億を稼ぐ,共通,営業手法
(写真=Sergey Nivens/Shutterstock.com)
黒坂 岳央
黒坂 岳央(くろさか・たけお)
水菓子肥後庵代表。フルーツビジネスジャーナリスト。シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、東京で会社員を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。ビジネス雑誌やニュースサイトでビジネス記事を書いている。著書に『年収1億円超の起業家・投資家・自由業そしてサラリーマンが大切にしている習慣 “億超えマインド"で人生は劇的に変わる!』など。

これまでお会いしてきた「億を稼ぐ社長」には面白い共通点がある。それは「商品を作ってから売る」のではなく「売れてから商品を作り込む」ということをしているのだ。一般的には、受け入れられないようなこのスタイルには、実は多くのビジネスメリットが存在する。

作った商品が売れないリスク

魅力のある、欠点が一つもない、完成された商品を作り上げるにはどうしても時間がかかる。もしも渾身の力を込めて完成させたものが、顧客ニーズから外れていて見向きもしないものであれば取り返しがつかない。制作に要した資金、時間、労力のすべてがムダになってしまうのである。

「ビジネスと出産は、小さく産んで大きく育て」という言葉がある。まさにそのとおりであり、理想的には売れてから商品を作る、それが出来ない場合は試作品を作成して売れたら本格的に投資をして大きく育てるということが望ましいのだ。

多死多産のビジネスエコシステムを作れ

GoogleやAmazonなどのサービスを見てほしい。20年前にサービスが開始した当初は、今のような優れたビジネスはなかった。Googleは検索しか出来なかったし、その検索能力も今ほどではない。また、Amazonも書籍やDVDの通販サイトに過ぎなかった。

シリコンバレーはたくさんのベンチャーが生まれ、GAFAのようなごく一部の成功企業が世界をリードする。 ビジネスが軌道に乗った同社は、小さくビジネスを生み出し、あたったものだけを大きく育てて、外れたものは小さい内に捨てるというシリコンバレーの「多死多産のビジネスエコシステム」と同じモデルで成功しているのである。

当たるかどうかも分からないものに、最初から大型投資をしてはいけない。これはシリコンバレーのベンチャーに限った話ではなく、我々日本の経営者にも言える話なのだ。

売れてから作った筆者の事例

筆者はまさにこの多死多産ビジネスエコシステムで取り組み、これまで利益を上げてきた。

経営しているフルーツギフトは、当初数種類のフルーツだけを扱う小さなショップに過ぎなかった。そこから、アメーバのようにフルーツやサービスの取り扱いを拡大していった。その中には、まったく売れないものもあったり、逆にこちらの想定を大きく超えてヒットしたものもあったりした。今日時点で棚に並んでいる商品やサービスのほぼすべてが、過去に棚に並べてみて、売れてから急いで準備をして生き残ったものばかりなのだ。

また、英語のeラーニングビジネスにも取り組んでいる。今では「読む、書く、聞く、話す」の4技能を伸ばすために、十分なカリキュラムを提供しているが、リリース直後はまだ商品を用意していなかった。「先行販売をします。◯月から受講いただけます。先行申込割引受付中」とした。売れるまで商品はなかったのだ。

だが、ありがたいことに申し込みが入るようになった。そこから慌てて、予告している時期に間に合うよう、学習カリキュラムを整えてなんとかスムーズなリリースをすることが出来たのだ。

今回は売れたから問題がなかったが、もしもこちらの目論見が外れて売れなかった場合は、制作する時間のすべてがムダになってしまうところであった。経営者にとって、時間はお金より貴重な経営資源だ。それをムダにしないためにも「売れてから作る」「小さく作って大きく育てる」という思考で取り組んでもらいたい。

文・黒坂 岳央(水菓子肥後庵代表 フルーツビジネスジャーナリスト)