2021年秋の業務用冷食の新商品は、主要13社合計で121品(一部、年度内発売品を含む)となった。
前年は新型コロナウイルス感染拡大によって市場動向が見通せないとして、打ち出し型の発表の見送りや、新商品の発売を延期する企業も見られたが、ワクチン接種の拡大による社会経済活動の再開を見込んで各社とも新商品を一定数そろえてきた。
もっとも外食ルートはホテル、居酒屋を中心に当初の予想よりも回復が遅れているとの困惑も見られ、好調な中食市場に向けた提案が中心となった。人手不足で需要が高まっている病院・高齢者施設向けや、底堅い需要のある学校給食向けにも大多数のメーカーが注力している。
コロナ禍で新たに生まれている販売チャネルとして、外食の中食化といえるテークアウトやデリバリー、また業務用食品販売店や通販など市販用ルートを見据えた提案も見られる。
4~6月の業務用市場のうち、外食は緊急事態宣言によって苦戦が続き、特に居酒屋業態は2019年比70%程度と厳しい環境が続いた(ニチレイフーズ調べ)。他方で中食は2021年度に入って前年を大幅に上回って推移している。これは外食の代替需要を取り込んだものと見られる。
メーカー各社も当季は好調な中食市場に対して特に提案を強めているが、外食の代替となる彩りや贅沢感、健康志向の高まりに対応して野菜や代替肉を使った健康感の打ち出しに取り組んでいる。
主要13社のうち当季新商品が最多だったのは、ヤヨイサンフーズで21品。2020年11月に稼働した気仙沼工場製品は春の大量投入からは落ち着いた。一方コロナ対応として業務用食品販売店・通販・宅配向け商品を拡充している。
次いでニチレイフーズが新商品16品。主力のチキン商材と、野菜をおいしく摂取できるキット惣菜「ベジデリカ」を拡充した。店頭での包装販売による品質劣化を解消する新提案も行った。
日本水産は新商品を15品発売。白身魚をベースにした代替肉商品、量販店惣菜向けのかき揚げの新規提案、人手不足によって需要が高まっている冷凍の刻み野菜を品揃えした。
マルハニチロは「ベジコーディ」シリーズのかき揚げなど、業務用チャネルだけでなく業務用食品販売店やドラッグストアなど一般消費者に向けた販売を見据える。味の素冷凍食品もスイーツ類を宅配や業務用食品販売店、Eコマース市場へ販売を拡大していく考えだ。
〈冷食日報2021年9月29日付〉