神州一味噌・塩谷泰文社長
(画像=神州一味噌・塩谷泰文社長)

──2020年度を振り返って

全体的に新型コロナウイルスに影響を受けた年だった。売上を見ると、即席みそ汁は家庭用が中心だったこともあり、前年比10%増だった。みそでも家庭用は前年並みで推移したものの、業務用は大きな痛手を被った。トータルでは対前年を超えて着地した。業界平均では、即席みそ汁が良く、みその方が悪かったことで、前年を超えてないと思うが、われわれは前年を超えることができて良かったと思う。

ただ、対応力が足りなかったことが今後の課題でもある。家庭用の即席みそ汁が伸びたのが、1回目の緊急事態宣言が出た3月頃から5月の連休前辺りで、物凄い需要の波が来た。しかし、ちょうどその時期に、即席みそ汁に関しては、設備投資を行って、急速に自動化を進めていたこともあり、うまく利益を得ることができなかった。

──2021年度の事業施策、営業施策について

2021年度は、もう少し業務用が回復すると考えていたが、なかなか難しい情勢となってきた。即席みそ汁に関しては、さらなる伸びが期待できるので、即席みそ汁の販売を重視していこうと考えている。世の中的にこういう事態下では、健康であって、簡単に作れるものが求められる。そのため、われわれのマーケティングの中心は、即席みそ汁となってくる。12食、20食といった大容量タイプへの需要は上がってくると思うが、他の袋入りみそ汁やカップみそ汁を含め、幅広いラインアップで対応したい。

当社には、み子ちゃんという大きなブランドがある。おみそのおいしいメーカーであることを即席みそ汁でも打ち出していきたい。これまでは、具材における競争を重視してやってきたが、みそ屋なので、みそにこだわった即席みそ汁を開発し、アピールしていきたい。みそが違うとこんなにも味が違うんだという商品を即席みそ汁でも提供していきたい。

みそは巣ごもり需要もあり、ちょっと凝ったみそが売れている。そこで、春夏の新商品では、みそ屋のこだわりを込めた無添加の「信州味噌贅沢仕込み」を投入した。これまでは、減塩や機能性など健康志向の高いみそが多かったが、みそ屋ならではのこだわりを持ったみそを発売することで、改めて、おいしいみそを売り込んでいきたい。

神州一味噌「信州味噌贅沢仕込み」
(画像=神州一味噌「信州味噌贅沢仕込み」)

「パパッと味噌パウダー」は一度使っていただければ、いろいろな料理に使っていただけることを理解してもらえると思っている。理解していただいた人にはリピーターになっていただいているので、そこは大事に育てていきたい。プロモーションでは、ウェブと店頭を絡めて、調理に奥行きを持たせることができる調味料としても訴求していきたい。

業績目標では増収増益を目指す。売上よりも利益を出していける体制を作っていきたい。

〈SDGsや環境問題に対応し、容器の脱プラも業界で前向きに検討〉
──御社でコロナ禍が変えたものについて

営業スタイルが大きく変わった。人に会えない状況でどうやって商売をすればいいのかを考えなければならなくなった。経営や会議の仕方も変わった。大きな変化が毎月のように起こる中で、対応しきれなかったことが、去年の一番の反省。売り場の変化、巣ごもり需要、業務用が急に売れなくなったなど、それらに対応して商品を売り込むことができたかというとそうではなかった。対応する時間を短くして、有事でも対応していける会社を作り上げていきたい。

──コロナ禍による変化で、御社で最も注視している事柄について

SDGsや環境問題に対しては、求められる環境になってきているので、対応していきたい。カップみそ汁の容器なども、脱プラスチックが求められてくるので、業界で知恵を出し合い、前向きに検討していきたい。

〈大豆油糧日報2021年1月28日付〉