デイヴィッド・ホックニー とは?
デイヴィッド・ホックニーは1937年7月9日、イギリス・ブラッドフォード出身の画家で、20 世紀の現代美術を代表するアーティストの一人。表現のスタイルはデッサン、水彩画、油絵から自身で撮影した写真を使ったフォトコラージュ作品、その他にもiPadなどの端末で創作するアートまでその手法は幅広く、多岐にわたっているのが特徴。その他にもポスターや版画制作、スカラ座やメトロポリタン歌劇場などのための舞台芸術なども手がけている。
ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(ロンドン王立美術大学)在学中にイギリスのポップ・アートシーンの立役者、ピーター・ブレイクと出会い、共に「若手現代芸術家展(Young Contemporaries)」に出展するなど、早くからその才能を表すようになった。また在学中にはロナルド・B.キタイらと同期であったこともあり、1960年代のイギリスのポップ・アートムーブメントを牽引した人物として、アートシーンから高い評価を受けている。
アートマーケットから見たデイヴィッド・ホックニー
ホックニーは現存するアーティストとして作品落札価格レコード第2位を保持している。彼は2008年にはすでに芸術家としてその地位を確立していたが、2009年ごろから開催された展覧会によって徐々に人気に火がつき、2018年にメトロポリタン美術館にて主要な展覧会が開催されると、作品のオークション落札価格は急上昇した。
作品によっては2008年から2018年にかけて、価格が10倍以上にもなった。
さっそく、デイヴィッド・ホックニーの現代のオークションレコードTOP3の作品を見ていこう。
(落札価格は2022年1月28日のレートで計算)
3位《Nichols Canyon》(1980)
落札価格:約4億7000万円
画像引用:https://precious.jp/
2020年12月7日にフィリップス・ニューヨークで開催された「20世紀現代美術イヴニング・セール」にて、ホックニーのパノラマ風景画の原点とも言える本作が約4億7000万円($ 41,067,50)で落札された。二コルズ・キャニオンとはカリフォルニア州ロサンゼルスのハリウッドヒルズにある住宅街のこと。ホックニーらしい鮮やかな多色使いで、実に生き生きと華やかに描かれている。ホックニーは本作を描き上げた当初自ら所蔵していたが、パリのギャラリーにてピカソの小作に一目惚れをし、それを手に入れるために本作ともう1作で取引したというエピソードがある。
2位《Henry Geldzahler and Christopher Scott》 (1969)
落札価格:約58億2000万円
画像引用:https://www.artdependence.com/
2019年3月6日にクリスティーズ・ライブオークションで開催された「戦後および現代美術のイブニングオークション」にて、約58億2000万円(GBP 37,661,250)で落札された作品。本作はホックニーのメトロポリタン美術館のキュレーターであるゲルザーラーと、彼のパートナーである画家クリストファー・スコットの2人が描かれた二重肖像画。人物、窓、家具、花の距離感、無表情でそれぞれの方向を見つめる2人の関係性などどこか違和感を感じる作品だ。ホックニーの作品は同性愛の本質を表現するものが多いが、本作もそのうちの一つ。
1位《Portrait of an Artist (Pool with Two Figures)》(1972)
落札価格:約104億3000万円
画像引用:https://www.abc.es/
2018年11月15日にクリスティーズ・ニューヨークで開催された「戦後および現代美術のイブニングセール」にて、約104億3000万円($ 90,312,500)で落札され、ホックニーのオークションレコード1位になるだけでなく、当時の現存するアーティストのうち最も高額で落札された作品として記録された。プールサイドに立った男性が、下着姿で平泳ぎをしている男性を見下ろす姿が描かれているが、この人物はホックニーのかつての恋人でありミューズでもあった、画家のピーター・シュレシンジャーがモデルであると言われている。本作はホックニーの代表的なモチーフであるプールと二重の肖像を含む、ホックニーらしさがあふれる作品。本作のオークション出品者はホックニーと同じ年齢のイギリスの金融投機家でありコレクターのジョー・ルイスだというが、落札者は知られていない。
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文章:ANDART編集部