パレート最適を経営に活かそう! ケーキとソファで活かし方を考えてみた
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パレート最適という言葉を聞いたことがあっても、その状態がわからない人も多いのではないだろうか?この記事では、パレート最適の意味をケーキやソファなどの具体例とともに解説する。パレート最適の考え方を活かして経営資源を効率化してみてほしい。

目次

  1. パレート最適とは?
    1. パレート最適は経営に活かせる
  2. パレート最適の具体例2つ
    1. パレート最適の具体例1.ケーキの切り分け
    2. パレート最適の具体例2.ソファの利用状況
  3. パレート最適による経営資源の効率化
    1. 人材の効率化
    2. 設備の効率化
    3. 資金の効率化
  4. パレート最適と競争の関係
  5. パレート最適の考え方は臨機応変に活用

パレート最適とは?

パレート最適(パレート効率性)とは、資源が無駄なく配分された状態を指す言葉だ。

正確には、資源を配分するときに誰かの効用(満足)を犠牲にしないと、他者の効用を高められない状態をいう。

イタリアの経済学者であるヴィルフレド・パレートが提唱した。

なお、ヴィルフレド・パレートはパレートの法則(8:2の法則)も提唱しているが、両者はまったく違う概念である。パレートの法則とは、全体数値の8割は、構成する2割が生み出すという考え方だ。

たとえば、パレートの法則を示す事例は下記の通りだ。

・売上の8割を構成するのは2割の優良顧客だった
・売上の8割を構成するのは2割の優秀な社員だった

つまり、2割にアプローチすれば、全体の8割に効果を及ぼせることがある。

パレート最適とパレートの法則は、経営に示唆を与えてくれる考え方として、世界中で広く活用されている。

パレート最適は経営に活かせる

働き方改革によって、会社は生産性の向上を求められている。

しかし、生産性を向上したいと考えても、無駄が生じている部分や、理想の状態を見極めるのは難しい。そこで、パレート最適の考え方が役立つ。

パレート最適の考え方によって、現場に生じている無駄を発見しやすくなるだろう。無駄を発見できれば、現場を改善する対策も自然と見えてくるはずだ。

ただ、パレート最適を目指すとき、無駄をひと目で判断できないこともある。

判断に迷ったときは、経営理念を思い返すようにしたい。事業を通じて社会に与えたい影響や、自分が成し遂げたいことなどがよい例だろう。

経営理念を定めていない場合は、改めて経営理念を定めるとよい。また、創業時や承継時の初心を思い返してみるのも効果的だ。

パレート最適の具体例2つ

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パレート最適の考え方は難しく、定義だけで理解するのは困難だ。そこで、パレート最適の状態をケーキやソファなどの具体例からみていこう。

パレート最適の具体例1.ケーキの切り分け

たとえば、ホールケーキを半分に切り分け、AさんとBさんが食べたとする。この状態がパレート最適だ。

Aさんに3分の2のケーキを取り分けると、Aさんの満足度は上がるが、Bさんの満足度が犠牲になる。

一方、ケーキを3分割して両者が3分の1ずつを食べた状態は、パレート最適ではない。

この場合、残った3分の1のケーキをAさんが食べても、Bさんの食べる量が現実的に減るわけではない。心情的な不公平感は生まれるかもしれないが、Bさんの満足が犠牲になるとはいえないだろう。

パレート最適の具体例2.ソファの利用状況

2人掛けのソファにAさんとBさんという2人が座っている状態は、パレート最適だ。

Cさんが現れてソファに座ろうとすると、すでに座っているAさんかBさんのうち、どちらかの満足が犠牲になる。つまり、パレート最適が実現している。

一方、2人掛けのソファにAさんだけが1人で座っている状態は、パレート最適ではない。Bさんが現れてソファに座っても、Aさんの満足が犠牲にならないからだ。

つまり、Aさんが1人で座っている状態は、ソファの使用に無駄が生じているとわかる。

パレート最適による経営資源の効率化

法人税等調整額
(画像=PIXTA)

経営資源の配分は、生産性の向上と増収の達成を左右するため、経営者の腕の見せ所だ。

一般的に経営資源は、ヒト・モノ・カネなどに分けられる。ここからは、無駄が生じやすい人材・設備・資金に焦点を当て、パレート最適の考え方を参考に経営資源の効率化を考察していく。

人材の効率化

ある会社で、A部門の人員不足を解消するために、B部門の人員を異動させたとしよう。これで問題が起きなかったとしたら、B部門には余剰人員が発生していたということだ。つまり、パレート最適ではない状態だったとわかる。

異動後、各部門で人員が1人でも減ると現場がまわらない状況になったら、パレート最適が実現したと考えられる。

もちろん、突発的な事態に対応したり、繁忙期を乗り切ったりする必要もあるため、現実的には完璧なパレート最適を目指す必要はない。しかし、パレート最適の考え方を取り入れることで、現場の無駄に気づきやすくなるのは確かだろう。

現場から人員不足の声が上がったとき、採用の必要性を慎重に考えなくてはならない。

設備の効率化

余剰が発生するのは、人材に限った話ではない。経営者なら、設備の余剰にも気を配る必要がある。職場の広さについて考えてみよう。

繁忙期に大量の派遣社員を雇ったとき、各社員がストレスなく働ける状況なら、パレート最適とはいえない。繁忙期以外の時期は、スペースに余剰が発生しているからだ。

繁忙期の頻度や期間にもよるが、省スペースなオフィスに移転した方が、家賃が減って経営効率は上がるかもしれない。

繁忙期のときは、在宅ワーカーを活用したり、社員に交代で在宅ワークをしてもらったりするとよい。

資金の効率化

増益によって内部留保(会社のお金)がたまってくると、経営者としては安心できる。しかし、資金が余っている状態が、必ずしもよい状態といえるだろうか。

気づかないところで過重労働が発生し、社員に不満がたまっているかもしれない。状況を見過ごすと、数年後に複数の社員が離職し、現場が機能しなくなるリスクもある。

また、設備投資や広告宣伝費、接待交際費を増やすことで、数年後に事業を拡大できるチャンスが舞い込んでくる可能性もある。

こういった点を踏まえると、お金を余らせることは経営においてマイナス要素かもしれない。

もちろん、会社経営にリスクはつきものなので、資金を使い切ってしまうのが正解というわけではない。ただ、人員や設備と違い、資金は貯めこみすぎてしまう面がある。

そのため、パレート最適の考え方をもとに、資金効率にもしっかりと目を向けることが大切だ。

パレート最適と競争の関係

技術力
(画像=vegefox.com/stock.adobe.com)

競争原理が働くなかで生まれる均衡は、自然とパレート最適にいたるという考え方がある。

有名なミクロ経済学の考え方に、需要曲線と供給曲線がある。消費者の需要量と生産者の供給量が一致する点に市場価格が落ち着くという考え方だ。自然とパレート最適が実現した状態ともいえるだろう。

会社経営に置き換えると、適度な競争状態を保てば、自然とパレート最適に近づけられる。

たとえば、社員の評価制度を整えて競争原理が働くようにすれば、仕事の無駄が減って現場の生産性は向上するかもしれない。また、事業部ごとの経費をグラフ化して部長に共有すれば、コストの削減意識が高まるかもしれない。

ただし、競争原理によってすべてがうまくいくわけではない。現実の経済をみても、政府が最適な方向を目指して微調整している。

会社経営で競争原理を取り入れる際にも、経営者が現場の影響を正しく把握し、必要に応じて微調整することが大切だ。

パレート最適の考え方は臨機応変に活用

パレート最適は、あくまで無駄のない状態をあらわす経済学における理論上の概念だ。パレート最適が正解というわけではないし、最善とも限らない。

生産性向上を目指しつつも、社員の満足度や会社のリスク耐性なども慎重に考慮しなければならない。

パレート最適の考え方を参考にしつつも、現場がうまく回るよう臨機応変に経営判断をしてほしい。

文・木崎涼(ファイナンシャルプランナー、M&Aシニアエキスパート)

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