矢野経済研究所
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2021年10月、ビッグテック企業が中小企業を買収することを制限する新しい法案が米国上院に提出された。この法案により、アップル、グーグル、アマゾン、フェイスブック、メタ(旧フェイスブック)のさらなる拡大を予防できる可能性がある。

これまで、アメリカのシリコンバレーの「勝ちパターン」は、エンジェル投資家をはじめとした個人、小規模事業主などから資金を調達しスタートアップを立ち上げる。その後、スタートアップがユニコーン企業として株式上場を果たす、あるいはGAFAに買収される。というものだった。

この法案を提出したミネソタ州の民主党上院議員エイミー・クロブチャーと、同委員会のメンバーであるアーカンソー州の共和党上院議員トム・コットンは上院司法委員会の反トラスト委員会の委員長、委員でもある。

反トラスト法とは、いわゆる独占禁止法であり、市場の独占や市場競争を阻む企業合同(トラスト)を禁止するものだ。1980年代にはアメリカで石油企業をはじめとした巨大企業が乱立、健全な市場競争を阻むとして、世界でもいち早く成立した。

今回、提出された法案「Platform Competition and Opportunity Act」によれば、ビックテック企業が中小規模の企業を買収するには、「米国ベースの月間アクティブユーザー数が5,000万人以上、または月間アクティブビジネスユーザー数が10万人以上 "でなければならない。また、企業の時価総額が6,000億ドルに到達していること。」という条件をクリアしなければならない。また、これらの企業は、企業買収が市場競争をサポートしていることを裁判官に証明する必要がある。

エイミー・クロブチャーがこれまでに提出した法案には、「American Innovation and Choice Online Act」という法律がある。この法案は、ビッグテック企業(特にGoogle)がアルゴリズムを利用して自社製品やサービスを優遇し、外部の企業を排除することを違法とするものだ。