会社を経営するにあたって決めるべき項目の一つが組織形態だ。組織形態には「機能別組織」「事業部制」「カンパニー制」などがあり、どの形態を導入するかによって得られるメリットやデメリットは異なる。今回の記事では、事業部制にフォーカスしてメリットとデメリットを解説していく。機能別組織やカンパニー制との違いを知りたい人はぜひ参考にしてほしい。

目次

  1. 事業部制とは
    1. 事業部制の意味
    2. カンパニー制との違い
    3. 機能別組織との違い
  2. 事業部制の種類3つ
    1. 1.製品別事業部制
    2. 2.地域別事業部制
    3. 3.顧客別事業部制
  3. 事業部制のメリット5つ
    1. 1.現場における迅速な意思決定や行動の実現
    2. 2.本部は全社的な経営に集中可能
    3. 3.責任の所在を明確化できる
    4. 4.経営に必要な視点を持つ人材の育成がしやすい
    5. 5.需要の高い事業が可視化できる
  4. 事業部制のデメリット4つ
    1. 1.各事業部において経営資源の無駄が生じやすい
    2. 2.各事業部の間で壁が生まれる
    3. 3.短期的な利益の追求につながる
    4. 4.独断専行により排他的な組織になりかねない
  5. 事業部制組織を導入している企業の事例
    1. パナソニックHD株式会社
    2. ソニー株式会社
    3. 大日本印刷(DNP)株式会社
  6. カンパニー制を導入している企業の事例
    1. トヨタ株式会社
    2. みずほフィナンシャルグループ
    3. 楽天グループ株式会社
  7. 事業部制の導入は慎重に
  8. 事業部制に関するQ&A
    1. Q1.組織構造とは何か?
    2. Q2.なぜ事業部制が必要なのか?
    3. Q3.カンパニー制はなぜあるのか?
    4. Q4.機能別組織はなぜあるのか?
    5. Q5.職能別組織はなぜあるのか?
  9. 事業承継・M&Aをご検討中の経営者さまへ
事業部制とは?メリットとデメリットをくわしく解説!
(画像=lucadp/stock.adobe.com)

事業部制とは

まずは、事業部制に関して最低限知っておくべきポイント(意味や種類、他の組織形態との違い)を解説する。

事業部制の意味

事業部制とは、事業ごとに分けられた部署を本社部門の下に配置する組織形態で、この形態により構成された組織は「事業部制組織」と呼ばれている。事業部制が持つ最大の特徴は、事業部ごとに「生産」「購買」「営業」「マーケティング」といった事業の遂行に必要な機能を有している点だ。日々のビジネスにおいて他の事業部や本社部門との連携は不要だ。

各事業部が自己完結的に事業活動を行い、プロフィットセンターとして事業単位での利益獲得に対して責任を負うことになる。また、事業運営に必要な権限が各事業部門に移譲されている点も事業部制が持つ大きな特徴の一つだ。

事業部制の仕組みは、1920年代のアメリカにおいてデュポンやGMといった大手企業が導入したのがはじまりと言われている。一方で日本では、1930年代に松下電器産業がはじめて国内企業で事業部制を取り入れた。今では多くの企業で事業部制の形態が導入されている。

カンパニー制との違い

事業部制とカンパニー制は、権限を各部署に移譲する点で非常に類似している組織形態だ。その違いは「各部署の独立性の度合い」にある。

・事業部制

あくまで一つの事業に関する運営を各部署に任せる組織形態だ。生産や営業といった活動は各部署の判断で行うものの、「人事や経営戦略」「新規事業への投資」などに関する意思決定は、本部の意向に従う。また、各事業部の売り上げや費用は本社で計上するため、損益計算書を作成するが、貸借対照表(バランスシート)は作成しない。

・カンパニー制

各部門を1つの会社として社内分社化した組織形態で、大企業のように事業の多角化が進んでいる企業で導入されることが多い。人事や経営戦略なども含めてほぼすべての決定権が移譲されるうえに売り上げや費用の計上もおのおので行うことが必要だ。そのため、事業部制と比べるとカンパニー制は独立性が高い組織形態といえる。

カンパニー制では、各社がインベストメントセンターとして、利益はもちろん投資に対する責任も持つことになる。カンパニー制では設備投資などの決定権は、本社ではなく各カンパニーのトップであるプレジデントが持つことになる。カンパニー制では、損益計算書はもちろん貸借対照表も作成する。

カンパニー制は、事業部制に比べて経営責任が明確であり、事業の意思決定がさらに早くなる。また、プレジデントは経営者という立ち位置なので、経営者育成ができる。ただし、事業部制よりもカンパニー制は横の連携が取りにくいというデメリットがある。

機能別組織との違い

事業部制と機能別組織は、根本的な構造がまったく異なる組織形態である。機能別組織とは、「営業」や「人事」といった機能ごとに各部署を配置する組織形態だ。営業部署では営業、人事部署では人事といった形で、それぞれの部署では担当する仕事のみを専門的に行うのが特徴である。そのため事業部制と比べて各機能の専門性を高めやすい点がメリットだ。

ただし、部署間の調整に時間や労力を要するため、相対的に経営陣の負担は重くなる傾向がある。また、各部署は自身の仕事のみに知識や責任を持つため、部門間の連携がとりにくくなる点は大きなリスクだろう。つまり、事業部制と機能別組織では、得られるメリットや注意すべきデメリットがまったく異なる。

それぞれの組織形態が適している企業も異なるため、以下に挙げた事業部制のメリットやデメリットを考慮したうえでどの組織形態を取り入れるかを判断したい。

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事業部制の種類3つ

事業部制は、分け方によって以下の3つの種類に大別される。

1.製品別事業部制

取り扱う商品やサービスによって各事業部を構成する仕組みを指す。例えば、「カフェ事業」「居酒屋事業」「レストラン事業」といった形で分けるのが製品別事業部制に該当する。各製品について熟知したプロを育成できるため、事業部制の中では最もポピュラーな形態だ。

自社がこれまでの事業と異なる製品を開発して市場に参入したい場合には、製品別事業部制が取られることが多い。

2.地域別事業部制

地域によって各事業部を切り分ける仕組み。例えば「関東地方」「関西地方」「九州地方」といった形で分けるのが地域別事業部制に該当する。全国展開や海外進出を図っている企業にとっては、製品別よりもスムーズかつ迅速に事業を行いやすい。

3.顧客別事業部制

顧客の特性によって各事業部を構成する仕組み。例えば「収入が低い若者をターゲットとする事業部」「収入が多い中年層をターゲットとする事業部」に分けるケースが該当する。他にもライフスタイルや性別などによって分けることが可能だ。

自社がこれまでターゲットとしていた顧客層やチャネルと異なる領域に進出したい場合には、この顧客別事業部制を取られることが多い。

事業部制のメリット5つ

機能別組織やカンパニー制と比較すると事業部制には以下に挙げる5つのメリットがある。

1.現場における迅速な意思決定や行動の実現

事業部制を導入する最大のメリットは、迅速な意思決定や行動を実現できる点だ。事業部制組織では、各部署に権限が付与されているため、事業に関する決定に際して上層部に逐一確認をとる必要がない。本部に権限が集中している機能別組織と比較すると、迅速に意思決定や行動ができる。迅速な意思決定により、市場の急速な変化にも対応できるようになるのだ。

結果的に、事業が衰退するリスク軽減にもつながるだろう。

2.本部は全社的な経営に集中可能

2つ目のメリットは、本社部門が全社的な経営に集中できる点である。機能別組織の場合、本部が各部署に関する権限を担うため、経営陣の負担は重くなる傾向だ。一方で事業部制では、各事業部に権限の大半が移譲されているため、経営陣の負担は相対的に軽い。

各事業部の業務に対する負担が軽くなることで、本社部門では全社的な意思決定(全社戦略の策定や新規事業や撤退企業の選定など)に集中できるようになる。

つまり、細かな部分を現場に任せて経営陣は本来やるべき業務のみを行えるわけだ。経営陣が全社的な意思決定に集中すれば、市場の変化や競合の戦略にも対応しやすくなるだろう。

3.責任の所在を明確化できる

責任の所在を明らかにできる点も事業部制を導入するメリットの一つである。

機能別に部門が分かれている組織では、各部門で自分たちの業務にしか責任を負わないため、ある事業で業績が悪化しても、どの部門に問題があったかを判断しにくい。一方で事業部制では、事業部ごとに業績(収支)が数字で出てくるため、各事業部の責任が明らかとなる。

業績が悪い事業部には、主体的な改善を期待できる一方で、業績が良い事業部には昇進や報酬の付与といったインセンティブを付与することが可能だ。言い換えると、責任が明らかにされることで各事業部の競争を促進できるわけだ。各事業部が競争を繰り広げることで、結果的に会社全体の業績底上げ効果も期待できるだろう。

4.経営に必要な視点を持つ人材の育成がしやすい

事業部制を導入する4つ目のメリットは、経営者的な視点を持つ人材を育成しやすい点である。

機能別組織では「営業なら営業」「生産なら生産」といった形で自分たちの業務のみに特化するため、経営に必要な「全体最適の視点」で業務を捉えられる人材が育ちにくい傾向だ。一方で事業部制では、営業や生産などすべての機能を総合的に考慮して事業部の業績向上を目指す能力が求められる。

事業全体の業績を管理する経験を積ませるからこそ、全体最適の視点を持った人材が育ちやすいことが事業部制の特徴だ。

5.需要の高い事業が可視化できる

事業部制組織では、各事業部が損益計算書を作成するため、事業単位での収益が確認できる。そのため、市場からの需要が高い事業が可視化でき、経営資源の選択と集中が進めやすいというメリットがある。もちろん、関連事業との連携によってシナジー効果を高める経営戦略を練ることで、さらに収益を増やすこともできるだろう。

事業部制のデメリット4つ

一見すると万能な組織形態に見えるものの、事業部制には次のようなデメリットもある。事業部制の導入にあたっては、デメリットにも十分注意したい。

1.各事業部において経営資源の無駄が生じやすい

事業部制が持つ最大のデメリットは、事業部間で経営資源の無駄が生じやすい点である。前述したように事業部制では事業の遂行に必要な機能(営業や人事、生産など)を各事業部が持つ。言い換えると、事業部の間で機能の重複ができてしまうわけだ。例えば生産機能は、小規模であれば一つの工場を保有しその工場を複数の事業部で共有するのがコスト面でベストな選択肢となる。

しかし、事業部制では、たとえそれぞれが小規模な生産を行う場合でも別々に工場を保有することになるため、工場の建設費用や毎月の運用コストに無駄ができてしまう。

2.各事業部の間で壁が生まれる

各事業部の間に壁が生じることで、あらゆる弊害が生まれる点も事業部制で注意すべきデメリットだ。事業部制では、各事業部の中で業務が完結するため、他の事業部との間に物理的、心理的な壁が生まれやすい。交流や連携を図る動機や必要性が低くなるため、新製品開発や新規事業の立ち上げといった全社一丸となる必要性が高いプロジェクトは達成しにくくなる。

また、予算配分の際に業績が好調な事業部と不調な事業の間で格差が生じ、それが理由で対立に発展するリスクもあるだろう。事業部間で対立が生じた結果、社員のモチベーション低下や離職にもつながりかねないので注意が必要だ。

3.短期的な利益の追求につながる

意外と見落とされがちだが短期的な利益の追求により長期的な利益を軽視しやすくなる点にも注意が必要だ。前述したように、事業部制ではそれぞれの事業部の収支が明らかになる。今年度の収支に基づいて来年度以降の予算配分や事業部長の待遇が決まるような企業の場合、各事業部は短期的に利益を残せるような施策に注力する傾向だ。

一見すると問題ないように思えるが、短期の利益ばかりを追求すると「短期的には利益につながるが長期的には損失となる取り組み(人材育成など)」がおろそかとなりかねない。

4.独断専行により排他的な組織になりかねない

事業部の乱立によって分権化が進みすぎると、それぞれの事業部が利益を優先して独断で経営を進めることになりかねない。本社や他事業部に対して、排他的になってしまう可能性もある。事業部長同士の連携はもちろん、定期的な人事異動などにより、各事業部が個々に影響力を持ち過ぎてしまわないような配慮が欠かせないだろう。

事業部制組織を導入している企業の事例

日本企業では、特に大企業で事業部制組織が導入されている。ここでは、事業部制組織を導入している企業を紹介する。

パナソニックHD株式会社

パナソニックは、松下電器産業時代の1933年に、工場の分野別に3つの製品別事業部を設けるという、松下幸之助の独自発想による事業部制を導入した。事業部制を開始した狙いは、「自主責任経営の徹底」と「経営者の育成」であった。

これにより、個々の事業部がそれぞれの責任を果たした結果、今日につながる大企業へと成長している。途中、機能別組織制へと移行した期間もあったが、事業部制へと回帰している。

現在は、持株会社であるパナソニック・ホールディングス株式会社に加えて、8つの事業会社および国内外の関係会社で構成されており、各事業会社の中にさらに事業部が存在している。パナソニックでは、この組織形態を「事業会社制」と呼んでおり、それぞれの事業の強みを最大限生かして、製品を通した社会への貢献を目指す。

ソニー株式会社

ソニーは、1983年5月に事業ドメインに応じて事業本部を設置する、事業本部制を導入した。各事業本部の本部長に、事業経営に必要な製造から販売までの「責任」と「権限」を委譲することで、事業部での自己完結的な経営を促した。この時、日本国内だけでなく海外販売にまで、当時としては目新しい事業本部制を導入した。

1994年に、市場の変化にいち早く対応するため、事業部制からカンパニー制へと移行し、1997年には当時の最高益を達成した。しかし、2005年には、カンパニー制を廃止して、再び組織の形態を事業部制へと移行した。

二度目の事業本部制では、特定の製品分野に直結した組織を持つ事業部制へと移行した。5つの戦略会議を設置し、重要領域での事業本部間の連携の強化に力を入れている。現在では、エレクトロニクス部門だけでなく、音楽や映画などのエンタメ部門や保険や銀行などの金融部門といった事業を展開している。

大日本印刷(DNP)株式会社

印刷業界大手の大日本印刷は、1963年に事業部制を導入した。印刷技術を、紙だけでなく包装材や建築部材、精密電子部品などさまざまな分野に応用する「拡印刷」の実現によって、事業の多角化に成功している。オイルショックなどによる日本経済の低迷期にも、営業、技術、企画の3部門を柱とした組織強化を図った。

現在では、電子、ネットワークメディアなどを扱う出版イノベーション事業部を持つ「情報コミュニケーション部門」、建材や包装材を扱う「生活・産業部門」、ディスプレイ関連部品や光学フィルムなどを取り扱うファインオプトロニクス事業部を持つ「エレクトロニクス部門」など、各部門別に複数の事業部がある。

また、製造部門や技術開発部門を個別に保有するグループ会社と連携することで、印刷技術を核として市場の変化に対応している。

カンパニー制を導入している企業の事例

日本企業では、事業部制と類似した組織形態であるカンパニー制も導入されている。ここでは、代表的なカンパニー制の導入企業を紹介する。

トヨタ株式会社

トヨタでは、「もっといいクルマづくり」という目標達成と、そのために不可欠な「人材育成」の促進のために、2016年4月にカンパニー制を導入した。「Toyota Compact Car Company」「Mid-size Vehicle Company」「CV Company」などをはじめとした7つのカンパニーを設置し、中短期での製品の企画や開発を各カンパニーの責任で行うこととなった。

なお、トヨタはカンパニー制を導入した2016年から2022年の6年間で、為替や販売台数、資材価格のマイナス要因やコロナ禍などの外部要因の影響にもかかわらず、増益を果たしている。

みずほフィナンシャルグループ

みずほフィナンシャルグループは、徹底的に「お客様第一」のサービス強化による「総合金融コンサルティンググループ」を構築するために、2016年4月からグループ横断的なカンパニー制へと移行した。

サービス提供の対象となる顧客セグメント別に、「リテール・事業法人」「大企業・金融・公共法人」「グローバルコーポレート」「グローバルマーケッツ」「アセットマネジメント」の5つのカンパニーに再編した。

その上で、全てのカンパニーの機能を横断的に活用するために、「グローバルプロダクツ」「リサーチ&コンサルティング」の2つのユニットを設置して、民間から公的セクターまで幅広い顧客に対応するための体制づくりを行った。

楽天グループ株式会社

2022年6月時点で、世界30ヵ所の国と地域にビジネスが拡大している楽天グループは、2016年4月からカンパニー制を導入した。既存の60以上のビジネスユニットを、各事業の類似性や親和性などを考慮した上で13のカンパニーに集約し、プレジテントを据えている。

カンパニーは、「インターネットサービス」と「FinTech(金融)」の大きく2つのセグメントに分別され、システム開発者やウェブデザイナーを各事業部に配置することとした。これにより、ユーザーのニーズを迅速にくみ取った高品質なサービスの開発と提供をすすめ、顧客満足度を高めることができる。

なお、2018年7月1日以降は、シナジー効果をさらに高めるために、13のカンパニーを5つのカンパニーへと再編して経営資源の最適配置を図っている。

事業部制の導入は慎重に

事業部制は、「現場における迅速な意思決定」と「経営陣による全社的な経営への集中」を両立できる点で優れた組織形態である。ただし、部門間の対立リスクや経営資源の無駄が生じやすいなどのデメリットもあるため、他の組織形態も含めて慎重に事業部制を導入するかどうかを検討するのが好ましい。

事業部制に関するQ&A

Q1.組織構造とは何か?

組織構造とは、企業における組織の形態や仕組みに該当するものである。組織構造には、事業部制組織や機能別組織など、さまざまな形態がある。経営学者のバーナードは、組織が成立するためには「共通の目的」「貢献する意欲」「コミュニケーション」の3つが必要と説いている。

企業が継続的に収益をあげるためには、組織内のメンバー全てが「共通の目的」を共有して同じ方向を向き、それぞれが組織に対して「貢献する意欲」を持って、役割を果たすことが求められる。そのためには、相互に「コミュニケーション」を取りながら情報を共有し、一つの組織としてまとまらなければならない。

組織を設計する際には、「専門家の原則」「権限・責任一致の原則」「統制範囲の原則」「命令一元化の原則」「例外の原則」という5つの原則を意識する必要がある。

Q2.なぜ事業部制が必要なのか?

事業部制組織は、企業が展開している個々の事業ごとに事業部という組織をつくる組織形態だ。企業の成長に伴って複数の事業展開をし始めると、機能別組織では運営の効率が悪くなり、責任の所在も曖昧になってしまう。

そこで、事業部として分割して権限を移譲することで、事業経営を各事業部の裁量に任せることができる。これにより、経営者の負担を減らすだけでなく、事業経営の意思決定を迅速化でき、責任の所在が明確になるというメリットがある。

また、事業部制組織では各事業部で損益計算書を作成するため、事業単位での収益が確認でき、経営資源の選択と集中も可能となる。しかし、それにより事業部の収益状態も把握されやすいため、長期的よりも短期的な利益追求を招いてしまうといったデメリットもある。

Q3.カンパニー制はなぜあるのか?

カンパニー制は、事業の多角化が進んでいる大企業などで、事業ごとに1つのカンパニーとして社内分社化した組織形態だ。カンパニー制は事業部制と似た組織構造であるが、各社がインベストメントセンターとして、利益はもちろん投資に対する責任も持つ。そのため、設備投資など事業部制では本社に決定権があるものでも、カンパニーのトップであるプレジデントが判断を行うことになる。

事業部制では、各事業部は損益計算書のみを作成するが、カンパニー制では各社が損益計算書だけでなく貸借対照表も作成し、独立性の高い組織として経営を行う。事業部制よりも経営責任をさらに明確にし、事業の意思決定を早めて収益性を高めたり、プレジテントを将来の経営者候補として育成したりするなどの目的で導入される。

Q4.機能別組織はなぜあるのか?

機能別組織は、事業の多角化などを行っていない中小企業で、よく見られる組織形態である。製品の開発や生産、販売など、機能ごとに部門を分けることで、それぞれの部門が専門性を高めて活動できることがメリットだ。部門の分割がしやすいため、企業の組織運営では基本的な形態である。

機能別組織では、部門ごとの経験曲線効果が期待できるため業務の効率化も可能である。ただし、自社製品やサービスの付加価値創出の業務を行わない総務や経理、人事部などの部門では、利益責任が曖昧になってしまう。また、部門間の役割が異なるため情報共有など連携が薄れやすく、注意が必要だ。

Q5.職能別組織はなぜあるのか?

職能別組織は、機能別組織と同じ意味で使用される企業の組織形態であり、業務の内容ごとに部門を分けて組織を編成したものである。自社製品の開発を行う開発部、販促活動を行う営業部、人材採用や人材育成の計画を立てて実行する人事部、主に税務会計や経費処理を行う経理部など、担当する業務ごとに部門を分けて専門的に業務を行う。

職能別組織ならば、それぞれの部門の業務分担が明確に定められているため、業務効率化を図ることができる。

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文・鈴木 裕太(中小企業診断士)

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