商品棚をデジタルで可視化!コンピュータービジョンとAIによる店舗施策のソリューション「Trax (トラックス)」
(画像=ISRAERU)

Eコマースが飛躍的に成長するなか、小売店舗やスーパーは店舗施策の重要性がますます注目


2020年7月に世界最大規模の金融コングロマリットCredit Suisse (クレディ・スイス) が発行した日本の小売業に関する調査によると、2019年の店舗販売における成長率は前年比で0.1%程度でした。それに対し、Eコマースは前年比8.1%の伸び率が確認できました。2020年は、パンデミックも影響し、世界的にEコマース業界が飛躍的に成長しています。小売店舗においては、精度の高い店舗施策の重要性がますます注目されます。今回は小売店舗やスーパーの商品棚を画像認識技術で可視化し、コンピュータービジョンとAI (人工知能) による店舗施策ソリューションを提供するTrax (トラックス) を取り上げます。

Trax (トラックス)
(画像=Trax (トラックス))

従来の店舗監査や施策の手法には限界があり、人手による店舗施策は時間とコスト、そしてデータの活用が課題です


現場を訪問する店舗施策者は、通常数週間に一度の頻度で店舗を見て回ります。小型の端末を抱えて店内に入り、商品棚を入念にチェックしますが、限られた時間の中で何千という商品数を確認する必要があり、このような手法での店舗施策には限界があります。またリアルタイムで起こる店舗の状況を把握する事が困難で、時間的にもギャップが生じます。消費財メーカーは、店舗にいつ何が出荷されたのかに関する記録を保持していますが、このデータには買い物客の行動は反映されていません。そしてPOS (販売時) のデータに依存すると、商品陳列に関わる問題などを把握することができず、収益の機会損失を被る可能性があります。人手による店舗施策は時間とコストが多大に掛かり、データを持ってしてもそれを十分に活用できていない実情が課題として挙げられます。

Trax (トラックス)
(画像=Trax (トラックス))

高度な画像認識技術とコンピュータービジョンの導入、AIによる評価で、店舗施策を画期的に変えるTrax


2010年にシンガポールで創業されたTraxは、創業者でありCEOのJoel Bar-El (ジョエル・バーエル) 氏の出身国イスラエルに研究開発の拠点を置きます。競合他社の商品を含む、商品棚の全商品をデジタルで可視化し、⾼度な画像認識技術によって画期的な店舗施策ソリューションが提供可能。形、色、大きさなど様々な違いのある商品の画像認識技術は、人の顔認識などよりはるかに高度な技術が要求されます。

Trax (トラックス)
(画像=Trax (トラックス))

Traxは、コンピュータービジョンを導入し、コンピューターによる視覚の実現を目指します。Traxが提供する「Retail Execution (リテイル・エグゼキューション)」は、商品棚の写真を撮るだけで、コンピューターがデジタル画像から概要を認識し、プラノグラム (最適な陳列で利益率の最大化を図る棚割計画) と比較し、AIによって評価。この評価方法により店舗監査の精度が向上するだけでなく、数秒後には現場施策者にレポートが提供されるため、大幅な時間短縮が可能です。そして結果的にコスト削減にも繋がります。Traxは店舗施策を画期的に変えるソリューションとして、コカ・コーラやネスレ、ハイネケンといったグローバルブランドも導入しています。

Trax (トラックス)
(画像=Trax (トラックス))

Traxのソリューションは、日本を含む90ヶ国で展開されています。今回は日本カントリーマネージャーであるItai Yanay (イタイ・ヤナイ) 氏にインタビューをさせていただきました。

TRAX日本カントリーマネージャー イタイ・ヤナイ氏
(画像=TRAX日本カントリーマネージャー イタイ・ヤナイ氏)

―――パンデミックの影響により、小売業界ではどのような変化が起こりましたか?

2020年は小売店舗だけでなく、買い物客の行動にも様々な変化が起こりました。特に食品関連のスーパーでは、買い物客はいかに効率的に買い物を済ますか、店舗内で費やす時間を最小限に抑えるような動きが見られます。またブランドに対するロイヤリティが低下し、買い物客は簡単に代替品を受け入れるようになりました。その為、小売業界ではこれらの変化に対応すべく、精度の高い迅速な店舗施策に強い関心を抱くようになりました。

Trax (トラックス)
(画像=Trax (トラックス))

―――従来の店舗施策における改善点は何ですか?

まず一つ目は、店内状況に関するリアルタイムでの可視化だと思います。例えば、現在イスラエルでスーパー全体を把握する、固定カメラによるリアルタイム店内監視ソリューションをテスト導入しています。これにより定期的な店舗監査を待つことなく、品切れや陳列の修正など最適なタイミングでの対応が可能です。次に、信頼できる迅速な測定と報告システムが挙げられると思います。棚割に関して多くの場合、大まかな見積もりを基準とすることがあります。実際に人手によって計測された棚割と、画像認識で計測された場合に18%もの差異があった事例があります。これからはデジタルに商品棚全体を包括的に把握し、さらに人手による負担を回避した生産性の向上が重要です。

Trax (トラックス)
(画像=Trax (トラックス))

―――日本の小売りと海外での戦略に違いはありますか?

それぞれのマーケットには特徴がありますので、戦略においても違いがでます。日本は消費財メーカーが長い歴史を持ち、従来の手法に頼っています。小売店舗とメーカーの関係は日本では非常に親密で、深い信頼関係が築かれています。Traxのデータは消費財メーカーにとって競合優位性があり、小売店舗と施策に対する詳細な協議をしていく上で大変価値があるものです。また小売店舗にとっても、商品棚の陳列や状況に関して更に情報を得ることが出来るので、売上強化へと繋げることができます。

―――今後のTraxの展望について教えてください。

Traxが目指すのは、総合的なソリューションの提供です。新型コロナウイルスの影響を受け、小売業界では商品棚の在庫有無が最優先課題であることを認識しました。Traxが海外市場で提供しているするダイナミック・マーチャンダイジングとクラウドソーシングといった最新技術は、店舗内の課題解決における選択肢を提供することができます。日本市場においては、これらを用いた商品棚データの活用が、国内消費財メーカーにとって売上向上の施策を強化できると、高い期待をしています。

TRAXテルアビブオフィス
(画像=TRAXテルアビブオフィス)

ウェブサイト
https://traxretail.com/