食品産業新聞社
(画像=食品産業新聞社)

〈輸入品は生産不安定で高騰、制限解除で需要自体は増加か〉
9月の鶏肉需給は、緊急事態宣言が月末までの期間となっていたことで、量販店での生鮮品需要は安定していた。気候も徐々に秋めいてきたことや、調味料メーカーの鍋スープが本格展開されたことで週を追うごとにモモ需要が強まった。

相場も月初めこそは8月の底値に引っ張られたが、中旬以降は上昇に転じた。ムネやササミは加工筋から引き合いが強く、生鮮・凍結ともに需要が一段と強まった。手羽関係も調味料メーカーのテレビCM効果や、家庭での調理シーンの増加により締まった展開を見せた。

輸入品はタイ現地でのコロナ情勢により工場稼働に多大な影響が生じており、一部では国産やブラジル産に代替を求める動きが一段と強まった。ブラジルでは供給体制は安定しているが、価格は強気で必要最低限を手当するに留まっている。外食のテイクアウトや、量販店での総菜売り場において鶏肉アイテムの需要が高まっており、販売はそれなりに進んでいるようだ。

9月の平均相場は、日経加重平均でモモが582円(前月同)、ムネが317円(308円)と正肉合計899円となり、前月比9円高となった。昨対比ではモモが28円安、ムネは35円高となり正肉合計では8円高となった。

〈供給見通し〉
日本食鳥協会がまとめているブロイラーの生産・処理動向調査によると、10月の生体処理羽数は前年同月比1.7%減、処理重量は1.5%減といずれも微減予測となっている。地区別では北海道・東北地区では羽数は1.1%減、処理重量は0.6%減、南九州地区でも羽数が2.4%減、処理重量が2.1%減といずれも減少見通し。

11月の予測では、全国で羽数は2.7%増、処理重量は1.8%増と再び増加に転じると予測している。北海道・東北では3.2%増・2.4%増、南九州では2.0%増・1.0%増と各産地でも増加基調に戻ると予測している。

農畜産業振興機構の鶏肉需給予測によれば、10月の国産生産量は14.7万t、前年同月比0.2%増を見込み、4月以来の14万t台に達する見込み。前月比では約1万t増加すると予測している。そのため、8~10月の3カ月平均予測では1.9%増の13.8万tを予測している。前月の3カ月予測(7~9月)比では0.5万tの増加となる。

輸入品は、ブラジル及びタイからの輸入量が減少する見込みで、前年同月をかなり下回る予測となり9.0%減の4.4万t。3カ月予測では、昨対比をわずかに上回り、2.0%増の4.4万tと予測している。期末在庫は輸入量が減少するなか、出回り量が前年並程度と予測されるため、漸減するとみられる。

〈需要見通し〉
量販店での売り場作りがムネからモモに移り、モモ相場は底値を脱した。今後は気候がさらに秋めくことで、鍋需要増加が期待されモモ、手羽元の需要増加が期待される。ムネは加工筋向けの引き合いが強まっている。

輸入品は引き続きタイ産の減産・供給不透明感により引き合いが増加し、国産ムネ肉やブラジル産への切り替えも進んでいるもよう。ブラジル産は現地での生産コスト増を背景に強気のオファーが続いており、必要以上の輸入ができず、仲間相場でも今後の高騰を見越して玉を確保する動きも一部で見られる。制限解除で外食がどこまで回復するかは不透明だが、状況は改善される見通しで需要は一層強まるとみられる。

〈価格見通し〉
国産生鮮モモは、9月中旬以降に底値を脱し、鍋物需要の高まりに合わせて相場も上昇している。ムネは加工筋需要が旺盛で、ことしは高値安定していたが、9月末からはさらに一段高を見せている。今後も輸入品の情勢次第ではさらに高騰し、サラダチキンブーム時の350円相場も射程圏内に捉えている。そのため日経加重平均でモモは600円前後、ムネは330円前後、農水省市況ではモモが610円前後、ムネが340円前後と見込まれる。

〈畜産日報2021年10月6日付〉