開発プロジェクトを手掛けてきた。不動産開発のほかに、インターネットから電気自動車(EV)まで事業の多角化にも積極的だ。

過去にはフォーチュン500企業にランクインした実績もあり、2017年のピーク時には時価総額が500億ドル(約5兆5,708億円)を突破するなど、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いだった。創業者の許家印(シュー・ジアイン)は、2021年10月5日現在も118億ドル(約1兆3,148億円)の資産を保有する、フォーブス世界長者番付55位の大富豪である。

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5.中国「一人っ子政策」のツケ 「三人産め!」に国民が“冷”視線

(2022/01/08 配信)

人口増加に歯止めがかからず、長年にわたり「一人っ子政策」を実施していた中国が、今度は「三人っ子政策(三孩政策)」を打ち出した。過剰な産児制限が少子高齢化を加速させ、生産年齢人口を縮小させているのだ。手のひらを返したような改正に翻弄される国民は、冷ややかな反応を示している。

毛沢東が遺した負の遺産?「一人っ子政策」のツケ

「人口を増やせば経済が発展する」と考えた1代目国家主席、毛沢東の経済拡大政策を経て、中国の人口は1960年代に急増した。ピーク時の1963年には出生率が43%を超え、1979年の人口は30年前の1.8倍に値する9億7,542人に増加した。その結果、各地で食料不足や貧困問題が深刻化するなどの弊害が生じた。

人口増加を抑制する必要に迫られた3代目国家主席、鄧小平は、1979年に夫婦一組につき子どもの数を一人に制限する「一人っ子政策」を導入した。これにより出生率や自然増加率(出生と死亡の差によって生じる人口の増加)は著しく低下した。

ところがこの両極端な政策が、後に少子高齢化や人口性比の不均等といった新たな問題を引き起こすこととなる。

中国国家統計局の発表によると、2020年の高齢者(65歳以上)が総人口に占める割合は13.5%と10年間で4.6ポイント増えたのに対し、労働世代(15~59歳)の割合は63.4%と6.8ポイント減った。また、男性の人口の比率が女性を2.4%上回り、出生性比も正常水準である105を6.3上回っている。

同国ではすでに、男女比率の不均等が原因で「結婚できない独身男性が3,500万人存在する」と中国メディアは報じているが、結婚できない成人男性は今後さらに増加することが予想される。

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いかがだっただろうか。中国は巨大な国家であるため、外交においてもビジネスにおいても非常に大きな影響力を持つ。中国軍による台湾侵攻はもちろん、中国恒大のデフォルト問題は日本の金融市場に悪影響を与えかねない事態にまで発展している。今後も外交やビジネス、歴史などの視点から中国を注視することが必要だろう。

文・THE OWNER編集部

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