注目のオークション結果から、NFTのトピックまで。先週1週間でアートマーケットを賑わせた話題を振り返ります。(1ドル=115円、1ユーロ=132円で換算)

目次

  1. アート投資
  2. NFT
  3. オークション結果
  4. オークションハウス・作品取引
  5. コラボレーション

アート投資

▍ANDARTが「指値売却」機能を導入。オーナー権を売り手から希望価格でオファーが可能に

ユーザー間取引に待望の売却機能追懐!お持ちのオーナー権を売りたい価格で売却オファー
(画像=ユーザー間取引に待望の売却機能追懐!お持ちのオーナー権を売りたい価格で売却オファー)

日本初、アート作品の共同保有プラットフォーム「ANDART」は、会員間取引におけるオーナー権の指値売却機能を導入した。売り手から指値で売却オファーが可能になり、保有しているオーナー権を希望価格で売却しやすくなった。売り手・買い手の双方からオファーが出せることで、オーナー権の活発な売買を促進し、より多くの作品を保有できるきっかけを創出。すでに「指値売却」機能を使用した取引が活発に行われている。

▍ANDARTで販売開始直後に完売した人気4作品の会員間取引スタート。オーナー間手数料が実質半額になるキャンペーンも

買いオファー成立でもれなく手数料半額キャッシュバンク!さらに、SNSシェアでWチャンス。
(画像=買いオファー成立でもれなく手数料半額キャッシュバンク!さらに、SNSシェアでWチャンス。)

「ANDART」は、販売開始直後に完売した人気4作品の会員間取引を2月2日(水)正午12時からスタートした。会員間取引を開始したのは以下の4作品。

友沢こたお《slime XCVIII》(2021)

Jean-Michel Basquiat《Jawbone of an Ass》(1982-2004)

バンクシー《Flag》(2006)

奈良美智《Broken Treasures》(2012)

また、2022年2月2日(水)〜2022年2月14日(月)の期間中、「期間中に購入オファーを入れ、そのオファーが成立した場合」、または「売却オファーからオーナー権を購入した場合」、オファーに対して発生する手数料分の半額をキャッシュバック。さらに購入画面のSNSシェアをしていただいた方から、抽選で30名様に手数料を全額バックするキャンペーンも開催している。

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NFT

▍ダミアン・ハーストが新たなNFTをドロップ。物理的なアート作品との交換も、NFTでの権利取引も可能

NFTが発売されたダミアン・ハーストの作品「The Currency」。複数の赤い蝶が並べられている。
(画像=NFTが発売されたダミアン・ハーストの作品「The Currency」。複数の赤い蝶が並べられている。)

画像引用:https://fadmagazine.com/

昨年、NFTプロジェクト「The Currency」で話題を呼んだダミアン・ハーストは、新たなNFTをドロップした。ダミアン・ハーストが丁寧に構成した蝶モチーフの5枚のプリントシリーズ「The Empresses」だ。蝶はハーストがキャリアの初期から扱っていた彼の有名なモチーフのひとつ。

今回の作品は物理的なプリントを直接購入することもできるが、NFT版を購入すると、プリントの受け取りを最大3年間遅らせることができる。NFT版を購入した場合は、後日、NFTを物理的なアート作品と交換することも、NFTを取引することでプリントの権利を引き継いだりすることもできるという。価格は3,500ドル (約40.3万円) だが、今後、どのような取引が行われていくかが気になるところだ。(FAD magazine)

関連記事:ダミアン・ハーストが揺さぶる アートとお金の既成概念。NFTプロジェクト「The Currency」が問いかけるものとは?

▍NFTプロジェクト「Bored Ape Yacht Club」の企業が資金調達の交渉を実施。企業価値は約4,600億円から5,750億円の評価か

「Bored Ape Yacht Club」のPFP(プロフィール画像)。
(画像=「Bored Ape Yacht Club」のPFP(プロフィール画像)。)

画像引用:https://www.artnews.com/

大成功を収めているNFTプロジェクト「Bored Ape Yacht Club」を運営するYuga Labs社は、米国の大手ベンチャーキャピタルに資金調達の交渉を実施している。Yuga Labs社は、数百万ドル規模の株式を売却する準備を進めており、これが成立した場合、その企業価値は40億ドルから50億ドル (約4,600億円から5,750億円) の評価になると言われている。

これまで、OpenSeaやMakersPlaceなどのNFTプラットフォームには多くの投資家が資金を提供しているが、Bored Apesのような個々のNFTプロジェクトに同じような投資が行われたことはなく、今回の交渉が成立すれば、この種のプロジェクトに対する初の機関投資となる。(ARTnews)

▍Nike、スニーカーのNFTを巡り ショッピングプラットフォームのStockXを提訴

「Nike」は20日、ショッピングプラットフォームの「StockX」が同ブランドの製品を基にしたNFTを無断で作成・販売したとして、ニューヨークで訴訟を起こした。Nikeは、損害賠償と裁判所による差し止め命令を求めており、StockX社に販売の中止を求めている。StockX社はすでに550枚以上のナイキブランドのNFTを販売しているという。先日は、「エルメス」のバッグをモチーフにしたNFTを無許可で販売したデザイナーが提訴されるなど、無許可でブランドの「のれん」を利用したNFTの問題が明るみに出始めている。(khaleejtimes)

オークション結果

▍2人の女性アーティストが躍進!1/28~29 SBIオークション

2022年1月28日〜29日、SBIオークション「LIVE STREAM & Modern and Contemporary Art」が開催。国内外アーティストの500近くの作品が出品された。なかでも、2位と4位にランクインしたロッカクアヤコは、2作品ともに予想最高落札価格の6倍以上の落札となり、大きな話題となった。

関連記事:2人の女性アーティストが躍進!1/28~29 SBIオークション落札価格TOP5

▍愛と平和を訴える代表的作品がトップに。2/3フォーラム「Only Banksy」

2022年2月3日、ロンドンでフォーラムオークション「Only Banksy」が開催。バンクシーの人気モチーフを中心に13のプリント作品が出品された。1位と5位は同じ作品のサインの有無違いだが、倍以上の価格となり、希少性の価値がよく分かる結果となった。

関連記事:愛と平和を訴える代表的作品がトップに。2/3フォーラム「Only Banksy」落札価格TOP5

オークションハウス・作品取引

▍オークションハウスがバンクシーによるストリート作品のカタログ・レゾネ (全作品目録) を無許可で発行。9,000万円以上の収入が見込まれる

オランダのオークションハウスは、バンクシーのストリート作品を集めた初のカタログ・レゾネ(アーティストの全作品目録。オークションの真贋判断の根拠などに使用される。)を4月上旬に発行する予定だ。バンクシーの25年間のキャリアで描かれた1,000枚の壁画を掲載している。しかし、バンクシーのスタジオ「Pest Control」では、ストリート作品は「再販を目的としていない」と規定されているため、掲載された作品はほとんど認証されていない。

このカタログ・レゾネの販売に対し、バンクシーは著作権の主張が可能だが、過去の商標訴訟でバンクシーが敗訴した前例があるように、今回も匿名で活動するがゆえのジレンマが生じそうだという。(THE ART NEWSPAPER)

関連記事:バンクシー、商標権の剥奪よりも自身の匿名性を守る姿勢か。計4作品の商標権を失う

▍バンクシーの主要作品を含む1,600点以上の美術品、低課税地域のペーパーカンパニーを通じて秘密裏に取引されていたことが判明

パンドラ文書には、バンクシーの代表的な作品がニュージーランドのオフショア信託を使って購入された経緯が記載されている
(画像=パンドラ文書には、バンクシーの代表的な作品がニュージーランドのオフショア信託を使って購入された経緯が記載されている)

画像引用:https://www.icij.org/

約400人のアーティストによる1,600点以上の美術品が、タックスヘイブンのペーパーカンパニーを経由して取引されていたことが判明した。2021年に世界的リーダーたちのオフショア銀行口座を明らかにした流出文書「パンドラ文書」の記録から明らかになったもの。

レポートでは、富裕層が比較的規制の少ない美術品市場を利用して秘密裏に資金を移動させ、富を隠していた手段が公開された。ここで取引された作品の中には、バンクシーによる、現在の芸術を支える政治的・経済的構造や権威を攻撃する作品も含まれ、皮肉な様相を呈している。(artnet news)

コラボレーション

▍MoMA Design Store、奈良美智デザインのテーブルランプを発売

MoMA Design Storeから発売される奈良美智デザインのテーブルランプ。枝の葉をイメージしたスタンドに、奈良美智のアートワークをシェードに施されている。
(画像=MoMA Design Storeから発売される奈良美智デザインのテーブルランプ。枝の葉をイメージしたスタンドに、奈良美智のアートワークをシェードに施されている。)

画像引用:プレスリリース

​ニューヨーク近代美術館 MoMAのミュージアムショップ、MoMA Design Storeで「奈良美智 テーブルランプ」が2月15日(火)より発売開始される。枝の葉をイメージしたスタンドに、奈良美智のアートワークをシェードに施したコレクターズランプで、2017年に豊田市美術館で開催された展覧会「For Better or Worse」で初めて紹介されたもの。

MoMA Design Store オンラインストアのほか、表参道、京都、心斎橋のMoMA Design Storeでも販売される。価格は税込み¥176,000。購入は各店舗おひとり様 1点まで。(プレスリリース)

▍山口歴が、世界最大のアクションスポーツの祭典<X Games Chiba>のメインビジュアルを担当

日本初上陸となる世界最大のアクションスポーツの祭典「X Games」が2022年4月22日(金)〜24日(日)、ZOZOマリンスタジアムで開催される。このメインビジュルアを山口歴が手がけることが発表された。鈴木基一の「朝顔図屏風」を意識し、アクリル絵の具に墨汁を混ぜ、群⻘色とゴールドのスプレーでブラシストロークを描くことによって、日本人でありながら、XGamesやストリートカルチャーに影響を受けて成⻑してきた今現在の自分達を表現したという。メインビジュアルだけでなく、スケートデッキなど、数量限定のオリジナルアイテムが発表される予定。(プレスリリース)

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文:ANDART編集部