クイック・ロック社が展開するバッグ・クロージャー(従来品)
(画像=クイック・ロック社が展開するバッグ・クロージャー(従来品))

クイック・ロック社(本社:アメリカ)は10月14日、日本での「エコ・ロック」の本格販売に向けたオンライン記者会見を開いた。

同社はバッグ・クロージャーを開発したメーカーで、現在は世界に6工場・8拠点を有し、約100か国に留め具を販売している。今回、日本の現地子会社であるクイック・ロック・ジャパン(株)(河合元浩代表)が、「エコ・ロック」の日本国内本格販売を開始するに当たり、米国本社・関係企業が出席して商品をPRした。

日本国内でバッグ・クロージャーは、主に食パンなどの複数個入りのパンの留め具として利用されている。クイック・ロック・ジャパン(株)の出荷のボリュームも製パン業界向けが最も大きい。同社によると現在は野菜や果物、2・3玉入りのチルド麺、お菓子で利用されるケースも。「最近は中華まんの包装にも採用された」。開封し、再度封をするのが簡単なため、中身を複数回取り出す袋と組み合わせることで、商品の利便性が向上する。

バッグ・クロージャーは食パンなどの留め具として利用
(画像=バッグ・クロージャーは食パンなどの留め具として利用)

今回、本格発売するバッグ・クロージャー「エコ・ロック」はバイオマス素材を利用したもの。「サステナブル」をキーワードに販売拡大を図る方針だ。「エコ・ロック」は従来のプラスチック素材の10%をトウモロコシやジャガイモなどの炭水化物由来のNuPlastiQ®(ヌープラスチック)に置き換えたもの。クイック・ロック社によると、「製造時に発生する温室効果ガスを10%以上削減できる」。また、米国では2019年に発売を開始し、「これまでに車で19万9,547km(地球5週分)を走行した時に排出される温室効果ガスの総量に当たるCO2削減を達成した」という。

従来品との価格差については、「10~13%高くなる」(河合代表)。品質面では従来品と同等の強度などの品質を確保していることから、「既存の結束機でそのまま使えるため、既にバッグ・クロージャーを使用していれば、機械設備への投資は一切必要なく導入できる」。日本国内では既に(株)セブン‐イレブン・ジャパン(永松文彦社長)がセブンプレミアムゴールドブランドで販売する高価格帯食パン「金の食パン」に採用された。今後の販売に向けては「当社の既存の販売先から行っても、メインターゲットは製パン業界」とした。

また、(一社)日本有機資源協会(JORA)からバイオマスマークの認定を受けており、「エコ・ロック」を採用することでバイオマスマークの利用も可能になる。

記者会見には河合代表、クイック・ロック社のキンバリー・パクストーン・ハブナー氏(オーナーの1人)、ドン・カレルCEO、BioLogiQ 社のスティーブン・シャーマンCEOが登壇した。クイック・ロック社は2025年までのグローバル目標として、「売上の50%をサステナブルな製品に、30%をバイオベースの製品に」を掲げる。日本法人も同様の方針だ。「気候変動は実質的な課題で、科学的に検証されている。カーボン削減に取り組み、次世代に向けてヘルシーな地球を残していかなければいけない」(ハブナー氏)。

BioLogiQ 社はヌープラスチックを開発した企業。ヌープラスチックは100%植物由来のバイオプラスチックで、完全に生分解できる素材。主に他のプラスチックに混ぜて利用する。混合しても従来のプラスチックの品質を維持しやすいという特徴を持つ。シャーマン氏によると「10~30%をヌープラスチックに置き換えることで、従来のプラスチックの品質そのままに、CO2削減に貢献できる」。また、「袋も一部をヌープラスチックに置き換えることでCO2削減ができる」とPRした。

〈米麦日報2021年10月15日付〉