矢野経済研究所
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2020年度の国内受託臨床検査市場は前年度比8.9%増の6,270億円

~新型コロナウイルスPCR検査の受託需要が大幅に拡大~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、2020年度の国内受託臨床検査市場を調査し、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

1.市場概況

主要臨床検査センター各社の決算状況や中小センターの経営状況などから、2020年度の国内受託臨床検査市場規模(受託事業者売上高ベース)を前年度比8.9%増の6,270億円と推計した。
2020年度は新型コロナウイルス感染拡大にともない、患者の医療機関への受診控え等が見られ、一般的な検査項目は総じて前年度比マイナス基調であったが、新型コロナウイルス一項目の検査のみで全体の受託臨床検査市場を大きく押し上げる結果となった。

2.注目トピック

新型コロナウイルスPCR検査の過半を民間検査会社が受託

2020年度は大手の民間検査会社を主体として、段階的に新型コロナウイルスPCR検査受託体制が強化された。2020年9月以降、国内の新型コロナウイルスPCR検査数拡大とともに、民間検査会社への委託件数も増加した。厚生労働省が発表している新型コロナウイルスに係るPCR検査の実施状況などによれば、2020年度の国内同検査の約6割は民間検査会社が担ったと見られ、PCR検査特需を背景に受託臨床検査事業のプレゼンスを高めている。

3.将来展望

2021年度の受託臨床検査市場は、2020年度に続き新型コロナウイルス関連検査が牽引する構図で推移する見込みである。2022年度以降は、新型コロナウイルス関連検査の沈静化が予想され、従前から行われている臨床検査項目の受託獲得に再び焦点が移ると考えられる。

受託臨床検査市場ではすでに、上位企業への集約化は進んでいるものの、新型コロナウイルス関連検査の受託可否等で企業間優劣は鮮明になっており、これを契機にもう一段の企業再編、アライアンスが進む可能性は高まると見る。

調査要綱

1.調査期間: 2021年3月~5月
2.調査対象: 受託臨床検査事業者
3.調査方法: 当社専門研究員による直接取材・オンライン面接取材・電話取材ならびに郵送アンケート調査併用
<受託臨床検査とは>
本調査における受託臨床検査とは、医療機関等で行う検体検査(血液、尿、組織などの検体)を受託代行するサービスを指す。受託事業者が開設した検査センター等に検体を運び、検査を実施するタイプと、病院内にある検査設備を活用して行う院内対応タイプに大別され、いずれも対象とした。

※参考資料 「新型コロナウイルス関連遺伝子検査試薬・装置市場に関する調査を実施(2021年)」2021年4月22日発表
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2701
<市場に含まれる商品・サービス>
臨床検査の受託代行サービス

出典資料について

資料名2021年版 臨床検査センター経営総鑑
発刊日2021年05月31日
体裁A4 231ページ
定価143,000円(本体価格 130,000円)

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