キリンホールディングスは、独自素材「プラズマ乳酸菌」の菌体の生産能力を増強し、プラズマ乳酸菌入り食品のラインアップを外部の企業とのコラボで拡充、2027年にプラズマ乳酸菌事業の売り上げを現在の約5倍の500億円、事業利益20%を目指す。
9月9日に開催した「プラズマ乳酸菌事業戦略発表会」で、磯崎功典社長が話した。ビール事業での微生物研究、医薬品事業での免疫研究をベースとしたプラズマ乳酸菌事業のさらなる拡大に、意欲を示した。
キリンによると、「プラズマ乳酸菌」は健康な人の免疫機能の維持をサポートする乳酸菌だという。死菌粉末の形でさまざまな製品に添加できる特徴があり、キリングループ会社の飲料やヨーグルト、サプリメントだけでなく、外部のパートナー企業とタッグを組み、プラズマ乳酸菌入りの機能性表示食品を拡充して生活者との接点を拡大、事業成長を加速させていく戦略を立てている。
発表会では磯崎社長が、ヘルスサイエンス領域を事業の柱とする背景と取り組みについて話し、体調管理意識が高まる中、「食による免疫ケア」を切り口に、日常的に摂取しやすい食品へプラズマ乳酸菌入り商品のラインアップを広げて、「2021年のプラズマ乳酸菌商品の売り上げ目標を110億円から135億円へ上方修正した。菌体製造設備も増強する」と、事業拡大に意気込みを示した。
菌体製造は埼玉県狭山市の「iMUSEヘルスサイエンスファクトリー」(小岩井乳業東京工場内)へ約9億円投じ、製造設備を増強して、2023年の年間製造能力を現状の2倍の28tへ引き上げる。菌体はキリングループ企業、コラボ先の企業の商品に使用するほか、「iMUSE」ブランド商品を既に販売しているベトナムでの販売拡大、米国と欧州のBtoBチャネルでの菌体販売など、海外での展開の加速につなげる。
国内ではグループ内商品だけでは生活者に届けきれないジャンルの食品を、複数企業とタッグを組み販売する。グループ内からは10月12日にプラズマ乳酸菌入り「午後の紅茶ミルクティープラス」「生茶ライフプラス免疫アシスト」を発売、また小岩井乳業「iMUSEヨーグルト」のリニューアルと品目追加など、既存商品のシリーズと訴求力を強化する。
企業タッグではオリヒロプランデュの「ぷるんと蒟蒻ゼリーパウチプラズマ乳酸菌」、カンロ「ピュレグミiMUSEプラズマ乳酸菌」、森永製菓「免疫ケアプラズマ乳酸菌ココア」「免疫ケアプラズマ乳酸菌チョコレート」「inのど飴」を9月以降順次発売し、幅広い世代とプラズマ乳酸菌の接点を大きく拡大する。商品ラインアップは計22品まで拡充。
「免疫ケア」の大切さを生活者に伝えていく取り組みは、タレントのタモリさんを起用したテレビCM、広告を展開する。タモリさんの起用は、幅広い世代から支持されているというのが理由。発表会第2部で登場したタモリさんは「この仕事がくるまでプラズマ乳酸菌を知らなかった」と明かし、プラズマ乳酸菌についてその場で学び、質問、納得した上で、「アンバサダーにも任命された。免疫ケアがなぜ大切なのかを伝えていく」と、改めてPR役に意欲を示した。