注目のオークション結果から、アート市場の動向まで。今週、アートマーケットを賑わせたトピックを振り返ってみよう。(1USD=109.71円、1ポンド=151.91円で換算)
目次
- ▍バンクシーの “シュレッダーにかけられた作品” が再びオークションへ。落札予想価格は3年前の落札価格の4倍以上
- ▍”偽物の” バンクシーNFT作品、アーティスト本人のwebサイトを通じて販売される
- ▍ピカソとバスキアが回復を牽引する、今年のオークション市場
- ▍アート・バーゼル、Covid-19の新たな規制に阻まれるも対面開催に向け前進する
- ▍著名な4人のディーラーがコンソーシアムを設立
- ▍寺田倉庫の美術品保管サービス「TERRADA ART STORAGE ONLINE」、アートコレクションを一元管理できる新機能「作品登録」を無料で提供開始
- ▍サザビーズ、大規模な「Bored Ape Yacht Club(BAYC)」のNFTオークションを開催
- ▍12歳の少年の描くクジラのデジタルアートのNFT、約4,400万円で販売
- ▍CryptoPunks、NFT投機が急増する中、生涯売上高約1,100億円 (10億ドル) を突破
▍バンクシーの “シュレッダーにかけられた作品” が再びオークションへ。落札予想価格は3年前の落札価格の4倍以上
バンクシーが、オークションで自身の作品が約1.5億円(140万ドル)で落札された直後、その作品をシュレッダーで切り刻み、世界中の話題をさらってから3年。サザビーズは、この作品が再びオークションにかけられることを発表した。10月14日に販売される予定。予想落札価格は約6.1億円〜9.1億円(400万ポンド〜600万ポンド) であり、オークションで最低落札価格で落札されたとしても当時の4倍以上の価格となる。(artnet news)
▍”偽物の” バンクシーNFT作品、アーティスト本人のwebサイトを通じて販売される
画像引用:https://www.bbc.com/
イギリスのコレクターがバンクシーの偽NFT作品を購入させられるという事件が起こった。被害に遭ったのはPranksyというオンラインネームで活動している著名なNFTコレクター。彼によれば、バンクシーの公式サイトに「NFT」という新しいページがあり、オークションへリンクされていたという。犯人は特定されていないものの、彼が支払ったお金は、約76万円 (約5,000ポンド) のオークション取引手数料を除いてすべて返金されたという。バンクシーのチームは取材したBBCに対し、「バンクシーのNFTオークションは、いかなる形でもアーティストとは関係ありません」と関与を否定しているという。(BBC)
▍ピカソとバスキアが回復を牽引する、今年のオークション市場
パンデミックの初期に波乱のあったクリスティーズ、サザビーズ、フィリップスの3社は、2021年にパンデミック前の販売水準に立ち直った。ARTnewsが今年4月から7月にかけて、ニューヨーク、ロンドン、パリで行われた13の近現代美術のセールのデータを分析し、パブロ・ピカソやジャン=ミシェル・バスキアがその回復を牽引しているとした。
オークションハウスの幹部は、アート市場が回復した理由をいくつか挙げているが、そのひとつは、アジアを中心とした顧客からの買い付けが活発になったことだ。これまでは欧米を中心としたピカソとバスキアの人気がさらにグローバルなものになり、香港のオークションでは、2人ともトップシェアを獲得しているとしている。(ARTnews)
▍アート・バーゼル、Covid-19の新たな規制に阻まれるも対面開催に向け前進する
画像引用:https://www.artforum.com/
昨年、Covid-19の影響で対面での開催を中止し、オンラインでの開催を余儀なくされたアートバーゼルは、今年9月の対面でのイベントに向けて準備を進めているが、米国はスイスでの感染者増加を理由に渡航を控える勧告を出し、また、スイス国内では、スイス政府が定めた大規模な集会に関する複雑な規則を遵守しなければならないものの、この規則はまだ多くの参加者に知られていないということだ。(ARTFORUM)
▍著名な4人のディーラーがコンソーシアムを設立
一流のキャリアを持つディーラーであるBrett Gorvy、Dominique Lévy、Amalia Dayan、Jeanne Greenberg Rohatynの4人が連携し、”アーティストの代理、展覧会の企画、コレクターへのアドバイス、オークション販売の仲介などを行うコンソーシアム” 「LGDR」を設立することが発表された。ギャラリーの世界では、このようなコンソーシアムは珍しいが、Gagosian、Zwirner、Pace、Hauser & Wirthのようなメガギャラリーに対抗するために、そのリソースをプールしているようだ。(artnet news)
▍寺田倉庫の美術品保管サービス「TERRADA ART STORAGE ONLINE」、アートコレクションを一元管理できる新機能「作品登録」を無料で提供開始
寺田倉庫は、美術品の個品保管サービス「TERRADA ART STORAGE ONLINE」にアートコレクションの作品情報をオンラインで一元管理できる新機能「作品登録」を追加し無料で提供開始した。「作品登録」では、「TERRADA ART STORAGE ONLINE」へ預け入れている美術品に限らず、自宅や美術品倉庫以外に保管されている美術品の情報も登録可能となり、オンラインで全てのアートコレクションの作品情報を一元管理できる。
新機能リリースを記念して、「バンクシーって誰?展」無料鑑賞チケットなどが当たるキャンペーンも実施中だ。(寺田倉庫)
関連記事: 神出鬼没のアーティストの世界観に没入できる!「バンクシーって誰?展」をレポート
▍サザビーズ、大規模な「Bored Ape Yacht Club(BAYC)」のNFTオークションを開催
サザビーズは、コンピュータで生成された猿をテーマにしたアバターシリーズである「Bored Ape Yacht Club(BAYC)」のNFT専用オンラインセールを9月2日から開催し、約15億円〜約22億円 (1,350万ドル〜2,000万ドル) の値がつくと予想している。Yuga Labs社が昨年春に開発した「BAYC NFT」は、それぞれの猿の特徴がランダムに割り当てられているのが特徴。サザビーズの担当者は、「「CryptoPunks」の発表以来、最もエキサイティングでクリエイティブなNFTのコレクターズ・イニシアティブの1つである。」と述べている。(PENTA)
▍12歳の少年の描くクジラのデジタルアートのNFT、約4,400万円で販売
12歳の少年がクジラのデジタルアートを作成、NFTとして販売し、約4,400万円 (約29万ポンド) を稼いでいる。「マインクラフト」でよく見られるクジラのミームのスタイルで、3,350匹のクジラのセットをピクセルアートのウェブサイトで作成した「Weird Whales」いう作品だ。ソフトウェア開発者である父親は、この作品を「デジタルのポケモンカード」と表現し、新しい媒体を使った息子の作品の「歴史的意義」をコレクターが理解したからこそ、大成功を収めたのだと語っている。(Guardian)
▍CryptoPunks、NFT投機が急増する中、生涯売上高約1,100億円 (10億ドル) を突破
最初のNFTプロジェクトのひとつといわれる「CryptoPunks」の売り上げ高が10億ドルを突破した。今年4月の時点では生涯売上は約220億円 (2億ドル) 以上と報じられていたが、8月末には24時間で約155億円 (1億4100万ドル) を売上げ、記録を達成した。CryptoPunksだけではなく、NFTの世界全体がこの期間に爆発的に拡大したというが、その一因は、暗号通貨の価格が史上最高値に向かって復活したことと、暗号通貨を持つ富裕層が、富を紙幣に変換せずに手持ちの資産を分散させたいと考えたことにあると分析されている。(TechCrunch)
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文:ぷらいまり