病院設備機器市場に関する調査を実施（2021年）

2019年度の病院設備機器市場規模は前年度比2.3％増の1,794億円、2020年度は同2.6％減の1,748億円を予測

～2019年度は消費税増税前の駆け込み需要が奏功、一方2020年度は新型コロナウイルスの影響で需要が拡大した機器があるものの、ほとんどの製品群で前年度を下回る見通し～

株式会社矢野経済研究所（代表取締役社長：水越 孝）は、国内の病院設備機器市場を調査し、市場規模推移・予測、製品タイプ別や機能別の動向、新製品の上市による影響等を明らかにした。

国内病院設備機器市場推移・予測

1.市場概況

本調査では、診断や治療に直接関わる機器を除いた、病院における主要な設備機器、医療情報・管理システムや中央材料室、手術室、調剤、病棟、受付などの関連機器を対象としている。大型医療施設の増改築・新設案件については一段落した感があり、病床数200～400床クラスの中規模・中堅病院の新築・増改築を中心とした推移となり、現在は病院の新築・増改築案件数は減少傾向となっている。

病院設備機器市場においても、2014年度以降更新需要を中心にほぼ横ばいから微増で推移している。2019年度の国内病院設備機器市場規模（販売元出荷金額ベース）は、1,793億8,900万円と前年度比2.3％増となったが、消費税増税前の駆け込み需要に起因する要素が大きいと考える。
2020年度は新型コロナウイルスの影響で工事の延期や予算執行の繰り延べなどがあり、卓上型高圧滅菌器や空気殺菌装置など需要が拡大した機器があるものの、ほとんどの製品群で前年度を下回る見通しで、2020年度の同市場規模を同2.6％減の1,747億6,900万円と予測する。

2.注目トピック

卓上型高圧蒸気滅菌器市場について

中小型の卓上型高圧蒸気（オートクレーブ）滅菌器市場は2005年度以降は10,000台前後での推移となり、新規開設の診療所・歯科診療所数が減少傾向に転じたことに加えて、装置性能の向上から更新期間が延びていることもあり、2016年度以降は右肩下がりのトレンドとなってきた。
しかし、2019年度は消費税増税前の駆け込み需要があり、また、2020年度については新型コロナウイルス対策として、さらに感染拡大防止等支援事業における支援金が実施されたことが後押しとなって、診療所を中心に需要が急拡大した。各社フル生産体制となり、診療所の新規開業時でも機器を確保するのが困難な状況となっている。
このような中で、2019年度の卓上型高圧蒸気滅菌器市場は30億2,200万円となり、2020年度は36億1,000万円になると予測する。

3.将来展望

厚生労働省の令和元（2019）年医療施設（静態・動態）調査によると、病院施設は前年比72施設減の8,300施設となり、1990年の10,096施設から減少が続いている。このうち一般病院は前年比68施設減の7,246施設で、病院全体に占める比率は87.3％となっている。一般病院数の増減では、新規開設57施設、再開6施設に対して、廃止116施設、休止12施設、種類の変更3施設で、その減少数は68施設となっている。
また、国土交通省の建築着工統計によると、用途別・使途別床面積推移の医療業・保健衛生用施設は、2019年が2,905棟・2,365千㎡、2020年は2,718棟・2,007千㎡で、工事費予定額は6,361億42百万円となっている。

2021年度については、新型コロナウイルスの影響により繰り延べられた工事案件や予算が執行される可能性があるが、今後については工事単価も上昇していることから、病院設備機器にかけられる費用は抑えられる傾向にあり、市場環境については引き続き厳しい状況にあると考える。

調査要綱

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