医療周辺アウトソーシング市場,2019年
(写真=Roman Zaiets/Shutterstock.com)

2018年の主要5分野医療周辺アウトソーシング市場規模は約1.7兆円

~医療事務、滅菌、医療廃棄物処理、給食、臨床検査の市場を推計~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、医療周辺アウトソーシングビジネスを調査し、市場規模、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

医療周辺アウトソーシング市場規模推移

医療周辺アウトソーシング市場規模推移

1.市場概況

2018年の国内医療周辺アウトソーシング市場(事業者売上高ベース)は、5分野合計で前年比1.2%増の1兆7,030億円となった。過去を振り返ると、2000年の同市場規模は1兆1,050億円であり、2018年の市場規模は2000年対比では54.1%増と大きく伸長を遂げた。一方、直近3ヵ年では微増推移にとどまる状況となっている。

2.注目トピック

2018年滅菌受託市場は2000年対比で3.7倍の成長

2018年の滅菌受託サービス市場は2000年対比で3.7倍となり、医療周辺アウトソーシング市場の5分野の中では最も高い伸びを示している。

滅菌受託サービスは、大きく院内請負型と事業者が開設したセンターへの持ち出し型に分けられる。完全なアウトソーシング(全面委託)ではセンター持ち出し型が重視されるが、医療機関側の細かなニーズに応える観点からは、院内請負型や院内・センター併用型の需要も高い。都市部の大規模病院の委託率は高いと見られ、今後は地方の病院をどのようにカバーしていくかなどがテーマになっている。

3.将来展望

過去には高成長を遂げてきた医療周辺アウトソーシング市場であるが、業務委託率は全般的に飽和傾向にある。病院数は減少基調、国民医療費も増加抑制を強いられており、従来の枠組み通りに進めても成長は望みにくいビジネスとなっている。

医療関連サービス事業者は、受託業務の範囲、サービス内容などを広めにとらえる必要性が増すと考えられる。今後は、病院経営全般への関与、総合力・調整力での差別化、あるいは医療本質部分での人材ビジネスとしての展開、予防医療分野での取り組みが重要になる見込みである。