コーヒー各社は健康をテーマにした商品開発を本格化し、今年に入り相次いで発売している。
コーヒーの家庭内での需要は、コロナ禍でいっそう高まっている。在宅勤務時や家事の際に、リラックスやリフレッシュなど、気分転換で飲まれるケースが多いようだ。
もともとレギュラーコーヒーやインスタントコーヒーなどの嗜好品を展開しているコーヒーメーカー各社は、1日3杯飲むことを提案するコミュニケーションを展開してきた。コーヒーには、ポリフェノールが含まれているが、生活者にあまり知られていないためだ。しかし、在宅需要の増加によりユーザーが拡大してきたことは、ニーズの多様化も意味している。そこで各社は「コーヒーと健康」の啓発にとどまるのではなく、わかりやすく体現した商品を開発し、それぞれのユーザーが毎日続けやすいコーヒーを提案している。
ネスレ日本は、健康志向と環境への意識の高まりを受けて、植物由来の素材を使用した「ネスカフェ ゴールドブレンド ライスラテ」(スティックと液体飲料の3製品)を9月1日から発売する。意外な組み合わせだが、お米のやさしい甘みと香りがコーヒーのコクにマッチした味わいだ。今春発売した「オーツラテ」「アーモンドラテ」に続く第3弾で、女性層に訴求する。
味の素AGFも、女性層に向けた新しいラテの提案として、「ブレンディ ナチューム」シリーズ(ナッツのラテ、かぼちゃのラテ、紫いものラテ、各スティック4本入)を同日発売する。素材にこだわった健康的なものを選びたいというニーズに応えた商品で、各社の新商品の中でもひときわ印象的な提案だ。白砂糖の代わりにきび糖をメインに使用するほか、野菜やナッツなどの素材の甘みや香りを楽しみながら小腹を満たせる。
健康への貢献を明確に打ち出している新商品は、UCC上島珈琲の機能性表示食品「UCC 珈琲生活プラス ワンドリップコーヒー」(5袋入、9月6日発売)だ。消費者庁への届出表示は、「本品にはコーヒー由来クロロゲン酸類が含まれます。コーヒー由来クロロゲン酸類は食後の血糖値上昇を緩やかにする機能が報告されています。食後の血糖値が気になる方に適した食品です」。同社の焙煎・ブレンドの技術を駆使することで、コーヒー由来クロロゲン酸類量を保ちながら、おいしさを実現した意欲作だ。
コーヒーが飲まれる機会が増えれば増えるほど、伸長しているのがカフェインレスコーヒーだ。成長市場のため各社とも継続注力している。キーコーヒーは、3月に主力の「プレミアムステージ」ブランドから「カフェインレス コク深ブレンド」を発売したところ好調という。その要因は、中味の品質向上とともに、主力ブランドで展開することにより、定番感が増し、さらに味覚イメージを想起してもらえたことが効果的だったとしている。