コロナ禍で働き方が変わった2020年、リモートワーク下でリーダーの悩みの質も変化した。2021年、よりよいチームビルディングのためのリーダーの在り方とは。
前回は、リモートワークという環境に合わせてリーダーシップを発揮するためのTip「1.影響力の武器(社会心理学のTips)を活用する」を紹介した。今回は、リモートワークであろうと、リアルだろうと変わらないリーダーの在り方について紹介する。
2.リーダーとしての言動・行動をする(伝える、共感する、問いかける、引き出す、巻き込む)
オンラインでも、オフラインでも、リーダーがどういう人なのかということは、結局はリーダーの言動・行動を通してしかわからない。
リモート環境では、オフィスでできていたちょっとしたメンバーのフォローが難しくなる。そこで、チームやメンバーとのコミュニケーションの取り方や、それを通じたメンバー把握や動機づけのあり方が重要になって来る。
メンバーの目標設定では、その納得感の醸成ができれば動機づけにつながる。相手の状況や理解度・習熟度を理解すれば適切な業務アサインができる。メンバーの仕事のフォローやフィードバックのあり方で承認したり、成長実感を感じてもらうことができる。メンバーと仕事をしていくときに、どう伝え、問いかけるか、具体的なスキルが重要になる。
オンライン会議でも、限られた時間の中で議論を深め、結論を出したい。そのためには、ゴールやアジェンダを設定し、そこでの論点を踏まえながら意見を引き出し、議論を深め、合意を導くことが重要になる。
リアルでの会議も含め、会議の進め方を学んだ経験があるという方は意外に少ない。オンラインでもオフラインでも、仕事や会議の進め方の基本は変わらない。事前にどう進めるべきか思考投入し、準備して臨みたい。
リモート環境でもリーダーとしてすべきことを率先することは大事。ただ、これをリーダーがひとりで頑張ろうとしても、なかなか組織に定着しない。そこで大事になってくるのが、次に紹介する共通する「思考の型」だ。
3.チームやメンバーと「思考の型」を共有する
チームとして課題やプロジェクトに取り組む時、考え方、仕事の進め方が共有されていると、仕事も進めやすい。
例えば、問題解決のステップとして、何が問題で(What)、どこが悪くて(Where)、その原因は何で(Why)、解決するにはどうするのか(How)が共有されていると、議論がしやすいし、役割分担もフォローもしやすい。
仕事の進め方も、ゴールを設定し、計画を立案し、実行時のフォローやサポートを行い、最後の振り返りをするといったプロセスが共有できていると、メンバーに任せることも、関与もしやすい。
思考や業務の型が共通言語として浸透していると、たとえリモートで仕事を行っていても、進め方がぶれにくくなる。これを浸透させていくには、リーダーがどういう思考様式を持っているか、その言動や行動で実践し、それをメンバーに伝播させていくとよい。まずは自分自身、どう課題や仕事に取り組むのか、その考え方や行動をメンバーに示していくことが大事だ。
ごまかしの効かないリモートワークでリーダーとして成長する
最後に。オンラインでも、オフラインでも、やるべきことをしっかりやっている人が成果をあげている。特にリモート環境になって、ごまかしが効かなくなった、ということだろう。大事なことは、この変化に対応すべく、リーダーとして成長していくことだ。
そのためには、まずは何をすべきなのか。必要になりそうなことをしっかり学ぶこと。そして、自身の置かれた環境に引き寄せ、学びを実践すること。そしてその実践を振り返り、新たに取り組んでいくこと。
やるべきことはそれほど難しいことではない。このサイクルをしっかり回していった人が、いつの時代もリーダーとして活躍できるのだ。
(執筆者:新村 正樹)GLOBIS知見録はこちら